第26回 視覚障害リハビリテーション研究発表大会 抄録集 テーマ: 過去から学び、現在を検証し、未来を創造する 日時:2017年6月9日(金)・10日(土)・11日(日) 会場:日本点字図書館(9日)・鶴見大学記念館(10日~11日) 主催:視覚障害リハビリテーション協会 主管:第26回視覚障害リハビリテーション研究発表大会in川崎・鶴見 実行委員会 目次 第26回視覚障害リハビリテーション研究発表大会開催のご挨拶 ・・・2 大会スケジュール&プログラム ・・・3 記念講演 ・・・14 基調講演 ・・・16 指定講演1 ・・・17 指定講演2 ・・・18 特別講演 ・・・19 協会企画 ・・・20 シンポジウム ・・・22 指定セミナー ・・・24 地域活動報告 ・・・27 口頭発表 ・・・34 ポスターセッション 研究 ・・・45 ポスターセッション 活動報告 ・・・83 機器展参加企業 ・・・113 「視覚リハビリテーション研究」論文募集要項 ・・・123 事務局からのおしらせ ・・・133 第26回視覚リハ大会スタッフ ・・・136 -------------------------------------------------------------------------------- 第26回視覚障害リハビリテーション研究発表大会開催のご挨拶 第26回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 大会長 田中徹二  私が視覚障害リハビリテーションに関わったのは1969年でした。原田政美所長(眼科医)の東京都心身障害者福祉センターで働き始めてからです。1991年、日本点字図書館に転職するまで、リハビリテーションの業務にどっぷりつかっていました。それこそ中途失明者の相談にのったり、入所や通所の人たちにコミュニケーション訓練をしたり、ときには研究発表などをしていました。また、職業に従事していたかたが失明した場合、生活訓練後、元の職場にもどってもらうことが、当時の視覚障害科の願いでしたので、熱心にその人の職場を訪問したりもしていました。それについてはいくつかの成功例がありました。  1970年には、日本ライトハウスで、アメリカから講師を招いて、歩行訓練士の養成が始まりました。今の皆さんには知らないかたも多いと思いますが、山梨正雄さんや村上琢磨さんといった人が参加し、本格的歩行訓練も始まりました。オプタコン訓練では古田信子さん、郷家和子さんらの活躍によって、当時は全国でも例のない先駆的なリハビリテーションセンターでした。そんなセンターで働けたことは、今でも私の財産になっています。  しかし、日本点字図書館に来てからは、リハビリテーションを終えた人たちを相手にすることが多くなり、リハビリテーションからは離れていました。この世界のことは、側聞するだけに留まっていました。  ところが、今回川崎市視覚障害者情報文化センターが「川崎&鶴見大会」を引き受けたことから、その管理責任者である私が大会長を仰せつけられました。図らずも視覚障害リハビリテーションの世界に復帰したのですが、この4月から日本点字図書館でも、指定相談や機能訓練を始めており、よい機会になったと思っております。  会員の皆様の発表などを聞かせていただき、私が経験したリハビリテーションからどう進歩しているか、しっかりと勉強させていただきたいと考えております。大会の成功に向けて、皆様のご支援を切にお願い申しあげます。 大会スケジュール&プログラム <9日> 10:30~11:30 日本点字図書館見学ツアー(*定員50名 先着順) 13:30~ 視覚障害リハビリテーション協会企画 視覚リハ未来への挑戦Part2  第1部『視覚リハ自分ごとプロジェクト』クローズアップ移動支援  総合司会 田中 雅之(名古屋総合リハビリテーションセンター)  宿題報告者   相馬 睦(独協医科大学越谷病院)   堀江 智子(公益財団法人 日本盲導犬協会 日本盲導犬総合センター)   岡島 喜謙(福井県立盲学校)   豊田 航(成蹊大学理工学部システムデザイン学科)  グループワーク進行   小林 幸一郎(NPO法人モンキーマジック) 16:00~ 第2部 『研究トラの巻』 其の2 「現場から発信! 調査研究のツボ」   増田 真也(慶応義塾大学 看護医療学部看護学科) 17:00 終了 <10日> *12:00~機器展オープン 09:30 受付開始 09:50 開会式 10:00~記念講演 司会 中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)  「リハビリと無縁の85年~無謀と執念の人生~」   高橋 実(視覚障害者支援総合センター 理事長) 11:00~基調講演 司会 中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)  「視覚障害リハビリテーションとわたし」   田中 徹二(日本点字図書館 理事長) 11:40~11:50 休憩 11:50~13:00 視覚障害リハビリテーション協会 総会 13:00~14:00 口頭発表1 座長 中野 泰志(慶應義塾大学)  O-1-1 視覚障害者のための表計算ソフト利用支援ツールの制作・評価について   ○平松 勲(職業能力開発総合大学校)  O-1-2 iPhoneユーザーである視覚障害者のパソコン選び:MacかWindowsPCか?   ○金山 佐保(山梨ライトハウス青い鳥成人寮)  O-1-3 点描触知文字Decapointエディタの開発   ○加賀 大嗣・渡辺 哲也(新潟大学)  O-1-4 日本ライトハウス職業訓練部における訓練生の傾向と就職率   ○中野 真輔(日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター 職業訓練部)、福田 香絵・石川 佳世子(日本ライトハウス)  O-1-5 働き続けられる職場環境作りに向けて~社内での視覚障碍者同士の交流を通して~   ○川嶋 一広(日本電気株式会社) 14:00~15:00 ポスターセッション1(研究発表・活動報告)*偶数番号 15:00~16:00 地域活動報告(指定)1  座長 田中 桂子(先端医療センター病院)  S-1-1 NPO法人目と心の健康相談室からの報告   ○荒川 和子(NPO法人目と心の健康相談室)、若倉 雅登(井上眼科病院)、清澤 源弘(清澤眼科医院)  S-1-2 小さな視覚障害当事者団体による障害福祉サービス事業開始までの取り組み   ○神崎 好喜(一般社団法人ピアプレース)  S-1-3 「映画に音声ガイドを!」 現状と展望   ○鳥居 秀和(ヨコハマらいぶシネマ) 16:00~指定講演1 座長 吉野 由美子(視覚障害リハビリテーション協会)  「わたしにとっての障害者差別解消法」   大胡田 誠(つくし法律事務所) 17:00~18:00 地域ブロック会 18:00~20:00 交流会(懇親会) <11日>*機器展は15:30終了 09:00~10:30 シンポジウム 座長 小林 章(日本点字図書館)  「視覚リハシステムのあり方について考える─機能訓練と相談支援─」  〇田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーションセンター)  「視覚障害者のニーズに対応した機能訓練事業所の効果的・効率的な運営の在り方に関する調査研究事業に協力して見えてきたこと」  〇橋井 正喜 (名古屋市視覚障害者協会 副会長 日本盲人会連合 常務理事)  「訓練施設に紹介する当事者の立場から」  〇仲泊 聡(理化学研究所)  「訓練施設等に紹介する眼科医の立場から」  〇堀内 恭子(日本歩行訓練士会 事務局長)  「歩行訓練等のサービスを提供する立場から」 10:30~11:30 口頭発表2 座長 仲泊 聡(理化学研究所)  O-2-1 平成26年度に実施された視覚障害者生活訓練等の実態から見えた白杖歩行訓練の課題   ○吉川 明(日本盲導犬協会)  O-2-2 音響信号機の設置に至るまでの歩行訓練士の取り組み事例   ○山下 紗輝(日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター)  O-2-3 視覚障害児童生徒が点字・拡大教科書と併用するための「音訳教材」に関する研究   ○久保田 文(日本ライトハウス情報文化センター)  O-2-4 *発表取り下げ  O-2-5 六甲山の上美術館「さわるみゅーじあむ」   ○矢野 茂樹(六甲山の上美術館「さわるみゅーじあむ」) 11:30~12:30 ポスターセッション2(研究発表・活動報告)*奇数番号 12:30~13:10 休憩 13:10~14:10 指定セミナー「視覚障害者スポーツ」 座長 大野 建治(上野原市立病院眼科)  L-1-1 「運動だって視覚リハ」   ○林 知茂(国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)  L-1-2 「視覚障害者スポーツを楽しみたい!」   ○大野 建治(上野原市立病院眼科)  L-1-3 「知っておきたい眼疾患 視覚障害者スポーツ編」   ○鈴木 重成(獨協医科大学 眼科学教室) 14:20~15:20 地域活動報告(指定)2 座長 島田 延明(川崎市視覚障害者情報文化センター)  S-2-1 オブリガードのこれまで、そして、これから   ○杉友 三千代(川崎市視覚障害者ボランティア連絡会)  S-2-2 川崎視障協 囲碁の会 6年の歩み~触覚訓練と交流の輪の拡大をめざして   ○松本 雄治(川崎市視覚障害者福祉協会)  S-2-3 サウンド・テーブル・テニス(STT)の普及活動~視覚障害者の感覚訓練と健康増進のために   ○佐々木 成幸(川崎市視覚障害者福祉協会)  S-2-4 デイサービス「かみふうせん」~視覚障害者による視覚障害者のためのデイサービスへの挑戦   ○舟橋 正雄(特定非営利活動法人 川崎外出支援センター) 15:20~指定講演2 座長 小田 浩一(東京女子大学) 「音声ナビを利用した自律歩行支援の実証実験」   貞清 一浩(清水建設(株)技術研究所) 16:00~特別講演  座長 小田 浩一(東京女子大学) 「網膜再生医療とアイセンター構想」   高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト) 16:40~閉会式 ポスターセッション ○研究発表 研-1.電子書籍表示形式の違いが臨界ウィンドウ幅に及ぼす影響  ○金子 唯・川嶋 英嗣(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) 研-2.就労中の視覚障害者が使用しているPCスキルの現状と課題  ○北神 あきら・上田 喬子・高西 透江(視覚障害者パソコンアシストネットワーク)、坂田 光子・佐藤 利昭・藤縄 泰彦・柳田 友和(日本盲人職能開発センター) 研-3.弱視者を対象とした電子通信を用いた鹿児島・広島間の遠隔指導の効果について  ○池畑 友美(広島大学教育学部)、氏間 和仁(広島大学大学院教育学研究科)、良久 万里子(鹿児島県視覚障害者情報センター)、田中 桂子(先端医療センター病院) 研-4.デジタル教科書があれば紙の拡大教科書は不要になるのか?  ○中野 泰志(慶應義塾大学) 研-5.視覚障害者の歩行支援を目的とした障害物検出システムの開発とその可能性  ○丹下 裕(舞鶴高専)・波多野 克信(舞鶴高専電気情報工学科5年)、渡部翔太(三菱電機エンジニアリング) 研-6.スクリーンリーダーの読み辞書切り替えプログラムの試作と評価  ○和田 浩一(愛媛県立松山盲学校) 研-7.世界中の人が利用できるルイ・ブライユSYSTEMとイッピツ及び災害時盲ろう者通信  ○長谷川 貞夫(ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト・桜雲会)、高岡 健吾(ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト、インハウスDS)、新井 隆志(ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト、JBS日本福祉放送)、成松 一郎(ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト、読書工房)、甲賀 金夫(ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト、社会福祉法人桜雲会) 研-8.盲学校に在籍する生徒への支援~医療と連携した短期評価プログラム~  ○内野 大介・矢部 健三・佐藤 伸行・末田 靖則・加藤 正志(七沢自立支援ホーム 視覚障害部門)、久保 寛之・齋藤 奈緒子・渡辺 美希・渡辺 文治(神奈川リハビリテーション病院 眼科)、斉藤 敏子・長尾 初瀬・山本 真裕美(神奈川リハビリテーション病院 リハ局心理科) 研-9.遠隔ロービジョン相談の試み(第一報)  ○仲泊 聡・高橋 政代・平見恭彦(理化学研究所)、森 一成(神戸アイライト協会)、太田 幸子(先端医療センター病院)、渡辺 文治・久保寛之(神奈川リハビリテーション病院)、奈良 井章人・引地伽織(奈良井眼科)、長岡 雄一・ 河原 佐和子・久保田 真紀(東京都視覚障害者生活支援センター)、原田 敦史・安山 周平・畑野 容子(堺市立健康福祉プラザ)、大内 進(日本盲人会連合点字図書館)、渡辺 哲也(新潟大)、岡田 伸一(元障害者職業総合センター)、楠見 孝(京都大)、伊東 良輔(ぱるむ)、小田 浩一(東京女子大)、高橋 あおい(理化学研究所、東京女子大) 研-10.利用者台帳をベースにした災害時の避難行動要支援者システムの開発の経過  ○棚橋 公郎(岐阜アソシア) 研-11.視覚障害者に対する災害準備情報の提供  ○北村 弥生(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)、藤原 義朗(高知県視力障害者の生活と権利を守る会) 研-12.視覚障害者の医療・健康情報入手についての質問紙調査の報告(その2)  ○原田敦史(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター) 研-13.触法障害者への出口支援―視覚障害者の場合  ○原 志治(神戸アイライト協会) 研-14.書字経験のない全盲者が署名用テンプレートを使ってハンドライティングを行った事例  ○道面 由利香(横浜訓盲院) 研-15.数学図形教材の比によるイメージのしやすさの違いに関する事例的検討  ○佐々木 淳哉(宮城教育大学大学院特別支援教育専修)、永井 伸幸(宮城教育大学特別支援教育講座) 研-16.中途視覚障害者を対象とした点字触読軌跡の分析  ○菊池 志乃・門脇 弘樹・牟田口 辰己(広島大学大学院教育学研究科) 研-17.「フルメーキャップできた視覚障害女性3名の母親を対象とした調査研究」  ○山盛 晃代・大石 華法(一般社団法人日本ケアメイク協会) 研-18.高屈折率スタンプルーペ「みてみ」の開発  ○田邉 正明(日本ライトハウス養成部)、徳永達哉(三井化学株式会社ビジョンケア材料事業部)、高木 俊治(ホプニック研究所)、山口 成志(タイムズコーポレーション株式会社) 研-19.「カプセルペーパー」活用で、初めから視覚障害者対象の「触って観る」アートの制作  ○安田 輝男・安田 孝子(筑波技術大学/触覚伝達デザイン研究会)、岡本 明・市川あゆみ・飯塚潤一(筑波技術大学) 研-20.ズームミラー(凹面鏡)の光学的特性と使い方について  ○鎌田 貴身江(藤沢市民病院) 研-21.中心視野障害シミュレーション試作報告  ○山中 幸宏・金澤 正継・小野 充・近藤 明宏・相澤 学(株式会社朝倉メガネロービジョン・ケア推進室) 研-22.ロービジョンの人たちが感じる写真に写った表情の見えにくさとその改善策  ○乙訓 輝実・小田浩一(東京女子大学) 研-23.画面の解像度と画面サイズがPC版MNREAD-Jの測定範囲に及ぼす影響  ○小田 浩一(東京女子大学人間科学科) 研-24.ロービジョンの読者がiPadで快適に読書するための環境選択について  ○工藤 恵美・勝島 奈津子・鈴木 麻衣・大西 まどか・小田 浩一(東京女子大学)、小松 英海(慶應義塾大学) 研-25.コントラスト感度と階段降下(第2報):臨界コントラスト感度と階段検出に必要なコントラスト感度の比較  ○大森 都・川嶋 英嗣(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) 研-26.弱視者の読み書きの手段としてのタブレット端末の効果の検討─擬似体験による数学のテストからの検討─  ○永井 伸幸・久保田 和樹・佐々木 淳哉(宮城教育大学) 研-27.コントラスト感度と階段降下(第3報):不安感と歩行速度の関連  ○川嶋 英嗣・大森 都(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) 研-28.タッチテクニックの白杖操作時における標準的な握りとFingertipGraspの比較検討  ○小林 章(日本点字図書館) 研-29.ケース報告:全盲ろう者への盲導犬貸与事例  ○多和田 悟・田中 真司(日本盲導犬協会) 研-30.駅構内における歩行訓練のための一提案 ─世田谷区の取り組みを通じて─  ○木村 仁美(世田谷区立総合福祉センター) 研-31.歩行訓練士および歩行訓練の実態について  ○堀内 恭子(日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター) 研-32.中途視覚障害受障初期の白杖歩行におけるベアリングに関する研究─白杖の反響音の観点から─  ○門脇 弘樹・菊池 志乃・牟田口 辰己(広島大学大学院教育学研究科) 研-33.触地図キットの有用性の評価  ○豊田 航・大倉 元宏(成蹊大学理工学部)、尾形 真樹(杏林大学医学部付属病院アイセンター)、 大内 進(国立特別支援教育総合研究所)、 清水 美知子(モビリティ研究会) 研-34.縁端警告ブロック付道路側溝用蓋の提案(はしっこくん)  ○宮部 幸弘(桜コンクリート株式会社)、棚橋 公郎(岐阜アソシア) 研-35.視覚障害者の障害物またぎ動作における足部軌跡の特徴  ○宇野 直士(徳山工業高等専門学校)、Ping Yeap Loh(九州大学大学院芸術工学府)、村木 里志(九州大学大学院芸術工学研究院) 研-36.非視覚的スマートフォン操作における文字入力速度の比較  ○渡辺 哲也・新貝 章太(新潟大学) ○活動報告 活-1.機能訓練事業所における気分障害を疑う例のスクリーニングについて  ○中津 大介(東京都視覚障害者生活支援センター) 活-2.鹿児島心の健康講座  実践報告Vol. 5-1  ○良久 万里子(鹿児島県視聴覚障害者情報センター)、田中 桂子(先端医療センター病院 診療部 再生治療ユニット眼科・橋村メンタルクリニック) 活-3.弱視者を対象とした電子通信を用いた鹿児島・広島間の遠隔指導へのプロセスと現状(鹿児島心の健康講座 実践報告Vol.5-2)  ○田中 桂子(先端医療センター病院)、良久 万里子(鹿児島県視聴覚障害者情報センター)、氏間 和仁(広島大学大学院教育学研究科)、池畑 友美(広島大学教育学部)、森越 まや(株式会社ラグーナ出版) 活-4.音声ガイド機能搭載の家電及び拡大読書器に関する動画コンテンツの紹介  ○奈良 里紗・村上 卓也・岩池 優希・竹内 涼・増田 雄亮(視覚障がい者ライフサポート機構“viwa”) 活-5.「スマホ・タブレット 最初の1歩をどう後押しするか──日本点字図書館IT教室の取り組みから」  ○清水 重人・小暮 淳・長岡 英司・松谷 詩子・三浦 みどり(日本点字図書館) 活-6.東京視覚障害者生活支援センターにおける就労移行支援事業の実践報告  ○石川 充英・山崎 智章・小原 美沙子・宮之原 滋・稲垣 吉彦・河原 佐和子、長岡 雄一(東京都視覚障害者生活支援センター) 活-7.盲ろう者の理療就労に関する実態調査ー盲ろう者10名の面接結果からー  ○高橋 忠庸・浮田 正貴・伊藤 和之(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局理療教育・就労支援部理療教育課) 活-8.理療教育を学ぶ盲ろう者が実技を習得するための支援─第3報─  ○浮田 正貴・高橋 忠庸・伊藤 和之(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局理療教育・就労支援部理療教育課) 活-9.愛媛県スマートサイト「みきゃん愛ネット」の作成  ○中川 幸士(愛媛県視聴覚福祉センター)、宇田 高広(市立宇和島病院)、和田 浩一(愛媛県立松山盲学校)、岡部 志穂(愛媛県立中央病院)、神野 恵吉(愛媛大学医学部附属病院)、山田 敬宏(有限会社リプル・エフェクト) 活-10.「徳島ロービジョンネットワーク」活動報告と設立までの経緯報告  ○阪井 紀夫・湯浅 愛子(徳島県立障がい者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター)、四宮 加容(徳島大学大学院医歯薬研究部眼科学分野)、村尾 史子(徳島県立中央病院眼科)、西野 真紀(阿南共栄病院)、森下 恵美子・直江 幸美(徳島大学診療支援部)、長尾 公美子(徳島県立徳島視覚支援学校) 活-11.ロービジョンリハビリテーション外来開設における聞き取り調査報告  ○松田 安世・吉田 宗徳(名古屋市立大学病院)、渋谷 文枝・田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーションセンター) 活-12.ロービジョン外来実施施設での日本盲導犬協会の役割  ○笹山 夕美絵・菅原 美保・村井 孝典・山口 史明(日本盲導犬協会)、小泉 大介(株式会社 トラストメディカル) 活-13.自立訓練施設のない地域の眼科で社会福祉士が実践した視覚障害リハビリテーション  ○三浦 久美・木下 雄貴・出田 隆一(出田眼科病院) 活-14.情報提供施設における相談・訓練事業の取り組み~堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターの場合~  ○畑野 容子・原田 敦史・安山 周平(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター) 活-15.見えない・見えにくい人の暮らしの中のあれこれを、見える人はどう見ているのか  ○石川 佳子(京都府視覚障害者協会 メルマガ色鉛筆編集チーム) 活-16.本協議会における「日常生活訓練事業」の変遷について  ○坂部 司・高柳 泰世・山本 潔・古澤 葉子・桑野 真木子・天野 満紀恵・渡辺 和子・小谷 充子(愛知視覚障害者援護促進協議会) 活-17.笙の会(旧視覚障害日常生活訓練研究会)活動報告  ○内記 郁(笙の会) 活-18.第25回静岡大会の大会企画に関するアンケート結果からの考察  ○堀江 智子(静岡大会実行委員会・静岡視覚障害者福祉推進協議会) 活-19.視覚障がい女性の化粧やファッションに対する工夫に関する情報発信の取組  ○山本 紗未(視覚障がい者ライフサポート機構“viwa”) 活-20.日本盲導犬協会神奈川訓練センターにおける新規盲導犬希望者開発の取り組み  ○根本 学(日本盲導犬協会) 活-21.鶴見大学「情報バリアフリー推進会」における視覚障害関連の情報保障活動について  ○元木 章博(鶴見大学情報バリアフリー推進会) 活-22.視覚障害学生を初めて受け入れる大学の合理的配慮に関する事例報告  ○細川 陽一(愛知県立名古屋盲学校) 活-23.視覚障害学生の受け入れの前例がなかったA大学における学生支援事例と今後の課題  ○久保田 絢女(武蔵野市地域療育相談室ハビット)藤田 さより(聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学科) 活-24.身体障害者手帳を持たない方に対する歩行訓練の実践報告  ○髙橋 芳枝(東京ヘレン・ケラー協会点字図書館) 活-25.用具事業課における歩行訓練士の役割と、用具販売と視覚リハの親和性の考察  ○関谷 香織(日本点字図書館用具事業課) 活-26.ホーム縁端の誤認を防ぐためのホーム端内方線活用徹底の有効性  ○加藤 俊和(全国視覚障害者情報提供施設協会) 活-27.神奈川県ライトセンター指導訓練事業における講座・講習会 活動報告  ○内田 まり子・村松 里恵・高橋 昌希・青山 しのぶ(神奈川県ライトセンター) 活-28.盲ろう者(視覚聴覚二重障害者)を対象とした「日中活動プログラム」の開発  ○小平 純子・前田 晃秀(東京都盲ろう者支援センター)、大河内 直之(バリアフリー映画研究会)、木本 多美子(モンキーマジック)、橋間 信市(全国盲ろう者協会)、福島 智(東京大学先端科学技術研究センター) 活-29.チャレンジド・ヨガ~視覚障がいの方のヨガ~ ―過去、現在、そして…未来―  ○高平 千世・大坂 和則・加藤 亜樹(日本カルチャーヨガ協会)、澤崎 弘美(いけがみ眼科整形外科)、村上 智彦・長岡 正芳(株式会社オッシュマンズ・ジャパン) <記念講演>「リハビリと無縁の85年~無謀と執念の人生~」  高橋 実(視覚障害者支援総合センター 理事長)  私は、テーマの通り、リハビリとは無縁の世界で85年間生きてきました。今からのリハビリは、終末リハビリしかないのではないかと真剣に考えています。  私は、生まれて以来今日まで光の恩恵を受けずに歩いてきましたから、本来なら動く(歩行)ところからリハビリを受けておれば人生も変わっていたのかなあと考えることもあります。  北海道でペンギンの行進で有名になった旭山動物園近くの貧乏農家で、7人兄弟の5番目で、見えないということに気が付いたのは2歳前後だと聞いています。  旭川盲唖学校への就学通知を断るほどの母でしたから、旭川盲には1年遅れの1939(昭和14)年に入学して直杖を持ちました。それまでは馬を乗り回したり、三輪車に乗って欄干の無い橋からどれだけ落ちたことか数え切れません。  学校で杖は歩く道具ではなく戦争ごっこで叩き合う物としか思っていませんでしたし、杖の使い方など旭川はもとより、札幌、岩手でも習った覚えはありません。ですから、杖の使い方や歩行で専門家から指摘されますが、習おうとは思いませんでした。  自分が歩き易いように歩くのがいいとは思いますが、小さい時に基本だけは習っておく必要があったと感じています。  戦後間も無くまでの盲学校の職業教育は理療一辺倒でしたから、それに反発して中等部2年の後半から3年半不登校で我が家に戻ったため、あまり杖を必要としませんでした。  1954(昭和29)年、進学で上京してから今日まで折りたたみの杖を鞄に入れております。大学の4年間は西荻窪と三鷹から水道橋まで通学していましたが、危険な目にあったのは、水道橋で連結に飛び込んだのと、四谷で普通電車から快速電車に乗り換える時にホームから落ちた1回だけです。  点字毎日に入ってからは、家内や子供、秘書と、視覚障害者支援総合センターを立ち上げてからは職員と歩いております。同行援護も活用しています。  誤解されると困りますが、私は一人歩きを否定しているのではなく、怖くなく楽しく歩ける人はそれに越したことはないと思います。  日常生活でも見苦しかったり、周囲を不愉快にするような振る舞いは慎むべきだと思いますから、指導や訓練を受けて防げるものなら直した方がいいと思います。見様見真似の文化に恵まれない視覚障害者にとって、どうでもいいことで見下されることが多いと思います。  待機児童対策で保育園と幼稚園の活用で、厚生労働省と文部科学省の管轄が壁になっていると聞きましたので難しいのかもしれませんが、盲学校を地域に開放すれば訓練施設も増えます。見えない、見にくいの別なく、必要な時に何処ででも歩行や日常生活、点字の指導が受けられるような環境づくりをしていくことも大切だと思います。 <基調講演> 「視覚障害リハビリテーションとわたし」  田中 徹二(日本点字図書館 理事長)  私が失明して社会復帰したのは、1955年である。入院中に点字の読み書きができていたので、社会復帰の第1歩は、今でいうリハビリテーション訓練だった。しかし、当時の訓練というのは、あん摩、はり、きゅうの技術を学ぶだけで、歩行訓練などはなかった。歩行訓練と称して、狭い前庭で、白杖を左右に振りながら、単に歩き回るだけだった。  その私が本格的な視覚障害リハビリテーションに関わったのは1969年である。原田政美所長(眼科医)の東京都心身障害者福祉センターで働き始めてからだ。日本点字図書館に転職するまで、リハビリテーションの業務にどっぷりつかっていたことになる。それこそ中途失明者の相談にのったり、入所や通所の人たちにコミュニケーション訓練をしたり、ときには研究発表もした。また、職業に従事していた人が失明した場合、生活訓練後、元の職場に戻ってもらうことが、当時の視覚障害科の願いでもあった。その人の職場を訪問して説得したりした結果、いくつかの成功例を見ることができた。  1970年には、日本ライトハウスで、アメリカから講師を招いて、歩行訓練士の養成が始まり、センターからも何人かが訓練を受けた。それによって本格的な歩行訓練がわが国で始まったのである。相談から生活訓練、ときには職場復帰も含む進路指導へと一貫したリハビリテーションをするという当時は全国でも例のない先駆的なセンターだった。そんなセンターで働けたことは、今でも私の財産になっている。  1991年、日本点字図書館に転職して、リハビリテーションとはすっかり疎遠になった。しかし、相談にのった多くの中途失明者が口にした「文字が見えなくなって、本が読めなくなったのが一番寂しい」という言葉は、頭に残っていた。記憶にあった人名を、日点の利用登録者の中に捜したが、ほとんど登録されていなかった。たぶん「本を読む」とは、新聞や週刊誌のページをめくる程度ではなかったのかと思ったことを覚えている。  ところが最近は、その週刊誌が読める。ページをパラパラとめくっていたのと同じ感覚で読めるのである。それと同じように、バリアフリーや同行援護の影響は、歩行スタイルを一変させている。また、コミュニケーション訓練においても、主流はスマホの操作だ。  視覚障害リハビリテーションの分野におけるこのような変化について、どう対応しているのか今回の大会において見聞したい。 <指定講演1>  「わたしにとっての障害者差別解消法」   大胡田 誠(つくし法律事務所 弁護士) ■差別を解消するための大きな2本柱  障害者差別解消法では、大きな柱が2つ示されています。  1本目の柱は、国などの行政機関と民間事業者に対し、障害者に対する不当な差別的取扱いを禁止することです。  2本目の柱は、国などの行政機関には法的義務として、民間事業者には努力義務として、障害者に対し「合理的配慮」を提供することを求めていることです。 ■障害のある人と障害のない人の間の対話が必要  たとえば、私についていえば、学生時代「火が出たら危ないから」といわれて下宿に入れてもらえなかったことがありました。  このような区別や拒否の背景には、「視覚障害者がガスレンジなどを使ったら火事を起こすかもしれない」という意識があるのだと思います。  しかし、実際のところ、視覚障害者は目の見える人よりも火事を起こす危険性が高いという客観的なデータはありません。  そうすると、このような区別や拒否には、「正当な理由」がないので、障害者に対する不当な差別的取り扱いであるということになります。障害者差別解消法では、このように、思い込みや偏見に基づいて、障害者を区別したり、サービスの提供などを拒否してはいけないとされたのです  もっとも、障害者を区別したり拒否したりする場合、それが思い込みや偏見に基づくものだと気づかない場合があります。重要になってくるのが障害のある人と障害のない人の間の対話なのです。  障害のある人は粘り強く自分のできることとできないことについて伝える努力を重ねなければならないし、一方、障害のない人も、対話を通じて、自分の心の中に「バリア」がないか、もう一度考えてみることが必要なのではないでしょうか。 <指定講演2> 「音声ナビを利用した自律歩行支援の実証実験」   貞清 一浩(清水建設(株)技術研究所)  清水建設では、視覚障害者や車椅子利用者など、障害を問わず誰もが屋内外を自由に移動できる社会の実現のため、屋内ナビゲーションシステムの開発を進めています。屋外では、GPSなどの衛星測位システムによる位置測位技術が広く一般化していますが、衛星信号の届かない屋内や地下街については、標準的な位置測位技術がまだ確立していません。  また、視覚障害者を対象としたナビゲーションには高い位置推定精度が必要なだけでなく、視覚障害者にとって分かりやすい情報提供の方法や内容についても検討していく必要があります。  そこで、当社はスマートフォンを用いた屋内と屋外を連続的に利用できる音声ナビゲーションシステムを開発し、当社技術研究所施設内に実証環境を構築しました。  今回の開発方針として、早期に実用化できるシステムを構築することとし、そのため専用機器や特殊なセンサではなく、既に広く普及しているスマートフォンとBLEビーコンを用いました。  本システムは視覚障害者だけでなく多くの方が利用できるため、いろいろな施設や場所に展開されることが期待されます。  2015年6月にはこのシステムを用いて12名の視覚障害者を対象に実証実験を行い、位置推定の精度や案内の表現方法などについて評価しました。また、昨年は実際の商業施設と地下街にも同様の実証環境を構築し、2016年12月から2017年2月にかけて、延べ55名の視覚障害者を対象に大規模な実証実験と体験会を行いました。  本講演ではこの2つの実証によって明らかになった、音声ナビゲーションシステムの自律歩行支援への可能性と実用化に向けた今後の課題について報告します。 <特別講演> 「網膜再生医療とアイセンター構想」   高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)  2014年9月に施行された加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞シート移植の1例は手術後2年を経過し安全性が確認された。視細胞移植も動物実験で効果が確認され前臨床試験へと進んでいるが、どんな治療法も最初の臨床研究では安全性確認が目的である。再生医療、特に網膜の再生医療はまったく新しい治療であり最初は効果も小さい。改良を重ねて徐々に効果的な治療となることが考えられるが、過剰な期待が持たれやすく、失望リスクを抱える。  一方で、新しい治療を開始する場合は治療のリスクとベネフィットを十分に吟味して慎重に進める必要があるが、日本ではゼロリスクを求める傾向があり進まないと言う問題がある。いずれもリスクコミニュケーションが重要となる。  過度な期待は治癒が唯一の問題解決法であると考えることが一因であるため、ロービジョンケアという別の解決方法の存在を伝えることも重要である。再生医療はリハビリテーション(ロービジョンケア)とセットで完成することを周知する必要がある。また、ロービジョンケアの有用性を多方面に理解してもらうためには、社会全体の視覚障害に対する認識を変化させる必要もある。  このような問題を解決し新しい医療を創るため、神戸で進行中の、研究、医療、患者ケア、福祉窓口、就労支援がワンストップとなるアイセンターと視覚障害のイメージ変革を目指す公益法人NEXT VISIONのisee運動についてご紹介する。 協会企画 視覚障害リハビリテーション協会責任企画 視覚リハ未来への挑戦Part2  第一部 視覚リハ自分ごとプロジェクト クローズアップ『移動支援』  第二部 研究トラの巻其の2 現場から発信!調査研究のツボ 協会主催大会プログラム検討委員会 委員長 田中 雅之 ◆協会主催大会プログラムについて  視覚障害リハビリテーション協会では、2009年度以降、年に1回の研究発表大会を開催地域主体のプログラムで実施することとなり、大会準備・運営を通して、開催地域内での関係職種の連携が強まるなどの成果も出ています。また、各地域の課題や特色が色濃く出るようになってきました。一方で、より日本を俯瞰して大きな視点で考えることが求められ始めており、全国の協会会員が一致協力して検討する課題も見えてきました。そこで、研究発表大会プログラムの一部に試行的に協会主催大会プログラムを設け、今後の大会のプログラムや開催方法について検討していく事になりました。運営は協会主催大会プログラム検討委員会が担い、試行期間は3年間で、今回はその2年目になります。3年間を通しての総合テーマは『視覚リハ未来への挑戦』として、第一部は、宿題報告と討論形式で行い、『視覚リハ自分ごとプロジェクト』として特定の領域(今年度は「移動支援」)を取り上げます。関連する領域の複数の専門家に各領域での視覚リハの特徴と現状、そして課題を宿題報告していただきます。講演後、参加している会員の皆様とクロスオーバーにテーマを討論し未来への挑戦へのバネにしていただく企画です。第二部は、講義形式で、未来への挑戦の武器として日々の仕事を振り返り、かつ様々な現場で役立つ臨床研究手法を『研究トラの巻』シリーズで実施していきます。『研究トラの巻』シリーズの企画・運営は、当協会の論文編集委員会に依頼しています。 ◆プログラム 第一部『視覚リハ自分ごとプロジェクト』クローズアップ移動支援 総合司会 小林 幸一郎(NPO法人モンキーマジック)   田中 雅之(名古屋総合リハビリテーションセンター)  宿題報告者   相馬 睦(独協医科大学越谷病院)   堀江 智子(公益財団法人 日本盲導犬協会 日本盲導犬総合センター)   岡島 喜謙(福井県立盲学校)   豊田 航(成蹊大学理工学部システムデザイン学科) 第二部『研究トラの巻』 其の1現場から発信! 調査研究のツボ 講師 増田真也(慶応義塾大学 看護医療学部看護学科) ◆第26回大会協会主催大会プログラム 視覚リハ未来への挑戦 Part2 第一部『視覚リハ自分ごとプロジェクト』 クローズアップ「移動支援」  昨年度、ホーム転落事故が相次ぎ、視覚障害者の安全な移動の保障が大きな注目を集めました。そこで、今回は視覚障害者の「移動支援」をクローズアップし、医療領域から相馬さん(独協医科大学越谷病院)、訓練領域から堀江智子さん(日本盲導犬協会)、教育領域から岡島喜謙さん(福井県立盲学校)、研究領域から豊田航さん(成蹊大学)に、それぞれの領域での視覚障害者の移動支援(訓練・制度・技術等)の特徴、現状どこまでできていて課題は何かを宿題報告していただきます。自分の専門領域はもとより他の専門領域では何が起きているかを共通認識し、そこにある課題に自分の専門性で何ができるか?他の専門領域に何ができるか?を皆様と討論します。視覚障害者の移動支援における課題を自分ごととして取り組んでいただけるような材料を共有したいと考えています。結論はあえて求めず、クロスオーバーな領域のセッションによって視覚リハの未来に何かを起こす起爆剤となればと期待しております。 第二部 『研究トラの巻』 其の1現場から発信! 調査研究のツボ  研究の中でも、比較的取り組みやすいと思われるアンケート調査などの調査研究の手法を増田真也さん(慶応義塾大学)にご講義いただきます。研究というと我々の日常の仕事からかけ離れたイメージがあり、若干ハードルが高いイメージがあります。しかし、普段現場で皆さんが患者さんや利用者さんへの対応を通して経験している事や職場の同僚、先輩などと話している見立てのような事の多くは明日の視覚リハの大きな鍵を握っています。それを発表としてまとめ、多くの方と共有することで新たな視覚リハの未来を切り開く種になっていきます。増田氏には、そういった我々の日常業務の中での発見や気づきを、どうやって科学的な視点で分析し発表レベルにまとめるか、調査研究の手法とコツをわかりやすくご講義いただきます。皆さんの日々の実践の成果を多くの人達と共有しそれをブラッシュアップする方法のポイントを一緒に勉強しましょう!  ★協会主催大会プログラム委員会   田中雅之(委員長)、新井千賀子(副委員長)   吉野由美子、園順一、和田浩一、武田貴子、岡島喜謙、中村透 シンポジウム 「視覚リハシステムのあり方について考える―機能訓練と相談支援―」   座長 小林 章(日本点字図書館)  シンポジスト  〇田中 雅之(名古屋市総合リハビリテーションセンター)  「視覚障害者のニーズに対応した機能訓練事業所の効果的・効率的な運営の在り方に関する調査研究事業に協力して見えてきたこと」  〇橋井 正喜 (名古屋市視覚障害者協会 副会長 日本盲人会連合 常務理事)  「訓練施設に紹介する当事者の立場から」  〇仲泊 聡(理化学研究所)  「訓練施設等に紹介する眼科医の立場から」  〇堀内 恭子(日本歩行訓練士会 事務局長)  「歩行訓練等のサービスを提供する立場から」  日盲連は、毎年視覚障害者の福祉向上のために様々な制度改革に関する要望を行っていますが、視覚リハ関連では、歩行訓練士の各県への複数必置の要望をここ3年ほど出しています。「歩行訓練士は、本当に各県に複数必要なのか」、「人口何万人に一人いたら良いのか」等の科学的な根拠となる調査は、今までほとんど行われていないので、その要望の根拠となるような調査研究を行いたいとして、日盲連が厚労省の「平成28年度障害者総合福祉推進事業 視覚障害者のニーズに対応した機能訓練事業所の効果的・効率的な運営の在り方に関する調査研究事業」に応募し、予算を獲得し、調査研究事業を実施することとになりました。  視覚リハ協会では、「専門職配置に関する調査検討委員会」を作って、調査の実施と報告書作成について、視覚リハ専門家の立場から協力して来ましたが、平成29年3月一杯で、「報告書」が作成され、厚労省をはじめ、関連団体に配布されることになりました。  平成30年度は、障害福祉サービスの報酬等の見直し時期にも当たり、今回の調査結果を一つの根拠として、平成29年度中に、機能訓練を中心に、歩行訓練等の視覚リハに関する施設基準や報酬に関する見直しが検討されることが予測されています。  視覚リハサービスに従事する私たちにとって、この調査の概要と今後の見通しについて情報を共有しておくことは、大変重要なことと考えて、第26回大会の中で、このシンポジウムを開催することを提案し、川崎・鶴見大会実行委員会の支持を得ました。  このシンポジウムの開催を通して、視覚障害リハビリテーションサービスを、今後どのように展開して行くのが良いのかについて、様々な専門分野の方たちがじっくり考えて行くきっかけとなれば幸いです。  視覚リハ協会専門職配置に関する調査検討委員会   委員長 吉野 由美子 指定セミナー 「視覚障害者スポーツ」  L-1-1 「運動だって視覚リハ」   林 知茂(国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)  運動が身体活動量の低下を防ぎ、健康に役立つことは一般的に知られていることだと思います。具体的には体力・筋力を維持するのはもちろんのこと、生活習慣病などの予防になります。これは決して晴眼者のみを対象にした事項ではありません。  これまでの研究では、視覚障害者は晴眼者と比較して、体格・体力・有酸素機能的作業機能が低下していると報告されています。他にも、高齢者を対象とした研究で、視覚障害者はボディーバランスが悪いと結論づけられています。その結果、視覚障害者は転倒しやすいと問題になることが多いです。視覚情報量が原因の場合もあると思いますが、体力や筋力、ボディーバランスの強化によって防げるものもあるのではないでしょうか。  外来診療中に「運動して体力維持と病気の予防を」とお勧めすると、ウォーキングやランニングを思い浮かべる方がほとんどで、「見えにくいから出来ない」と否定的な返答をいただくことが多いと感じています。話を聞くと、健康のためには(痩せる・カロリーを消費するなど)走るもしくは歩くしかないと思っている方がほとんどです。  このセッションでは、見えにくい・見えないを前提にした運動プログラムをご提案します。歩かなくていい、走らなくていい運動を、しかも自宅で出来るような運動であれば、多くの視覚障害者の方々が実践できると思います。運動不足を解消して、丈夫な体・足腰を手に入れましょう。リハビリテーションの世界では「安静は麻薬」と言われています。「転ぶから動かない」では余計に転びやすい体を作っています。運動して体のメンテナンスをすることは視機能のレベルに関係なく、視覚リハビリテーションの重要な一部なのです。  L-1-2 「視覚障害者スポーツを楽しみたい!」   大野 建治(上野原市立病院眼科) 視覚障害者スポーツを楽しみたい!には2つの思いが込められています。一つは視覚に障害があったとしても、「運動をしましょう」という意味です。もう一つは、まだ運動を自分自身でする気にならなくても、「スポーツ観戦を楽しみましょう」という意味です。この2つの思いには、晴眼者、視覚障害者は関係ありません。 それには、どんな視覚障害者スポーツがあるのか?そのスポーツのルールは?どんなところが楽しいのか?どんな選手が活躍しているのか?そういったことを知る必要があります。 来たる2020年東京オリンピック、パラリンピックでは、国をあげてパラリンピックに力をいれているので、今までで一番注目されるパラリンピックになる可能性があります。ではパラリンピックの中で視覚障害者対象のスポーツ種目は何があるでしょうか?それぞれの種目の紹介と観戦時の楽しみ方についてお話したいと思います。 でも、皆さんでパラリンピックを目指しましょうというのは無理があります。そこで、その他に日本国内で、どんな視覚障害者対象のスポーツが行われているのか。その中には、勝ち負けを競う試合形式のものばかりでなく、レクリエーションとして気軽に誰もが楽しめるスポーツもあります。必ず、自分が興味を持てそうなスポーツは見つかるはずです。そのスポーツが見つかったら、私たちに教えてください。その団体への連絡の取り方、参加の仕方をお伝えします。 そして、ぜひスポーツを通じて、仲間を増やし、より健康に人生を楽しみましょう!  L-1-3 「知っておきたい眼疾患 視覚障害者スポーツ編」   鈴木 重成(獨協医科大学 眼科学教室)  パラリンピックをはじめとする国際的な障がい者スポーツ大会に参加する選手は、競技前にクラス分けを受けなければならないというルールがある。  クラス分けは、障害の程度を科学的に評価して同等の障害をもつ選手が競い合うようにする、公平と公正を目指す障がい者スポーツ独自のシステムである。  視覚障害のクラスは、視力と視野でB1~B3の3つに分類される。B1~B3と判断されればEligible、つまり参加資格が与えられる。該当しなければNon- Eligibleとなり、参加できない。また、クラス分けでは、NEW、Review、Confirmed、CNC(Classification Not Complete)といったStatus(状況)も判定される。  クラス  B1:B1<LogMAR 2.6   まったく光覚がないか、いかなる距離からも、いかなる方向からも手の形を認識できない  B2:LogMAR 2.6 ≦B2< LogMAR 1.5  視野半径5度まで   手の形は認識できるが、視力6/200(=0.032)未満、あるいは視野5度まで  B3:LogMAR 1.5≦B3< LogMAR 1.0  視野半径20度まで   視力6/200 (=0.032)以上、6/60(=0.1)未満、あるいは視野20度まで  NE : Non-Eligible   B3の基準をこえる視機能の場合は不適格  クラス分けで参加資格を与えられた選手の眼疾患は、さまざまである。IBSA/IPC(国際視覚障がい者スポーツ連盟 / 国際パラリンピック委員会)の統計では、網膜色素変性が最も多く、続いて緑内障、視神経萎縮、スターガルト病、眼球ろう、とされる。これらの各眼疾患の特徴を理解することは、選手のパフォーマンスの向上や選手のサポートを行う上で大変重要である。  本セミナーでは、視覚障がい者スポーツに関係する眼疾患について解説する。更に、演者が国際クラス分けに参加した際に経験した症例を提示し、皆さんと一緒に検討したいと思う。 地域活動報告(指定)1  S-1-1  NPO法人目と心の健康相談室からの報告   ○荒川 和子(NPO法人目と心の健康相談室)、若倉 雅登(井上眼科病院)、清澤 源弘(清澤眼科医院) 【目的】 眼や視覚に健康障害が発生した場合、疾患や不調を抱えながら生活していかざるを得ない人々が少なくない。しかし、病院医院においては医師からは医学的な診断、治療が施され、説明を受けることはできるが、不調を抱えた生活者としての不安の軽減、生活の質の向上に関する方策にはほとんど触れられない。2015年4月NPO法人目と心の健康相談室を立ち上げた。その効果を検討する。 【方法】 目と心の健康相談室を2015年4月~2017年2月に有料で利用した125名を対象とし、利用者の反応を調べた。 【結果】 男性31名(25%)、女性94名(75%)で平均年齢は54.7(±18.6)歳だった。相談分類は臨時会員(単発)42名、相談会員(半年間)83名だった。対応したのは医師のみ29名、看護師のみ34名、医師と看護師で対応したのは45名だった。相談会員(半年間)の相談回数は12回以内が108名(86%)、12回以上利用した人は10名(8%)、相談なし7名(6%)であった。視力に関する訴えが30名、視覚に関する訴えが95名だった。相談の目的は(1)疾患や症状の不安85名(37%) (2)辛さの聴取希望39名(17%)(3)情報希望39名(17%)(4)助言希望49名(21%)(5)その他18名(8%)だった。介入方法は(1)コーチングを含む傾聴82(27%) (2)社会資源等の情報提供8名3%) (3)就労や就学への情報提供4名(2%) (4)視機能に関する助言39名(17%) (5)セカンド・オピニオンへの助言37名(16%) (6)患者会の情報提供17名(7%) (7)その他66名(29%)であった。利用者の声として「病気との付き合いが分かった」、「同病の人とつながることができた」、「医師や看護師にゆっくり話を聞いてもらえた」、「アドバイスが有用」、「相談室があると安心」などがあった。全く聞く耳を持たなかった高齢者が1名おり、相談料を入金しただけで利用しなかった人も7名いた。 【結論】 医学的加療以外に患者の「こころ」をサポートする「目と心の健康相談室」は患者の不安を軽減するのに有効であった。 S-1-2 小さな視覚障害当事者団体による障害福祉サービス事業開始までの取り組み   神崎 好喜(一般社団法人ピアプレース) 【はじめに】  一般社団法人ピアプレースでは、2017年4月1日に就労継続支援B型事業所わーくぴあを開設した。今回は、開設に至る経過やそこから見えてきた課題を報告する。 【経過】 (1) 横浜市神奈川区視覚障害者福祉協会(かな視協)の活動 (2) 視覚障害者支援センターピアプレースの活動 (3) 一般社団法人ピアプレースの活動  「1」 区民からの寄付の申し出  「2」 区役所・区社協の対応  「3」 一般社団法人の設立  「4」 事業所としての利用を前提とした物件の賃借と事務所開設  「5」 法人の目的・事業をめぐる内部の考え方の相違  「6」 法人のPRと事業開始に向けたイベントの開始  「7」 建築基準法及び横浜市福祉のまちづくり条例の壁  「8」 事業開始に向けた具体的取り組み 【就労継続支援B型事業所わーくぴあについて】 (1) 作業種目 (2) 利用者の状況 (3) 職員の状況 【課題の整理】 (1) 『3障害』の視点の長所と短所  「1」 長所:共生の理念に一致、相互補完性の確保、利用(候補)者の増加  「2」 短所:視覚障害者専用が困難、視覚障害の障害特性や就労特性から乖離 (2) 当事者中心団体の困難性 (3) 後発施設の困難性 (4) その他の課題(通所支援、職場介助者、ジョブコーチ等) 【今後に向けて】  S-1-3 「映画に音声ガイドを!」 現状と展望   ヨコハマらいぶシネマの活動から見えてきたもの   鳥居 秀和(ヨコハマらいぶシネマ 代表)  視覚障害者と映画  視覚障害者が音声ガイドで映画を楽しむ、ということをご存知の方はどの程度いらっしゃるのだろうか?  日常生活で受け取る情報の大部分が視覚によるものである中で、殊に映像情報は視覚障害者にとって大きなバリアであり、映像をもってテーマを伝える映画という芸術は最も視覚障害者から遠いところにあると捉えられる。しかし、映像に対し適切な説明があれば視覚障害者もまた映画を理解し楽しむことができる。  音声ガイドボランティア「ヨコハマらいぶシネマ」の活動  ・横浜のミニシアターを拠点として音声ガイド付き上映を定期的に実施  ・会員数 視覚障害者、晴眼者あわせて30名  反響と影響  ・視覚障害者から  ・映画の作り手から  8年間の活動から見えてきたもの   ○求められるガイドとは?   ○映像表現を言葉で表現する限界   ○今、映画館で上映されている映画を見たい?   ○映画の作り手、送り手としての意識   ○専門性、多岐にわたる技術   ○「映画」と「映像」は何が違う、どう違う  映画の音声ガイドをめぐる社会的な情勢と今後のかたち   (1)UDCastの普及と課題   (2)「シネマデイジー」の果たす役割   (3)ユニバーサル映画館の示す可能性   ○視覚障害当事者・支援者の間での「情報格差」   ○映画館から町が変わる 地域活動報告(指定)2  S-2-1 オブリガードのこれまで、そして、これから   杉友 三千代(川崎市視覚障害者ボランティア連絡会 会長)  オブリガード、正式名称は川崎市視覚障害者ボランティア連絡会。 その名の通り、視障者を対象としたボランティアグループのネットワークである。  今から29年前、点訳、録音、拡大写本の5つのグループで結成された。以後、毎年のように参加グループが増え、またPCサポートやデイジー編集のグループも加わり、現在18団体、会員数は、およそ500人となっている。  当初、すでに歴史を重ねたグループもあったが、まだまだ体力の弱いグループもあり、助成金の申請や機材の充実、勉強会など、ネットワークならではの活動によって基盤を築いていった。  また、川崎市盲人図書館との共催で機器展や図書館まつり、講座や講演会なども行ってきた。  点訳、録音、拡大写本、PCサポート、それぞれの分野での、それぞれのグループ活動が、あくまでもメインだが、川崎市視覚障害者福祉協会の行事(総会、相互激励大会、新年会ほか)への協力、STT(サウンドテーブルテニス)大会の手伝いや、特に日盲連の川崎大会など関東ブロックの大きな規模のものには、数百人単位でのサポートになる。  南北に細長い川崎市には7つの区があり、そのすべての区にオブリガードのグループはある。  各グループが地域に根を張り、充実した活動をしていくことがサービスを必要としている利用者にとって役立つものとなる。そのためには、今後も情報交換などで横のつながりを大切にしていくこと、合同で勉強会をしていくことなどを考えていきたい。  盲人図書館から移行した川崎市視覚障害者情報文化センターについても、情報を共有しながら、 それぞれの組織の特長を生かし、ともに視障者福祉に寄与出来る関係でありたいと思う。  そして、なにより視障者自身がオブリガードを認知し、身近な存在として感じていただけることが大事だと考えている。  S-2-2 川崎視障協 囲碁の会 6年の歩み~触覚訓練と交流の輪の拡大をめざして   松本 雄治(川崎市視覚障害者福祉協会) 1.囲碁の会の設立の目的と設立の経緯 視覚障害者が囲碁を楽しみつつ、触覚の機能強化と脳トレを図り、合わせて仲間との交流の輪を広げ、社会参加を促進することを目的とする。 視覚障害者囲碁では視覚障害者のために考案された、立体的な碁盤、碁石を用い、突起の有無で白黒を判別できる碁石を立体的な格子の枡目にはめ込み対局する。 日本点字図書館で開催の囲碁教室ニ参加の体験を基に、日本福祉囲碁協会・日本視覚障害囲碁普及会・川崎市北部身体障害者福祉会館・川崎視障協の支援を得て、約5ヶ月の準備期間を経て、平成23年10月に活動を開始した。 2.活動の経過と現状及び実績と評価 平成23年10月に4名の会員でスターとし、視障協、オブリガード(川崎市のボランティア組織)の協力を得て、PRに努め、徐々に会員も増加した。定例会も月間2回から3回とし、今春から4回の開催とした。定例会には、日本福祉囲碁協会から毎回3~4名のボランティア棋士の派遣を得て2時間の活動を実施している。現在の会員数は13名(内、女性5名)である。 現在までの各種活動の実績は、次の通りである。 定例会の開催 ・視覚障害者囲碁大会(関東一円から参加)の開催2回及び開催協力 ・福祉囲碁大会への参加 ・ふれあい祭り、北身館祭りでの囲碁体験コーナーの設置 ・囲碁入門書2冊の音声デイジー版制作とサピエ図書館へのアップ ・マスメディア(新聞・ラジオ・テレビ)での活動紹介により囲碁の普及活動を展開した。 また、平成25年度から川崎市の活動助成を受けている。 参加者の棋力は少しずつではあるが向上し、例会は親睦交流におおいに役立っている。活動は日本福祉囲碁協会の全面的な支援に負う面が大である。 3.今後の目標と課題 囲碁の会のPRの強化、会員増員が喫緊の課題である。また、引き続きグループ活動による会員の棋力向上と視覚障害者の囲碁普及の目標達成に邁進したい。  S-2-3 サウンド・テーブル・テニス(STT)の普及活動~視覚障害者の感覚訓練と健康増進のために   佐々木 成幸(川崎市視覚障害者福祉協会) 1.STTとは   卓球ボールを一枚板の卓球台(両エンドに枠)上で転がし、ネットの下を通して打ち合う。ネッと下は42mm、ボールの直径4mm。中に金属の球が数個入っていて転がる音を聴いてプレーする。板製のラケットで打球音がわかる。STTは穏やかな全身運動であるが、ゲームとして楽しむほか、競技性のある高度なテクニックが要求されるスポーツにもなる。 2.川崎市における活動の現状  現在、市の委託を受けて川崎市STT大会を毎年開催している。月3~5回(土日曜と平日夜間)に市の施設で練習、練習参加者は、たまに参加している人を含めて15、6人で、年齢は20~70歳代。男性がやや多い。  活動目的は2つに大別される。 (1)スポーツを楽しむ 体を動かすレクリエーションを 目的とした活動 (2)各主大会への選手としての出場など競技性を重視する活動  練習は一緒に行なっている。選手の練習では、音に対する体の反応のスピードアップ、卓球台の幅の最大限の利用等試合技術の向上をめざし、敗因内容を分析し試合の組み立て方なども練習に反映させている。 3.効果  「ボールの音を聴覚神経から脳へ伝達し身体を動かす指示を早くする」のは集中力を高め、視覚以外のさまざまな感覚や神経に良い刺激を与えることで日常生活にも役立つ感覚訓練になっていると推測される。また、楽しみながら身体能力を鍛えて健康維持にも役立っている。全国的な大会で好成績をあげる選手もいる。 4.問題点 (1)練習場所の不足  大会間近でも 予約制で利用出来ない場合がある。卓球台は1台で、6人以上になると十分な練習にならない。 (2)指導員不足  指導員が3人のみで、複数の施設の同時利用に対応できない。施設によっては、卓球台などの設営にボランテアの応援が必要となる。 5.今後の課題 (1)練習会場と卓球台の確保 、指導員の増員 (2)年少のメンバーなどメンバー増員対策、及び既存のメンバーの参加促進  S-2-4 デイサービス「かみふうせん」~視覚障害者による視覚障害者のためのデイサービスへの挑戦   舟橋 正雄(特定非営利活動法人 川崎外出支援センター理事長)  デイサービス「かみふうせん」は、視覚障害者が主に利用することを目的として開設され、平成28年3月から稼働している。運営する川崎外出支援センターは視覚障害者が創設。ガイドヘルパー派遣事業10年の実績がある。利用者数は平成29年1月現在29名で。全利用者の8割が視覚障害者である。 利用者の目的は、主に(1)機能訓練、(2)外歩行訓練、(3)他者との交流、の3点があげられる。  それに対する対応を以下に述べる。 (1)機能訓練  準備体操では職員の見本を見ることができないので複雑な動きはせずに行う。棒やゴム紐等の道具を使った体操は、道具があることで説明がイメージしやすい。マシンを利用しての機能訓練も乗れば動きを理解しやすいので受け入れやすい。 (2)外歩行訓練  利用者は家では散歩をしたくても一人では行けず家族にも頼みづらいため、外歩行訓練を目的に通われる方が多い。 (3)他者との交流  挨拶で職員、利用者が自己紹介をするので出席者を把握でき、会話が始まりやすい。会話は世間話の他、同じ視覚障害者として気持ちの共有や視覚障害者支援についての情報交換にもなっている。 その結果、体力測定で転倒リスクの減少、外歩行訓練では歩行距離が延びるなどの効果が出ている。交流の面でも視覚障害に対する不安な気持ちを話し合うことで情緒の安定がはかれる。視覚障害者支援の情報を得て利用し始めた方もいる。  職員が視覚障害者の特性を理解し対応しているので利用者は安心して楽しく通われ、4割の方が利用日数を増やしている。デイサービスで障害者支援を知って利用し始めた方は生活に活気が出てきたと喜ばれている。  課題として、多少遠方でも視覚障害者の方を受け入れるため、送迎範囲が広くなり送迎時間がかかる。また、利用者からもっと早く知っていればよかったとの意見も聞かれ、視覚障害者のためのデイサービスだとの周知を尚一層していく必要がある。 口頭発表  O-1-1 視覚障害者のための表計算ソフト利用支援ツールの制作・評価について   ○ 平松 勲 職業能力開発総合大学校 【目的】  視覚障害者がスクリーンリーダーを用いてパソコンを利用する際に、自分が操作した結果を客観的に把握することには困難を伴う。本研究では表計算ソフト(Excel)を対象に、操作結果の客観的な把握を支援する「表計算ソフト利用支援ツール」(以下「支援ツール」)を制作し、その評価を行った。この支援ツールが視覚障害者の独力でのパソコン活用に寄与することを目指すものである。 【方法】  まず支援ツールのプロトタイプを制作し、視覚障害者支援組織の指導者・利用者に試用してもらい聞き取り調査を行った。この聞き取り調査から支援ツールに求められる要件を抽出し、その要件を満たすよう支援ツールの設計・制作を行った。支援ツールの有効性を評価するために、支援組織の指導者と視覚障害当事者であるExcel学習者(計18名)に対してアンケート調査を実施しその結果を分析した。 【結果】  アンケート調査の結果から、支援ツールの表示メッセージ、支援ツールの使用によるExcelの独力での利用の可否、今後も支援ツールを使用していきたいかについて、7割以上の回答者から一定の評価を得た。一方、支援ツールの画面構成や操作性、配布方法については、視覚障害当事者のユーザビリティの点から改善の余地があることが明らかとなった。また、支援ツールは2つのファイルを比較して一致しない箇所のセル位置と理由を表示するものであるため、視覚障害者用のツールとしてだけでなく幅広い活用方法の可能性が示唆された。 【考察】  予め完成形のファイルが用意されていれば、他者の力を借りず、また時間の制約を受けずにExcelの操作結果を確認できる点において、支援ツールの有効性が評価されたと考えられる。Excelのスキルアップという用途で支援ツールを使用する場合には、Excelの基本的な操作方法の習得や練習問題の作り込みと併せて考えることが必要であろう。 【結論】  支援ツールの有効性と課題が示され、幅広い活用方法の可能性が示唆された。  O-1-2 iPhoneユーザーである視覚障害者のパソコン選び:MacかWindowsPCか?   ○金山 佐保 山梨ライトハウス青い鳥成人寮 【目的】 視覚障害者が自宅や仕事で使うパソコンとしては、Windows10等のOSが搭載されたもの(以下WindowsPCと略す)に高知システム開発製のPC-Talkerなどのスクリーンリーダーを合わせて使うことが一般的である。しかし昨今のiPhoneやiPadを使う視覚障害者の増加傾向を鑑みると、同じApple社製のMacも選択肢の一つとして考え、長所や短所を把握しておく必要があるのではないか。事例を通して検討する。 【方法】 iPhone使用歴2年の視覚障害者への訓練において検討を行なった。対象者は網膜色素変性の30代女性、小学生と保育園児の子育て中である。保育園の保護者会長であるため連絡が欠かせない。本の読み聞かせや学習の指導もしたいし音楽も聴きたい。iPhoneのバックアップをしたいので、WindowsPCとMac両方を試して合う方を購入したい。以上のニーズから両方の貸出用パソコンを使用し訓練を実施。対象者は訓練開始以前からiPhoneのVoiceOver機能を用いた音声操作に習熟していた。 【結果】 10回のWindowsPC訓練の後に5回のMac訓練を行なった時点で既に対象者はiPhoneとの操作互換性などMacの長所に強く魅力を感じていた。しかし平成28年9月23日の訓練時点でMacOSが新しくなり、期待していたVoiceOverの機能向上がなかった。そのため対象者はWindowsPCを選択することを決断し、同年10月18日に購入した。 【考察】 対象者が最も問題としたのはMacのVoiceOverがカタカナやひらがな、文書作成中の直前に削除した文字や入力中のパスワードを読み上げない点であった。これらはiPhoneでは可能、平成29年1月時点でカタカナ、ひらがなはMacでも可能となっている。 【結論】 今後視覚障害者がMacを選ぶ可能性は十分あり、さらに事例の蓄積が必要である。  O-1-3 点描触知文字Decapointエディタの開発   ○加賀 大嗣、渡辺 哲也   新潟大学 【目的】 6個の凸点で文字を表す点字は全世界で利用されているが、点字を知らない晴眼者が読み取ることはできない。そこで、視覚障害者と晴眼者が共に利用するためのシステムとして、点字の開発者であるルイ・ブライユが開発したDecapointという点描触知文字がある。これは視覚障害者と晴眼者が互いに活字を書いて手紙を送ることのできる双方向のコミュニケーション・メディアであった。今回は、点字プリンタを用いてDecapointを再現するプログラムを開発した。 【方法】 プログラムはインストール作業の不要なWebアプリケーションとし、JavaScriptを用いて開発した。出力されるファイルは、広く普及した図形点訳ソフト「エーデル」で用いるEDL形式と、点図新潟大学で開発した簡易的な点字印刷ソフト「map2ESA」で用いるPNG形式の2種類である。EDL形式として出力したファイルは、エーデル上で編集し、点字や図形を組み合わせて印刷することが出来る。開発したプログラムでは、Decapointに加え、視覚障害者教育の先駆者ヨハン・クライン(19世紀、ドイツ)が開発した点描触知文字のKleintype、「盲生書簡」で用いられた漢字、平仮名・カタカナなどを印刷できるものとした。 【結果】 作成したプログラムと印刷物を視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2016」において紹介した。文字の大きいデカポワンは点字に比べると一枚の紙で伝えられる情報量が減ってしまうといった短所があるが、点字に不慣れな中途失明者からは、これならば分かりやすいという感想が得られた。 【今後の展望】 今回作成した点描触知文字描画プログラムを、JavaScriptによる触図作成ライブラリの一部として実装した。これにより、点図グラフや触地図、将棋局面図などの触図作成アプリケーションに点描触知文字を組み合わせることが可能となる。これを用いて点描触知文字の有効性を探り、視覚障害者の普通文字の学習や、触図利用の際の利便性の向上に役立てたい。  O-1-4 日本ライトハウス職業訓練部における訓練生の傾向と就職率   ○中野 真輔1)福田 香絵2)、石川 佳世子2)   1)日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター 職業訓練部   2)日本ライトハウス 【目的】 職業訓練部は大阪府障害者職業能力開発校からの特別委託を受け視覚障害者に特化した職業訓練を行っている。情報処理科パソコン活用コース、ビジネス科電話交換コース、会計・経営コースの2科3コースからなり、1年間の訓練を行っている。この訓練の10年間の年代別・障害等級別の訓練生の傾向と就職率を求めた。「方法」2006年~2015年の訓練生データ(128名)を元に、年齢、障害等級を抽出し、傾向を把握し、就職率を求めた。 【結果】 障害等級別の状況は、6割強が重度視覚障害であった。等級別の就職率は、母数の少ない等級もある為評価がしづらいが、14.3%~63.7%の就職率があり平均54.2%となっている。職業訓練を受ける年代は、20代(25.8%)と40代(29.7%)が若干多く受講している。年代別の就職率は、20代(63.4%)、30代(66.7%)が高く、40代以降は40代(55.6%)、50代(35.3%)と年代が上がるほど低くなっている。 【考察】 受講状況は重度視覚障害者の受講率が高く、年齢的には各年代ほぼ均等に受講されているという結果が出た。就職率は、母数の差が大きく、一概に比べられないが、障害等級よりも、年齢により高く依存している傾向がみられた。 【結論】 訓練生に重度視覚障害者が多い理由としては、視覚障害に特化した職業訓練を1年単位で行う機関が全国に少なく、スクリーンリーダー等を利用しての訓練を行える環境が乏しいことが考えられる。10年間ほぼ50%前後の就職率を記録していることは、社会のニーズに合わせてソフトや訓練内容を変更・更新し訓練を行っている成果であり、職業訓練だけでなく、歩行訓練、点字、LV訓練を当法人内で総合的に支援できる環境が大きいと考えられるが、残りの就職できない50%の理由を分析していくことにより、今後の訓練・支援体制のさらなる充実をはかるきっかけにしていきたい。  O-1-5 働き続けられる職場環境作りに向けて~社内での視覚障碍者同士の交流を通して~   ○川嶋 一広 日本電気株式会社 1.はじめに  筆者は日本電気株式会社(以下NECという)に勤務する全盲の視覚障碍者である。2015年より、NEC及びNECグループ企業に所属する視覚障碍者を繋ぐための”社内コミュニティ”を結成した。コミュニティの結成から約1年半が経ち、その効果及び課題を発見することを目的に、コミュニティの参加者にアンケートを実施した。 2.社内コミュニティの実施内容 (1) 月1回のオンラインミーティング (2) メーリングリスト及び電子掲示板による情報交換 3.社内コミュニティでの主なやり取り (1) 業務システムの操作方法の共有 (2) 支援機器の情報交換 (3) 業務遂行や人間関係の悩み相談 (4) 関連セミナーやイベントの紹介、その他 4.社内コミュニティ結成の効果  社内コミュニティの参加者数は、2016年7月現在、20名(弱視6名、全盲6名、健常8名)の参加である。アンケートからまとめると、「孤独感の減少・安心感の獲得」「スキル向上」「モチベーション向上」「情報収集の向上」が見られ、一定の効果を上げていると言って良い。 5.社内コミュニティの課題  課題について主な点としては、職場や業務の相違から、自身が解決したい課題が解決に至らない事実が見られた。 6.社内コミュニティの将来性・展望  社内コミュニティに期待することについては、視覚障碍者が働いているという認知向上を図る意見が多い。 7.まとめ  同じ立場で働く者同士の社内コミュニティは、単に繋がりを持たせる以上の効果があると感じ取れる。NEC及びNECグループ全体では、約50人の視覚障碍者が働いている。しかし、社内コミュニティの視覚障碍者の参加者数は10人余りに留まっている。社内コミュニティそのもののアピールをしていく必要がある。今後は、アンケートから挙がった課題や将来性・展望についてコミュニティ内で共有し、視覚障碍者にとって働きやすい職場環境を作る一助となることを目指していきたい。  O-2-1 平成26年度に実施された視覚障害者生活訓練等の実態から見えた白杖歩行訓練の課題   ○吉川 明 日本盲導犬協会 【目的】 平成26年度に視覚障害者に対し実施された生活訓練等の実態から、白杖歩行訓練に特化して課題を明らかにする 【方法】 日本盲人社会福祉施設協議会自立支援施設部会が生活訓練を実施している日本盲人会連合加盟団体、点字図書館、情報支援センター、盲導犬育成施設等224施設を対象に、平成27年10月に郵送法等で実施、回答率100%。 【結果】 在宅・通所で白杖歩行訓練をしている施設は92施設、2,,026人を対象に13,209回の訓練が行われた。PC訓練は81施設で2,266人に24,434回、点字訓練は84施設で1,088に15,861回。白杖実施施設は多いが、PCに利用者数で下回り、実施回数はPCの半数、点字より少ない。92施設中、全視情協・日盲連に加盟が45施設、加盟していないリハビリテーション施設が47施設であった。訓練財源は、6割強が中途失明者緊急生活訓練事業等委託費で、自立支援給付は9.2%だがリハ施設10施設20%で利用。利用者から訓練費用の徴収は全視情協・日盲連で1割強と低く、リハ施設では4割と高い。訓練担当者総数は400人で、専任3割、兼任5割、委託2割であった。生活訓練指導者養成課程等修了者は178人で修了者の2割。白杖訓練実施施設に170人が所属している。地域格差の課題は深刻で、年間600回以上は8都府県で9,379回と訓練総回数の7割を占めており、大都市圏で入所訓練施設、自立支援給付利用施設所在県と一致している。リハ施設特有の望む施策は歩行訓練が働ける場の拡充と訓練需要の掘り起こし。助成金・委託金の拡充は強く望まれているが自立訓練報酬単価の引き上げへの期待は低い。 【考察】 白杖歩行訓練の縮小は、PC訓練や点字訓練よりも深刻な状況がうかがえる。利用者の減少、訓練回数の減少、白杖歩行訓練士の働く場所の減少、財源は助成金・委託金頼みで自立支援給付は利用できない、と負のスパイラルが示唆される。負を断ち切るには、白杖歩行訓練士が自立、配置しても経営的に訓練を提供できる環境をつくる必要がある。  O-2-2 音響信号機の設置に至るまでの歩行訓練士の取り組み事例   ○山下 紗輝 日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター 【はじめに】  交差点の形状、交通量、騒音などにより車音による信号の判断ができず、横断が困難な交差点があった。音響信号機を設置すれば横断可能になることを見込み、設置の実現に向けて取り組んだのでその取り組みについて報告する。 【設置依頼の流れ】  2014年4月15日から2014年8月29日の間に取り組みを行った。当事者の同意を得て、A県B市C駅付近のD交差点に音響信号機の設置に向けて関係各所に連絡した。B市警察署、B市視覚障害者協会には電話にて連絡し、D交差点周辺の住民に対しては当事者に同行し管理人を訪ねた。 【取り組み内容】  D交差点の交通の流れを調査し、音響信号機の設置について当事者と検討し同意を得た後、設置管轄であるB市警察署と、それまでに警察署へ要望を挙げていたB市視覚障害者協会に連絡をした。視覚障害者協会では設置に向けての手立ては得られなかったが、警察によると音響信号機設置要望書と住民の設置同意書の提出が必要とわかった。住民の同意を求め、同意願い書を作成し、マンション管理人を通して理事会に挙げてもらった。住民からの質疑応答を経て、同意が得られた。住民からは、設置や経費の管轄、音響信号機について質問があり、設置や経費の管轄は警察署であること、音が鳴る時間帯は8時~20時が主流で設定が可能であること、音は擬音式で音量調整も可能であることを文書にて回答した。2014年8月29日に関係各所の連名で要望書と住民の同意書をB市警察署に提出し、2015年11月にD交差点内の他の箇所にも音響信号機が設置された。 【留意点・まとめ】  警察の予算が5月に決定するため要望書提出から設置まで年月が経っている。予算立てと要望依頼の時期が合えば早い段階での設置も見込まれたと考えられる。 音響信号機の設置には、団体や当事者等多くの人の要望として警察署へ挙げること、そして実現に向け警察署からの要求を引き出し、それに応えるよう関係各所に働きかけることが有効である。  O-2-3 視覚障害児童生徒が点字・拡大教科書と併用するための「音訳教材」に関する研究   ○久保田 文 日本ライトハウス情報文化センター 【目的】  近年、特別支援学校または地域の学校において点字・拡大教科書を使用している視覚障害児童生徒のうち、発達障害や知的障害等の重複により点字や活字だけでは文章の理解が困難、中途障害や視力低下による点字使用への移行途中のため触読だけでは授業についていけない、拡大教科書の地図やフローチャート等の全体像がつかみにくいといった児童生徒が増えつつある。このような課題を持つ児童生徒が、点字・拡大教科書と「音訳教材(音声だけで視覚的情報を的確に伝える肉声による読み上げ技術を用いた音声教材)」を併用することで、理解が進み、学業の助けとなることを確認する。 【方法】  平成25年度文部科学省事業「障害のある児童生徒のための教材普及推進事業」において、小学校から高校まで視覚障害児童生徒(単一障害6人、重複障害7人)を対象に、点字・拡大教科書と「音訳教材」を併用するモニタリングを実施。「音訳教材」は見出しで移動できるデイジーフォーマットを原則とし、生徒のニーズに応じて音声デイジー版もしくはマルチメディアデイジー版を用意した。 【結果】  「音訳教材」を点字・拡大教科書と併用し、いわゆる”聞きながら読む”状態にすることで、読み飛ばしをしなくなる、本文の内容を正しく理解しながら文字を追うことができる、特に、図、表、グラフ、写真等の視覚的資料の内容が分かるといった効果を確認した。 【考察】  「音訳教材」においては、児童生徒一人ひとりのニーズや学年、教科に応じたスピードが重要であり、特に視覚的資料に対する適切な音声説明が必須である。また、教科書の本文は合成音声などのICT技術を活用することも可能だが、視覚的資料の音声情報化には知識と経験を積み一定の技術を持った音訳者が必要とされる。 【結論】  「音訳教材」の併用が有用な視覚障害児童生徒の一助となるよう、教科書の視覚的資料の音訳データを蓄積するためのデータベースを構築し、専門音訳者の養成とネットワーク化を目指したい。  O-2-4 研究発表取り下げ  O-2-5 六甲山の上美術館「さわるみゅーじあむ」   ○矢野 茂樹 六甲山の上美術館「さわるみゅーじあむ」 【目的】  六甲山の上美術館「さわるみゅーじあむ」(以下、当館)は、2013年12月より「子どもたちの感性を磨き、若者に向き合う心を育て、大人に心の豊かさを感じる美術館」を理念とし、芸術家の方に許可を頂き、作品を触って感じる施設として運営されてきた。宝石彫刻や金属彫刻、絵画など、およそ100点の作品を展示している。ここでは、この3年間の経緯を報告する。 【方法】 さわって美術品を鑑賞いただく「さわる美術鑑賞」を提案する。大型の美術品は、展示台に固定し、小さな作品は手の上に乗せて触る、安全な鑑賞方法を用い、当館では小さな子供からすべての人が、すべての作品を触って鑑賞することができる。そこで、当館を訪問した視覚障害者に対し、美術作品を直接触って観ることによりどう感じたかについてヒアリングを行った。 【結果】  普段はできない美術品を「さわって鑑賞する」という新しい楽しみ方に満足したという声が多く聞かれた。また、なぜ世界憲章にうたっている平等性に反する美術鑑賞が、世の中には多々あるのかという声も聞かれた。 【考察】  普段はさわれない美術品をさわって鑑賞することで、作家の意図や意思を直接肌で感じ取り作品を理解できる。さわるという行為によって対象物の構造を認識すると、視覚に障害をもつ方にも同時に作家の理念や概念を想像することができる。また、晴眼者においても観ただけでは気づかなかった新鮮な感覚を体験することができる。そして、晴眼者と視覚に障害をもつ方が、同じ美術品を介して感じたことや考えたことを語り合うことにより、新しいコミュニケーションが生まれる。そこでは人間のもつ能力の可能性の再認識と、人と人との新しい関係が生まれる手掛かりが見つかると思われる。美術鑑賞にも自由な鑑賞方法を取り入れられることを、2020年のパラリンピックを契機として、世界に向けて我が国から発信していきたい。 ポスターセッション 研究 研-1.電子書籍表示形式の違いが臨界ウィンドウ幅に及ぼす影響  ○金子 唯1)、、川嶋 英嗣2)  1)愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻  2)愛知淑徳大学 【目的】 電子書籍はロービジョンを有する人の読書で有効な手段であるが、拡大文字ではウィンドウ内の文字数が減少するため読書速度に影響を及ぼす。本研究では三つの電子書籍表示形式(フィックス型、リフロー型、ドリフト型)での読書に必要とする最低表示文字数すなわち臨界ウィンドウ幅の測定を行い比較した。 【方法】 矯正視力1.0以上の大学生5名を被験者とした。読材料は中学国語教科書から抜粋し、1刺激あたり120文字で構成した。各表示形式条件において、ウィンドウ幅(1、2、 4、 7、16文字)別に読書速度を測定した。フィックス型とリフロー型では、iPadAirを用いて画面をスワイプ操作しながら刺激文章を音読し、所要時間から読書速度を算出した。ドリフト型では、CRTディスプレイ上に刺激文章をスクロール表示させてドリフト速度別に音読正答率を計測し、80%正答率が得られるドリフト速度から読書速度を算出した。各表示形式で読書速度を正規化し85%の読書速度が得られるウィンドウ幅を臨界ウィンドウ幅とした。 【結果】 平均臨界ウィンドウ幅はフィックス型で8.2文字 (SD 2.14)、リフロー型で4.7文字 (SD 1.94)、ドリフト型で2.8文字(SD 1.17)であった。反復測定一元配置分散分析の結果、表示形式による臨界ウィンドウ幅の違いは有意であった。Holm法による多重比較より、フィックス型とドリフト型、フィックス型とリフロー型の間で有意差が認められた。 【考察】 各表示形式間の臨界ウィンドウ幅の違いには表示画面のページナビゲーションが影響しており、リフロー型では改行操作がないためページナビゲーションを必要としないドリフト型と同程度の臨界ウィンドウ幅となった可能性がある。 【結論】 電子書籍でよく用いられるリフロー型の臨界ウィンドウ幅はフィックス型の約半分の約5文字であり、拡大文字での読書に適している。 研-2.就労中の視覚障害者が使用しているPCスキルの現状と課題  ○北神 あきら1)、坂田 光子2)、上田 喬子1) 佐藤 利昭2)、高西 透江1)  藤縄 泰彦2)、柳田 友和2)  1)視覚障害者パソコンアシストネットワーク  2)日本盲人職能開発センター 【目的】 就労中の視覚障害者が使用しているPCスキルや、業務上必要だが使用できていないPCスキルなどを調査することにより、よりニーズに合った職業訓練を実施するための指針とすることを目的とする。 【方法】 就労中の視覚障害者に対し、業務で使用しているPCスキルや、まだ使用できていないPCスキル、また職業訓練に対する要望などについてアンケートを実施し、その結果を集計した。 【結果】 PCの使用法は、音声のみでなく、画面調整やマウスの使用も多かった。また、使用している画面読み上げソフトは、JAWSのみならず、PC-TalkerやNVDAなど、選択の幅が広がっている。OSは、いまだWindows 7が多かったが、Windows10の導入も進んでいるほか、Officeアプリケーションは、新しいバージョンも使用されつつあることが分かった。特筆すべきは、Office365などのクラウドサービスの利用が増えていることである。にもかかわらず、この分野での職業訓練は、まだあまり行われていない可能性が高い。WordやExcel等、利用者の多いアプリケーションは、基礎から応用的な機能まで幅広く活用され、さらに以前は視覚障害者にとっては難しいと思われていた、PowerPointの利用も進んでいる。ExcelVBAなど高度な利用も一部にあり、PCスキルの全体的な高まりがみられた。一方で、音声対応が不十分であるがゆえに操作が困難なアプリケーションが存在することから、職業訓練機関には、従来のアプリケーションの基本的な使用法に加えて、これらのニーズを満たす役割も期待されている。 【考察】 就労者が使用するPCスキルは、多様化・高度化しており、視覚障害者に対する職場の期待が高まっていると言えよう。それに応えるべく、日々工夫と努力を重ねている視覚障害当事者の姿が浮き彫りになった。 【結論】 視覚障害者の就労促進において、職業訓練への期待と果たしうる役割は、ますます高まっている。全国的に、現場の声に応えられる職業訓練施設の体制整備を推進することが、今後の課題だと言えよう。 研-3.弱視者を対象とした電子通信を用いた鹿児島・広島間の遠隔指導の効果について  ○池畑 友美1)、 氏間 和仁2)、良久 万里子3)、田中 桂子4)  1)広島大学教育学部、2)広島大学大学院教育学研究科、3)鹿児島県視覚障害者情報センター、4)先端医療センター病院 【目的】 弱視生徒への遠隔指導の実施可能性及び対面指導と遠隔指導の指導上の効率の等質性について検討した。 【方法】 九州在住の弱視高校生1名に対して,2016年6月~11月,週に1度(遠隔指導),6月,8月,12月(対面指導),1セッション90分を実施した。遠隔指導は広島大学と協力生徒宅,対面指導は協力生徒宅で実施した。遠隔指導システムは,文部科学省が示す4つの要求仕様を満たすように設定された。機器は,iPadを利用し,ビデオ通話アプリ「FaceTime」とホワイトボード共有アプリ「SyncSpace」を使用した。評価方法は,岡本(1999)の方法を参考に算数文章題解決のためのワークシートとその際のメタ認知調査を実施し,それらの得点を両条件で比較し,半構造化面接も実施した。 【結果】 ワークシート得点とメタ認知得点の平均値を両条件間で統計的に比較した結果,遠隔指導と対面指導の間に有意差はなかった。遠隔指導12セッションの中断・中止は0回であった。半構造化面接では,遠隔指導に対し,「家での学習の手助けになった。」などの肯定的回答があった。 【考察】 ワークシート,メタ認知得点の両者に有意差がみられなかったため,指導形態の違いは,協力生徒の課題の解決行動やその行動に対してのメタ認知に影響を与えないと考えられる。半構造化面接の回答から協力生徒の実感として遠隔指導は対面指導と同等の効果があったことが示唆された。 【結論】 本研究で用いた遠隔システムは,文部科学省が示した4つの要件に適合するように設定し,弱視者の視覚特性に応じられるシステムを構築したことから全セッションで中断や中止をすることなく運用可能であった。また,タブレット端末とインターネット回線が双方にあれば,無料のアプリを組み合わせることで本システムを実現できる。これらのことから実用性と実効性のある弱視者の遠隔指導の実施可能性が示されたと考える。 研-4.デジタル教科書があれば紙の拡大教科書は不要になるのか?  ○中野 泰志 慶應義塾大学 【目的】  デジタル教科書は、文字サイズや書体の変更、白黒反転、文章読み上げ等が簡単に利用できるため、ロービジョン(LV)の児童生徒にとって有効なツールだと考えられる(中野ら, 2016)。しかし、デジタル教科書があれば紙の拡大教科書は不要になるのであろうか? そこで、デジタル教科書の利用者にアンケート調査を実施した。 【方法】  2015年度に学校としてデジタル教科書(iBooks[iBk]版、UDブラウザ[UDB]版)を利用していた盲学校・高等部を事前に調査し、利用者(LV生徒とその担当教員)に対して郵送方式のアンケート調査を実施した。iBk版の利用者は生徒55人、教員62人、UDB版は生徒50人、教員106人であった。調査では、デジタル教科書の利用状況や紙の教科書がなくなった際の困り度合い等について質問した。なお、本研究は、研究倫理委員会の審査及び対象者の合意を得た上で実施した。 【結果】  iBk版利用者の内、生徒48人(回収率87.3%)、教員62人(100.0%)、UDB版利用者の内、生徒45人(90.0%)、教員87人(82.0%)から有効回答が得られた。「デジタル教科書を今後も利用し続けたい」と回答した利用者は、iBk版では生徒46.9%、教員95.1%で、UDB版では生徒95.5%、教員85.1%であった。「紙の教科書がなくなったら困る」と回答した利用者は、iBk版では生徒56.2%、教員54.8%、UDB版では生徒44.4%、教員59.7%であった。 【考察】  アンケートの結果、デジタル教科書だけでなく、紙の教科書も必要であることがわかった。『「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議最終まとめ』(文部科学省, 2016)でも言及されているように、紙とデジタルの使い分けが重要であることが示唆された。 【結論】  デジタル教科書を有効活用できていても、紙の教科書も必要であることがわかった。 研-5.視覚障害者の歩行支援を目的とした障害物検出システムの開発とその可能性  ○丹下 裕1) 、波多野 克信1) 、渡部 翔太2)  1)舞鶴高専 電気情報工学科  2)三菱電機エンジニアリング 【目的】 知覚機能を通じて外界から受け取る情報量は健常者の場合、視覚情報が最も多く83%と言われている。視覚障害者は視覚による外界からの情報取得ができないため、白杖を使うことで障害物等を検出する。しかし、白杖は検出できる範囲が狭く、駅のプラットホームや階段等における転落事故が絶えないため、この問題を解決することが望まれる。 【方法】 本研究室では、これまでに超音波距離センサ(以下、距離センサ)による実測距離とスマートフォンに内蔵された6軸センサ(加速度センサと角速度センサ)による仮想距離の差により静止障害物を検出するシステムを構築した。この方法では障害物までの距離を求めるために事前に高さ情報が必要であり、かつスマートフォンを障害物に振りかざすことで検出するため実用性に欠けるシステムであった。そこで本研究では、視覚障害者が日常生活で使う白杖に取付けることを想定し、スマートフォンを用いた高さ情報に依存しない静止障害物の検出システムを構築した。 【結果と考察】 実験では、壁や障害物、上り階段、下り階段といった視覚障害者の歩行時の妨げとなる静止障害物の検出を試みた。歩行時における白杖の使い方は、スライドテクニックとした。その結果、適切なデータ処理を施すことで、実測距離と仮想距離の差が得られた。 【結論】 本研究では、視覚障害者の歩行時の妨げとなる静止障害物の検出を試みた。実験より、実測距離と仮想距離の差が得られることが分かった。今後は、本システムの有用性を調査する。 【謝辞】 本研究はJSPS科研費 15K01492の助成を受けたものである。 研-6.スクリーンリーダーの読み辞書切り替えプログラムの試作と評価  ○和田 浩一 愛媛県立松山盲学校 【目的】 今後のデジタル教科書の使用を想定し、筆者らは理療科の学習に必要なスクリーンリーダー用の読み辞書として、教科書の用語から抜き出し約38000語の読み辞書を作成した。この辞書を登録し、検証したところ、教科書の専門用語は正しく読み上げさせることができた。しかし、一般用語と専門用語の読みが異なる用語については読み違いが生じる課題が残った。本研究では、この読み辞書の登録によって生じる読み違いを解消するための方法として読み辞書切り替えプログラムを試作し検証した。 【方法】 スクリーンリーダーの機能として複数の読み辞書を登録して切り替えることはできない。そこで、理療科用読み辞書と元の読み辞書をショートカットキーで簡便に切り替えられるプログラムを作成し、理療科の専門の教科書と一般の文章を辞書切り替え機能を使って読み上げさせて検証した。 【結果・考察】 専門用語の読み辞書を登録することで一般文章の読み上げに不具合が生じる。例えば「下関」は一般には「しものせき」と読むが、専門用語を登録すると、「げかん」と読む。このように専門用語の辞書を反映させる場合と一般の読みに切り替えられることは、現時点でのスクリーンリーダーへの対応として有効な方法と考える。PC-Talkerの辞書の一括登録では、登録語数が多くなると、登録にかなりの時間を要するので、複数の辞書を登録し直すことは実用的ではない。試作のプログラムでは、ストレス無くワンタッチで辞書の切り替えができた。 【結論】 スクリーンリーダーの読み上げにおいて、文書に適した読み辞書を簡便に切り替えられる機能は有効である。 研-7.世界中の人が利用できるルイ・ブライユSYSTEMとイッピツ及び災害時盲ろう者通信  ○長谷川 貞夫1)、高岡 健吾2)、新井 隆志3)、成松 一郎4)、甲賀 金夫1)  1)ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト・桜雲会、2)ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト・インハウスDS、3)ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト・JBS日本福祉放送、4)ルイ・ブライユSYSTEMプロジェクト・読書工房 【目的】 「ルイ・ブライユSYSTEMとは、コンピュータ時代になって、指先で読むだけだった点字が発達し、コンピュータで処理できる点字に関するすべてを包含する概念である。本発表は、ルイ・ブライユSYSTEMによる点字の便利さや有用性などを、実演をまじえながら示すものである。 【方法】 (1)iOS向け点字の一筆書き入力アプリケーション、「イッピツ」を紹介する。 (2)コンピュータからの送信により全身で読める「体表点字」を紹介する。体表点字の1点は、百円コインを4枚重ねたほどの大きさの電気による振動体である。これを体表の認意の位置に、1マスの6個を点字の形に固定する。そのうち、どの振動体が振動しているかで、点字として読む。また、2個の振動体を使い、点字の上、中、下段の順に、時間差で振動する二点式体表点字もある。 (3)東日本大震災など、視覚と聴覚が不自由な重度盲ろう者が通信手段を失してしまう地震災害時でもコミュニケーションを確保できるように、(1)と(2)の技術を合わせた災害時盲ろう者通信の実現に向けて取り組んでいる基礎実験を紹介する。 【結果】 イッピツについては、点字の形さえ覚えれば、視覚の有無に関係なく、誰でも点字によるイッピツ式入力が可能である。  体表点字も、視覚の有無に関係なく、70歳、80歳でも体表で点字を読める。 これに対し、指先で読む点字は、40歳以上での失明では、指先の感覚が鈍く、習得がかなり困難である。これは、体表点字なら、何歳になっても学習が可能であることを示している。 【考察】 通常の言葉及び文字習得は、幼児期より、おおよそ20歳ぐらいまでの十数年で、その国の言葉、および文字を習得している。 これに比較して、体表点字については、幼児期から学習した人は、まだ世界に誰もいないのである。十年以上学習して、熟達したら、どれほど便利になるのであろうか。 【結論】 演題の実現は可能である。 研-8.盲学校に在籍する生徒への支援~医療と連携した短期評価プログラム~  ○内野 大介1)、矢部 健三1)、佐藤 伸行1)、末田 靖則1)、加藤 正志1)、久保 寛之2)、齋藤 奈緒子2)、渡辺 美希2)、渡辺 文治2)、斉藤 敏子3)長尾 初瀬3)・山本 真裕美3) 1)七沢自立支援ホーム 視覚障害部門 2)神奈川リハビリテーション病院 眼科 3)神奈川リハビリテーション病院 リハ局心理科 【目的】 七沢自立支援ホーム(以下、当施設)は、併設の神奈川リハビリテーション病院と連携し、2013年から県内の盲学校に在籍する生徒への支援の一環として、視機能・心理・機能訓練を短期間(5日間)で総合的に評価するプログラムを実施している。評価結果をもとに、本人・保護者・盲学校に対して第3者の立場で助言している。  本報告では、受託評価の内容、効果、問題点について明らかにしたい。 【方法】 調査対象:評価を行った盲学校に在籍する高校生9名 調査方法:ケースファイル(宿舎の生活記録・面接記録等)や評価報告書の精査 調査内容:基本属性、視機能検査、心理検査(WAIS-Ⅲ・大脇式盲人用知能検査等)、機能訓練(歩行・読み書き・感覚等)、宿舎生活(整容・身辺管理・自発性・対人関係等) 【結果】 性別は男性5名、女性4名。進路決定を控えた3年生が5名と多かった。視覚以外の心身状況では、知的障害、発達障害、てんかん等があった。視機能検査では、申請書類の視力と顕著な差はなかった。心理検査の結果では、能力的にばらつきのある生徒が多かった。読み書きやPCの操作では、希望する進路で必要となる水準よりも低い生徒が多かった。宿舎生活では整容動作や自発性について助言を要する生徒が少なくなかった。 【考察】 学校や家庭では気づきにくい側面を客観的に評価することで、本人だけでなく保護者や担任に対してもより深い理解を促すことができ、今後の学習方法の検討や進路選択に繋がると思われる。様々な訓練を体験することにより、視覚以外の感覚を活用する必要性を知るきっかけになったと思われる。 【結論】 盲学校に在籍する生徒を当施設が第3者の立場で評価することは有意義であるといえる。現在は高校生を対象としているが、より早い時期に評価することが必要と思われる。 研-9.遠隔ロービジョン相談の試み(第一報)  ○仲泊 聡1)、高橋 政代1)、平見 恭彦1)、森 一成2)、太田 幸子3)、渡辺 文治4)、久保 寛之4) 、奈良 井章人5)、引地 伽織5)、 長岡 雄一6)、河原 佐和子6)、久保田 真紀6)、原田 敦史7)、安山 周平7)、畑野 容子7)、 大内 進8)、 渡辺 哲也9)、 岡田 伸一10)、 楠見 孝11)、 伊東 良輔12)、 小田 浩一13)、 高橋 あおい14) 1)理化学研究所 2)神戸アイライト協会、 3)先端医療センター病院 4)神奈川リハビリテーション病院 5)奈良井眼科 6)東京都視覚障害者生活支援センター 7)堺市立健康福祉プラザ 8)日本盲人会連合点字図書館 9)新潟大 10)元障害者職業総合センター 11)京都大 12)ぱるむ 13)東京女子大 14)理化学研究所、東京女子大 【目的】 テレビ電話アプリを活用した遠隔支援により、わずかにしかいない支援専門家とロービジョン当事者とを結び、その間に調査員が介在することでケアの実施を行うとともにその調査を行う。これにより、このような支援方法のノウハウを蓄積するとともに、その効果について検討する。今回は、整備したシステムについて紹介する。 【方法】 調査員による説明と同意の確認、個人情報保護宣言、参加者の視機能簡易測定、参加者属性アンケート、相談支援で話題になったテーマの記録、システムに関する意識調査を途切れることなく行える調査用アプリを視覚障害者支援ホームページ『ファーストステップ』に改良を加えることで開発した。タブレットPC(iPadAir,.7inch)で、汎用型テレビ電話アプリ(FaceTime)による眼科医、視覚障害に専門性の高い福祉専門職および調査員の3者間での通信をもとに、試行調査を行った。 【結果】 調査場所は、某病院眼科外来で、調査員は視能訓練士であった。医療相談に眼科医が、福祉相談に福祉専門職が対応し、遠隔地よりテレビ電話を介しての相談支援を行った。各20分程度の相談支援は問題なく施行でき、対象者からは「話しを聞きやすかった」「顔が見えて相談しやすかった」「ロービジョンケアについて前向きに考えることができた」などとポジティブな感想を得ることができた。いずれの場面でも、音声の通信環境に問題はなかったが、今回使用した通信用アプリは、三者間での映像通信ができなかったため、調査員が2台のタブレットを通信に使用しなければならなかった。また、所在地によっては映像が乱れる場面があった。 【結論】 今回整備したシステムで遠隔ロービジョン相談を実行し調査を開始することができた。今後、システムにさらなる改善を加え、調査フィールドが通信環境のよい都市部でなくてもできるような工夫が必要であると思われた。 研-10.利用者台帳をベースにした災害時の避難行動要支援者システムの開発の経過  ○棚橋 公郎 岐阜アソシア 【目的】 視聴覚障害者情報提供施設(以下点字図書館)の役割として平時における情報提供だけでなく、有事の際における情報提供の在り方と支援について考える。 【方法】 1.ゼンリン住宅地図、および白地図を利用した避難行動要支援者情報と支援者情報の登録とマッピング 2.利用者台帳システムとデータベース連携 3.有事の際の被害エリアにおいて情報の取得 4.自動安否確認システムにおける初期支援としての情報把握 5.支援の開始 【結果】 1.骨格システムの開発の終了 2.登録者の募集による試験運用とシミュレーションの開始 3.登録者向けの防災研修の開催予定 【考察】 実際のシミュレーションを行うことによりシステムの修正と今後の展開を考える。また登録者向けに防災・減災研修の開始、要支援者と支援者のマッチングを行い、迅速な支援が行える体制を整える 【結論】 全国の点字図書館において視覚障害当事者へ、平時だけでなく有事の際の支援の基盤となる個人情報を活用し、支援の在り方を考えていただく機会としたい 研-11.視覚障害者に対する災害準備情報の提供  ○北村 弥生1) 、藤原 義朗2)  1)国立障害者リハビリテーションセンター研究所  2)高知県視力障害者の生活と権利を守る会 【目的】 災害時の準備のために、視覚障害者に対する避難行動と避難所での生活に関する情報提供の試みを実施し、参加者の知識、意識、行動変容を明らかにした。 【方法】 地域防災訓練への全盲者1名の参加支援、視覚障害者団体による池袋防災館の見学、視覚障害者団体会員約10名を対象とした避難所運営ゲームHUG(静岡県危機管理課)を参与観察し、行動と意識の変容を調査した。 【結果】 (1)地域防災訓練へは3年に亘り、全盲女性1名の参加を支援し、避難所の環境認知、災害備蓄の確認、地域中学生による手引き、閉会式での挨拶を展開した。また、地域支援者との当たり前の会話の課題が見いだされた。 (2)池袋防災館では、制止された起震室体験をテーブルの下に入った後で実施することで実現した他、煙体験を行った。その結果、火事の際に口を覆いながら手引きを受ける方法について課題があることを指摘した。 (3)点字HUG器材を利用して、HUGの改変版を実施した結果、知識と自助の意識は向上したが、地域の共助を求める意識と行動変容は起こりにくく、「自宅で安全を確保する」という回答が得られた。 【考察】 障害者の災害準備に関して、障害者個人あるいは障害者団体を対象とした試行プログラムにより自助の知識と意識は向上したが、行動変容が起こったかは継続して確認する必要がある。また、地域防災訓練への継続的な参加では、介入により共助が始まる兆しが観察された。共助の構築は今後の課題である。 【結論】 視覚障害者に対する災害準備プログラムとしては、地域防災訓練への参加が共助の構築に有効であること、HUGや防災館体験は自助の意識づけに有効であることが明かになった。意識と行動の変化は継続した観察が必要である。 研-12.視覚障害者の医療・健康情報入手についての質問紙調査の報告(その2)  ○原田 敦史 堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター 【目的】 2015 年、堺の視覚・聴覚障害者センター登録者ならびに視覚障害者協会会員311名に調査を行い、医療情報入手の困難が発生していること、しかしこれらのサービスに繋がっている人は一定の情報入手が可能となっていること、ゆえにサービスから切り離されている方々の実態が必要であることを明らかにした。本調査では、上記障害者サービス、団体を利用していない視覚障害者を対象とし、医療・健康情報の入手の一端を明らかにし、調査結果から関係機関が取り組むべき課題を明らかにすることを目的とする。 【方法】 対象者は堺市全7 区のうち某2 区に住んでいる492名(前回調査済みのものは除く)とした。なお、86 票が宛先不明として返送されたため、実質の配布数は405 票であった。調査票は拡大文字・DAISY(デジタル録音図書)・点字の3種類を用意し、回答は墨字・点字・電話の中から選択し回答を得た。 【結果】 分析対象者は154名(回収率38.0%)であった。回答者の健康診断やがん検診の受診割合は41.7%であり、全国値の男性67.2、女性57.9%と比べると低い値であった。日常の情報入手は、墨字を使う人が27.7、インターネットが12.3%の順に多く、DAISY、録音テープ、点字を使う人はそれぞれ4.6、7.7、2.3%とごく少数であった。インターネット上の点字図書館である「サピエ」を利用している人は「いつも」「ときどき」をあわせて3.3%であった。健康情報に関する入手の状況についてみると、「自分に必要な健康情報がある場合に、自分で見つけることができる」と感じている人は、「とてもそう思う」4.7、「まあそう思う」16.2%に留まった。 【考察】  今回の回答者は視覚障害者向けの情報提供サービスを利用していないだけでなく、サービスの存在も認識していなかった。そのため必要な情報入手は家族・友人等の人を介したものに頼っていた。医療情報だけでなく情報の提供にあたっては繰り返しサービスの存在を伝えること、関係機関からの積極的な発信が必要だと思われる。 研-13.触法障害者への出口支援―視覚障害者の場合  ○原 志治 神戸アイライト協会 【目的】 触法障害者への出口支援については、各県に最低1か所地域生活定着支援センターが設置されるなど、少しずつ支援方法が確立されつつある。しかし視覚障害をもつ触法障害者への支援事例は少ない。今回、歩行訓練士をはじめ関係機関が連携し触法視覚障害者へ支援を実施することにより、再犯防止・自立支援を図ることができると考え、触法視覚障害者支援のモデルケースにすることを目的とした。 【方法】 当該触法障害者のニーズをくみ取りながら、就労・単身生活まで地域生活定着支援センターケースワーカー、更生センターケースワーカー、歩行訓練士、生活保護ケースワーカーが密接に連携を取り合い、支援を行った。 【結果】 全体のコーディネートを地域生活定着支援センターケースワーカーが、生活面の支援を更生センターケースワーカーが行い、視覚障害に起因する生活面の不便さの改善を歩行訓練士が訓練サービスを提供し、金銭面の支援を生活保護ケースワーカーが行った結果、本人の希望である単身生活及び就労継続支援A型事業所での就労が可能となった。出所後1年以上経過しているが、現在まで再犯を犯すことなく安定した生活を継続している。 【考察】 今回の事例では、定期的にケース会議を実施し情報を共有することにより、当該障害者に対し、本人の希望を組み込みながら各機関が共通の支援目標に向かって支援を行うことができた。また、当該障害者自身も再犯防止に向け、自助努力を行った。これらが合わさって安定した単身生活まで繋がったと考えている。 【結論】 個別化・ニーズの把握・関係機関の連携を重視し支援を行うことにより、触法障害者が更正し自立した生活が可能となることが実証された。 研-14.書字経験のない全盲者が署名用テンプレートを使ってハンドライティングを行った事例  ○道面 由利香 横浜訓盲院 【目的】 書字経験のない全盲者は自分の名前であっても自署することは難しい。日常生活の中で署名を要求されることは多く、代筆可能であるとはいえ、自分で自分の名前を書けると便利である。ペンを持った経験もない人が自分の名前を書くことを支援する方法を検討した。 【方法】 以下の順に訓練を行った。 1.ペンを持つ練習 2.線を書く練習 3.1文字ずつ分かれた四角の中に字を書く練習事前にレーズライターで大きく書いた漢字を触って形を覚えてもらい、画数の少ない字から練習した。画数の多い字はパーツに分けて練習した。 4.署名用テンプレート(以下、テンプレートとする)を使って字を書く練習 練習だけはどうしても上手く書くことが出来ない部分を洗い出し、テンプレートを作成した。テンプレートには書き始めの位置を指示するガイドを付け、払いの部分はなぞるだけで書けるようにした。 【結果】 訓練当初は線が震えて直線を書くことも難しかったが、筆順に拘らず、線の引き方を工夫する事で、画数が少なく直線で構成された字であれば書くことが出来るようになった。しかし、それでも画数が多く曲線も多い字は上手く書くことが出来なかった。そうした問題点もテンプレートを使うことで書きやすくなった。 【考察と結論】 署名に求められる字のサイズはそれなりに小さいことが要求されるが、作ることが出来るテンプレートのサイズには限界がある。今回の訓練生は巧緻性に優れており、細かい部分についてはどうしても本人の器用さに依存してしまっていた。この事はテンプレートを使ったとしても名前の画数や形によっては必ず誰もが書けるようになるわけではない事が推測される。しかし、シンプルな字で構成されている名前であれば、これまで全く書字経験がなくても自分の名前を書くことが出来る可能性を示唆している。 研-15.数学図形教材の比によるイメージのしやすさの違いに関する事例的検討  ○佐々木 淳哉1)、永井 伸幸2)  1)宮城教育大学大学院特別支援教育専修  2)宮城教育大学特別支援教育講座 【目的】 視覚障害のある生徒に授業を行う際に用いる教材は触察しやすいものでなければならない。教材を作成する場合、その比によって触察のしやすさが変わる可能性がある。そこで本研究では、図形の比を検討する前段階として、触覚図形のイメージのしやすさの縦横比による違いについて事例的に検討する。 【方法】 長方形、二等辺三角形を縦と横の長さの比、底辺と他の一辺の長さの比がそれぞれ50mm:60mm、50mm:70mm、50mm:80mm、50mm:90mmになるように工作用紙で作成した。これらの5:6、5:7、5:8、5:9で辺の長さを決めた図形を視覚特別支援学校の中学部に在籍する生徒1名に提示し、「触察してイメージがしやすい図形の順番に並び替えてください。」と伝え、並び替えてもらった。 【結果】 対象生徒は長方形では、5:6が最もイメージしやすく、次いで5:7、5:8、5:9としていた。二等辺三角形では、最もイメージしやすかったのが5:7、次に5:6、5:9、5:8であった。 【考察】 5:6、5:7の比を用いた長方形、二等辺三角形が対象生徒にはイメージしやすいと分かった。長方形では、5:6の縦横比で十分に理解できると考えられる。二等辺三角形では、触察する際に角が鋭く気になると対象生徒が話していたため、辺の長さを比で決める場合、角の大きさと辺の長さを同時に考えられる三角比を用いることが良い可能性がある。 【結論】 今回の課題から、対象生徒に教材として提示する長方形と二等辺三角形について、辺の比によって理解しやすさに違いが生じる可能性があると示された。長方形では縦横比を5:6にすると良く、また二等辺三角形では触察する際に、角が鋭くならないよう注意し、三角比を取り入れることが良い可能性があると示された。 研-16.中途視覚障害者を対象とした点字触読軌跡の分析  ○菊池 志乃、門脇 弘樹、牟田口 辰己  広島大学大学院教育学研究科 【目的】 点字触読軌跡とこれらの定量的データから,中途視覚障害者の点字触読時における人差し指の軌跡の特徴を明らかにすることを目的とした。 【方法】 視覚障害者6名(平均年齢47.9±9.6歳,触読練習開始時年齢16~40歳)を対象に,右手と左手による片手読み(以下「右手読み」,「左手読み」)の1分間の正読文字数を測定後,軌跡を記録した。この時,対象者の人差し指の腹に黒点を付け,右手と左手のそれぞれ別の課題文を音読させた。課題文は透明クリアファイルに点訳し,机2台の間に透明アクリル板を置き,真下に設置したビデオカメラで撮影した。この動画を動画分析ソフト「Kinovea」に取り込み,25コマ/秒の速度で人差し指に付した黒点を追跡して軌跡を描画した。 【結果】 点字読速度の平均は,右手読み37.0±31.9文字,左手読み39.8±30.1文字であった。12手(「右手読み」・「左手読み」×6名)の触読軌跡は,3つに分類された。1つ目は点字文字上で垂直上下に動く軌跡(8手),2つ目は点字文字上で斜め上方向に動く軌跡(2手),3つ目は水平方向に逆行する軌跡(1手)であった。課題文1行あたりを触読した際の片手読み軌跡の周長(点字文を読み始めてから読み終えるまでの曲線の長さ)は平均666.1±320.5mm,垂直移動範囲は平均3.0±0.9mmであった。 【考察】 目視による観察では,6名のいずれも点字1文字1文字の読み取りに留まっており,読み直しによる逆行や上下動を頻繁に行っているように見えたが,軌跡で表現することにより,読み方には相違があることが分かった。また周長データから,課題文を1行(約144.7mm)読むのに,4往復半もの距離を費やしていることが示された。 【結論】 中途視覚障害者の触読軌跡を可視化し,軌跡に関する定量的データを求めることができた。この結果は,点字触読の一評価方法の資料となり得ることが期待できる。 研-17.「フルメーキャップできた視覚障害女性3名の母親を対象とした調査研究」  ○山盛 晃代、大石 華法  一般社団法人 日本ケアメイク協会 【目的】 本研究では、ブラインドメイクの化粧技法を使用したことで、自分自身でフルメーキャップできた視覚障害女性3名の母親の気持ちを明らかにし、ブラインドメイクを推奨するための事例を積み上げる事を目的とした。 【方法】 対象者:視覚障害女性3名の母親 期間:2016年1月~12月までの1年間 方法:アンケート調査 【結果】 調査結果は、以下の通りであった。 A(20代)の母親~娘がとても綺麗になり、娘の自信に繋がった事を嬉しく思う。「娘は化粧をしなくていい」と考えていたので、娘の「化粧をしたい」という気持ちに気づいていなかった。 B(30代)の母親~楽しそうにメイクしている姿を見て嬉しく思う。ずっとやってあげていた化粧を自分でやるようになったのが大きな変化です。特にマスカラもできる事に驚いている。娘の外面の変化が内面の変化に繋がり、今後の人生をより豊かなものにしていくと思う。 C(30代)の母親~我が娘ながら笑顔がとても可愛く素敵になった。親が教えられなかった化粧を教えてもらう事ができて感謝している。今後も目が見えなくても堂々と顔を上げて歩いてほしい。視覚障害者でも綺麗に変身できると皆に伝えたい。 【考察】 母親は視覚障害女性にとって身近な存在と言える。視覚障害女性のブラインドメイク受講前は、化粧の事をAの母親は「必要ないもの」Bの母親は「自分がやってあげるもの」Cの母親は「自分も含めて誰も教える事はできないもの」との認識であった。しかし、受講後は、自身の娘が自分で化粧ができるようになり、自信を持った娘を見て嬉しく思い、娘の将来に新たな可能性を感じている。また、他の視覚障害女性にも化粧を勧めたいなど、ブラインドメイクは間接的に母親に対しても前向きになる影響を与えている事が分かった。 【結論】 本研究により、視覚障害の娘を持つ母親たちに、ブラインドメイクを推奨するための事例を積み上げる事ができた。 研-18.高屈折率スタンプルーペ「みてみ」の開発 ○田邉 正明1)、徳永達哉2)、高木 俊治3)、山口 成志4)  1)日本ライトハウス養成部  2)三井化学株式会社ビジョンケア材料事業部  3)ホプニック研究所  4)タイムズコーポレーション株式会社 【目的】 スタンプルーペは紙面の上にレンズを直接置いて書面とほぼ同じ位置にある虚像の拡大像を両眼視することができる。また、周辺光を集光することにより紙面が明るくなることが長所である。しかし、従来の製品の横倍率は1.8倍までであったため、それ以上の倍率の製品を作成する。 【方法】 スタンプルーペの形状はすべて同じであり、倍率は素材の屈折率をnとすると横倍率(β)はβ=3n/(4-n)で決定される。従来の素材はアクリルかガラスで屈折率1.52が最高であったため横倍率は1.8倍が限界であった。1.8倍を超える横倍率を出すためには屈折率1.52以上の素材が必要であり、今回三井化学製の高屈折材料MR-8TM、屈折率1.60の素材を用いて製品を作成した。 【結果】 屈折率1.60の素材では横倍率2倍が公式から予想され、目視による拡大でも2倍が観察できた。 【結論】 従来のスタンプルーペは最高横倍率1.8倍までであったが、高屈折率の眼鏡レンズ素材の利用で横倍率2倍の拡大鏡が完成した。少しの倍率増加であっても視覚障害者にとっては大きな変化に捕えられ、さらに眼鏡矯正だけでは読みが疲れる高齢者のためにもこのような高性能な拡大鏡の必要性が今後増加すると思われる。またスタンプルーペの倍率の表示は販売元により2倍、3倍、4倍、7倍などと表示され、消費者を混乱させており、横倍率による統一表示が望まれる。 研-19.「カプセルペーパー」活用で、初めから視覚障害者対象の「触って観る」アートの制作  ○安田 輝男1)、岡本 明2)、安田 孝子1)、市川 あゆみ2)、飯塚 潤一2)  1)筑波技術大学/触覚伝達デザイン研究会  2)筑波技術大学 【目的】  我々は、2002年以来、既製の美術作品等を「カプセルペーパー」で触図化することで、視覚障害者にも手で触って鑑賞できる「触って観る」アートを作成してきた。今回報告する「触って観る」アートは、既製の平面の美術作品を「カプセルペーパー」で触図化するのではなく、最初の段階から「触図化されたカプセルペーパー」を使って「触って観る」アートを制作したものである。当初から、視覚障害者を鑑賞の対象として制作された「触って観る」アートは、視覚障害者の美術鑑賞に、さらに資することが期待できると考えて制作した。 【方法】  まず、平面の下絵を作成し、視覚障害者が手で触って理解・鑑賞する際に、わかりやすくする為に、黒色で輪郭やストライプ、ドット等を描き完成版を制作する。完成版を、「カプセルペーパー」で触図化すれば、「触って観る」アートができあがる。「カプセルペーパー」のサイズは、A3が最大であるので、それを超えるサイズの場合は、分割して「触図化」し、つなぎ合わせれば、A3サイズ以上のものも制作可能である。 【結果】  報告者らは、上記の方法により、「手で『触って観る』マナーポスター」「触って観るすごろく」「手で『触って観る』環境ポスター」「触って診る解體新書」「From Hiroshima peace」等の「触って観る」アートを制作した。 【考察】  上記の作品を、二科展「触って観る」アートコーナー、盲学校等で展示し、視覚に障害のある人に実際に手で触って鑑賞してもらいヒアリングした結果、「わかりやすい」「おもしろい」等の意見や感想を得た。 【結論】  既製の平面の美術作品を、「カプセルペーパー」によって触図化するよりも、初めから「触図化されたカプセルペーパー」を活用して作成した方が、「わかりやすい『触って観る』アート」をつくることが可能であることがわかった。今後は、視覚障害者対象の「触って観る」アートの制作を積極的に行っていきたい。 研-20.ズームミラー(凹面鏡)の光学的特性と使い方について  ○鎌田 貴身江 藤沢市民病院 【目的】 ズームミラー(凹面鏡)はロービジョン者が主に化粧や整容動作で拡大を目的として使う鏡である。凹面鏡による拡大像は焦点距離よりも鏡に近い点から鏡を見ることで得られる正立虚像である。拡大率は鏡面の曲率によって異なるが、鏡面からの視距離によって拡大率と虚像のできる位置が異なり屈折状態や調節力により虚像にピントを合わせられないこともある。市販品の拡大表記は2倍から10倍程度であるが、拡大率の表記はあっても、表記倍率が得られる視距離や虚像の位置については記載がない。今回はズームミラーの曲率半径から拡大率や虚像の位置を計算し使用上の注意事項について検討する。 【方法】 曲率半径と倍率表記があった半径30cm(7倍)、40cm(5倍)、60cm(3倍)、100cm(2倍)の曲率半径で視距離と拡大率の関係を調べた。また、虚像のできる位置を調べ、虚像にピントを合わせるのに必要な調節力や屈折状態を調べた。 【結果】 どの曲率半径でも視距離を変えることで表示倍率より大きくなることもあるが、2倍程度の拡大しか得られないこともある事が分かった。表示倍率を得るための視距離での虚像の位置は曲率半径30cmでは110cm、半径40cmでは 96cm、半径60cmでは80cm、半径100cmでは75cmであった。この結果は、これより手前に遠点のある近視眼ではピントが合わず、遠視眼、老視状態では裸眼で虚像にピントを合わせられないことを示唆する。 【考察】 ズームミラーは手軽で安価であるが視距離によっては表記と同じ拡大率にはならない。また屈折状態や調節力によってはピントが合わないこともある。条件が合えば裸眼で化粧ができるが屈折状態や必要な拡大率によってはタブレットの拡大鏡アプリや平面鏡で近づいて見た方が良い場合もある。選択の際には曲率半径や焦点距離が分かるもので屈折状態に合っているか検討し適切なエイドを選択する必要がある。 研-21.中心視野障害シミュレーション試作報告  ○山中 幸宏、金澤 正継、小野 充、近藤 明宏、相澤 学  株式会社朝倉メガネ ロービジョン・ケア推進室 【目的】 従来存在する中心視野障害のシミュレーション(以下中心障害シミュとする)は、ゴーグル式のメガネの中心に黒い暗点シールを貼ったもので、眼球を動かしたとき、本来暗点にしたい部分が見えてしまうという欠点があった。今回、鼻の位置に拳を置くことで中心暗点のシミュレートが出来る知見を得た。そこで、この方法を応用することで、「歪みや部分的に見えるところがある」シミュレーションが作れないか考えた。 【方法】 形状が拳状を保持出来て加工できる素材として、トレーシングペーパーを用いた。穴をあけることで部分的に見える視野を、透明なマニキュアをつけたセロファンテープを用いることで歪みを体験できるシミュレーションを作製した。また顔の方にクリップオン眼鏡のクリップを装着することで、眼鏡をかけた人に装着出来るようにした。 【結果】 中心障害シミュとして、顔を動かすと部分的に見えるタイプと、歪んで見えるタイプのシミュレーションの作成に成功した。 【考察】 加齢黄斑変性を始めとした中心障害シミュは、障害を持つ方の立場になってケアをするという意味において有効性を発揮するものと思われた。また、このシミュレーションは偏心視の見え方と残存する中心に近い部分の狭視野や歪んだ網膜像との比較体験も可能であることから、今後欠損した視野の大きさにより、中心視に近い視覚を利用した方がいいか、偏心視を選択した方がいいのかどうかという選択の研究に進めていくことが出来ればと考えている。 【結論】 中心障害シミュを使用することで、疾患を持つ方の立場に立つことが可能になることに近づいた。 研-22.ロービジョンの人たちが感じる写真に写った表情の見えにくさとその改善策  ○乙訓 輝実 小田 浩一  東京女子大学 【目的】 ロービジョンでは対面コミュニケーションにおける心理的負担が知られており、この要因の1つとして顔表情認知の困難が上げられている(中野・相羽・小松,2014)。日常的な表情認知における困難の改善策として声などの聴覚情報の利用が知られている(茂手木,2005)が、聴覚情報がない写真ではどのように困難を解決しているのだろうか?本研究では、ロービジョンの人が(1)写真での見えにくさの改善方法と(2)表情を見たいのは誰のものかについて明らかにする。 【方法】 22~77歳のロービジョンの日本人8名の調査対象者に対し、半構造化インタビューを実施した。質問項目は、写真での表情の理解や見たい顔に関する項目を含んだ計20項目であった。質問項目ごとに回答をカテゴリ分けして分析した。カテゴリは中野ほか(2014)を参考にした。 【結果】 (1)写真での見えにくさを改善するための工夫 ロービジョンの人が行っている工夫は「外見から推測」「規則や事前情報から推測」「周囲の人の援助」「エイドの活用」の4カテゴリに該当した。エイドの活用の中で、回答数が特に多かった機器は拡大読書器とタブレット端末であった。 (2)見たいと感じる顔 見たいのは「家族」の顔という回答が最も多く、数名は特に子供と答えた。 【考察】 ロービジョンの視覚補助具では拡大鏡が広く使われるが、写真に写る表情の見えにくさの改善には拡大読書器やタブレット端末が利用されていた。ある回答者は拡大読書器を使う理由を拡大率や見える範囲の広さとした。表情認知では顔のパーツを総合的に知覚するために、全体を広く写す拡大読書器とタブレット端末に利点がある可能性がある。視覚補助具を用いた表情の拡大は、他者では使用が躊躇されるが、家族の場合には日常的な表情認知でも応用できる改善策となるのではないかと考えられる。 研-23.画面の解像度と画面サイズがPC版MNREAD-Jの測定範囲に及ぼす影響  ○小田 浩一 東京女子大学人間科学科 【目的】 ロービジョンの読書困難を行動的に評価するMNREADの日本版として、比較的早くからPC版が開発された(小田・西村,2002)が、当初PC画面の解像度と大きさの制約から臨床応用には大きな制限があった。近年のディスプレイ技術の進歩で画面の解像度とサイズが大きく改善し、解像度は人間の視力(最小分離角)に近づき、大きさも50インチを超えるものが一般に入手可能になっている。本報告では、これらがPC版による読書評価の測定範囲にどのように影響するかを検討する。 【方法】 2017年春現在で比較的一般に入手可能な画面の仕様に対して、解像度とサイズ、視距離、観察者の視力とPC版のMNREAD-Jで測定可能な範囲について測定した。 【結果】 厳密な意味ではPC版ではないがiPhoneとiPadでは30cmの視距離で測定できる最小視力が 0logMAR以下になった。55インチの4kTVでは同じの30cmの視距離で測定できる視力の最大値が2logMAR程度まで広がっていた。 【考察】 解像度の高い画面では30cmの通常作業距離で正常視力 0logMARをぎりぎり測定できるようになっている。一方、55インチという大画面では印刷版のMNREADの最大測定サイズ1.3logMARの4倍まで測定可能であり、大きな中心暗点のあるロービジョン患者の読書評価を行い、読書補助をするのには好都合である。この解像度と大画面は1つのディスプレイの中では両立しないので、1つのディスプレイを同じ測定距離で使ったときに、印刷のMNREADの測定範囲をカヴァーすることは依然としてできないが、測定範囲はVGAディスプレイのころに比べて約4倍になっている。1台のディスプレイを使って広い範囲を測定する場合、現状では27インチの4kディスプレイを60cmの測定距離で使用する方法が推奨できるであろう。 研-24.ロービジョンの読者がiPadで快適に読書するための環境選択について  ○工藤 恵美1)、勝島 奈津子1)、鈴木 麻衣1)、大西 まどか1) 小松 英海2)、小田 浩一1)  1)東京女子大学  2)慶應義塾大学 【目的】 ロービジョンの読者がiPadでPDFアプリケーションを用いて文書にアクセスする際の利便性を調査し、より快適な読書環境について明らかにする。 【方法】 Adobe Acrobat(タグなし/タグあり)、UDブラウザを用いて調査・実験を行った。ロービジョンの29歳~70歳の男女9名を対象に、アプリケーション使用後、その使用感や問題点についてインタビュー調査を実施した。インタビュー調査の結果を受け、大学生の男女30名(晴眼)を3つのグループ(求心性視野狭窄(3度)シミュレーション群、低視力(0.2以下)シミュレーション群、シミュレーションをしない群)に分け、それぞれ文書アクセス課題を複数課し、それぞれ達成時間を測定する実験を実施した。実験後に使用感について言語報告をさせた。 【結果・考察】 実験結果から、ページ移動するための機能のうち、求心性視野狭窄シミュレーション群がAdobe Acrobat上でページスワイプ機能を用いた課題達成に最も有意に長い時間を要していたことが明らかになった。有意に課題達成時間が短かったUDブラウザの目次リンク機能と比較して、大きな視点の移動が必要となることが課題達成時間に影響していたと考えられる。インタビューから、似ているアイコン同士の区別がつきにくいことが挙げられた。背景とのコントラストの低さ、アイコンの小ささが、空間解像度が低い状態の人々のアイコンの識別性に影響していると推測される。また使用前のコーディングやタグ付け等の困難が使用までの障害になっていることが明らかになった。 【結論】 ロービジョンの読者がiPadを用いて快適に読書をするための環境として:(1)アプリケーションの中では視点移動を少なく操作できること、(2)アイコンのコントラスト・大きさ・識別性を上げること、(3)文書内ナビゲーションを容易にする準備をすること、が重要である可能性が示唆された。 研-25.コントラスト感度と階段降下(第2報):臨界コントラスト感度と階段検出に必要なコントラスト感度の比較  ○大森 都、川嶋 英嗣  愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻 【目的】: コントラスト感度と階段下降の歩行速度には関連があり(天本・川嶋 2016),最大歩行速度で歩ける最小のコントラスト感度である臨界コントラスト感度は階段検出に必要なコントラスト感度よりも高い(川嶋・大森 2017)ことがわかっている。段差の輝度コントラストの異なる階段でも同様の知見が得られるのか検証するために,本研究では臨界コントラスト感度と階段検出に必要なコントラスト感度の違いを二つの下り階段で検討することを目的とした。 【方法】: 被験者は矯正視力1.0以上の5名であった。使用した階段は輝度コントラストが27%と82%の下り階段であった。Bangerter occlusion foilsを用いて,人工的にコントラストを低下させた9条件を設定した。各コントラスト低下条件において空間周波数別に輝度コントラスト感度を上下法で測定して,得られたコントラスト感度関数からピークコントラスト感度を推定した。階段降下実験では,ピークコントラスト感度別に歩行速度(PPWS)を測定した。ピークコントラスト感度と歩行速度の関数に2直線をフィッティングさせて,交点のピークコントラスト感度を階段降下に必要な臨界コントラスト感度とした。階段検出実験では,下り階段のエッジが見えたか否かを被験者に応答させ,見えたと応答した最小のピークコントラスト感度を階段検出に必要なコントラスト感度とした。 【結果】: 二つの階段どちらにおいても臨界コントラスト感度は階段検出に必要なコントラスト感度よりも統計的に有意に高いことがわかった。 【考察】:階段が見えていないことだけが階段降下の歩行速度を低下させている原因ではないことを本研究の結果は示唆している。階段が見えていても階段歩行に困難が生じている可能性がある。 【結論】: 階段段差の輝度コントラストが異なっていても臨界コントラスト感度は階段検出感度より高い。 研-26.弱視者の読み書きの手段としてのタブレット端末の効果の検討    ー擬似体験による数学のテストからの検討ー  ○永井 伸幸、久保田 和樹、佐々木 淳哉  宮城教育大学 【目的】 弱視者の補助具としてのタブレット端末の活用が広がってきており、様々な場面で活用されてきている。特に、弱視者の読みに効果を発揮することについては多くの実践が行われてきた。しかし、弱視者の「読み書き」の手段としてのタブレット端末の有効性については検討されていない。そこで本研究では、晴眼者の擬似体験による検討を行うこととした。 【方法】 晴眼大学生10名が参加した。白濁の弱視擬似体験の状態で、A4用紙に印刷された数学のテストとタブレット端末(Apple社,iPadPro)に表示されたテストに、直接書き込んで解答した。半数が先に紙で、残り半数は先にタブレットでテストを受けた。 【結果】 紙とタブレットでテストの得点に有意差はなかったが、解答時間は紙で有意に短かった。参加者は、タブレット端末のテストについて、自由に拡大できることを利点として挙げ、慣れないことによる書き込みにくさを欠点として挙げた。 【考察】 タブレット端末は、読みにおいては拡大の仕方を簡単に学べば使えることが多いが、書きの手段としては、習熟するまでの練習期間が必要であると考えられる。十分な使用経験を積んだ後に同じ実験を実施した場合、異なった結果が示される可能性がある。 【結論】 タブレット端末は、弱視者の読みの手段としての効果はあるが、書きについては、現時点では安易に導入することは適切ではない可能性が示された。 研-27.コントラスト感度と階段降下(第3報):不安感と歩行速度の関連  ○川嶋 英嗣、大森 都  愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻 【目的】:  最大歩行速度で歩くことができる最小のコントラスト感度を表す臨界コントラスト感度は階段検出に必要なコントラスト感度よりも高い(川嶋・大森, 2017)。このことは階段を検出できるコントラスト感度を有していても歩行速度に困難を有している可能性を示している。階段降下の歩行速度低下に不安感の増大が影響している可能性を検証するために、本研究では階段の降下速度と不安感の関連について検討することを目的とした。 【方法】:  被験者は矯正視力1.0以上の5名であった。使用した下り階段のコントラストは輝度計による計測の結果、27%であった。Bangerter occlusion foilsを用いて人工的にコントラスト感度を低下させた9条件を設定した。階段降下実験では、各コントラスト感度低下条件下で階段降下時の歩行速度(PPWS)を測定した。不安感の測定実験では、各コントラスト感度低下条件下で被験者に階段の最上段から階段を観察して降りることへの不安感を10段階で評定させるとともに、階段の段差が見えるか否かの評定についても行わせた。 【結果】:  PPWSと不安感との間にどのような関係性が存在するのかを検証するためにスピアマンの順位相関係数を算出したところ、-0.8であり有意な負の相関関係が認められた。階段を検出できると評定したときの不安感の評定値は1から7の間で分布していた。 【考察】:  階段降下時の歩行速度の低下には階段を降りることへの不安感の増大が影響していることが本研究の結果で示された。階段が見えるコントラスト感度を有していても不安感が高く階段歩行に困難が起こっている可能性がある。 【結論】:  不安感と階段降下の歩行速度には強い関連がある。階段を検出できていても不安感が高いほど歩行速度は低下する。 研-28.タッチテクニックの白杖操作時における標準的な握りとFingertipGraspの比較検討  ○小林 章 日本点字図書館 【目的】 タッチテクニックのグリップの標準的な握り方は、「グリップを握手するように握り、人差し指は伸ばしてグリップの側面に当てる」ように握る方法である。この握り方の場合、手首を適切な角度で屈曲させて利き手側に白杖を振ることと、チップが地面から高く上がらないように制御できるようになるまでに時間がかかるように思われる。Jacobson(1993)は標準的な握り方の変形としてFingertip Graspを紹介している。この発表においては、標準的な握り方と比較した場合のFingertip Graspの有効性について紹介する。 【Fingertip Graspの方法】 (1) グリップは掌に押し付けず、中指、薬指、小指の3本なしは中指、薬指の2本で下から支え、親指で上から挟むように握る。 (2) 人差し指は屈曲させ、指先のみをグリップの側面に当てる。 (3) 中指を支点にして、利き手側に振る時は中指の力で押し、人差し指をストッパーにして制御する。 (4) 利き手と反対側に振る時は、人差し指で押し出し、中指で動きを制御する。 【結果と考察】 (1) 手首の屈曲、伸展をほとんど伴わないため、手関節が硬い者でも適切なふり幅を確保できる。 (2) 中指が支点となるため、杖の重さで自然とチップが下がり、弧を描くときにチップの位置を低く制御しやすい。 (3) グリップを強く握らないことから、路面の繊細な情報も入手しやすい。特に微妙なショアラインをたどる時には有効である。 (4) 手首の位置を腰よりも高い位置に上げるか、グリップを短く持つことにより、白杖を垂直に近い状態で操作することが容易であり、「鉛筆握り」よりも疲れにくく、握り直す必要がない。 【結論】 Fingertip Graspは利点が多く、特にタッチテクニックにおけるふり幅、弧の高さを適切に制御しやすい技術である。 研-29.ケース報告:全盲ろう者への盲導犬貸与事例  ○多和田 悟、田中 真司  日本盲導犬協会 日本盲導犬協会では、初めて実施した全盲ろう者への共同訓練について発表 【クライアント基本情報】 ・男性・新規・50代・単身 ・視覚障害原因 視神経萎縮 ・聴覚障害原因 幼少期高熱・職業 ・コミュニケーション手段 点字/指点字/触手話/手書き文字/メール/発語は可能(不明瞭) ・視聴覚二重障害者福祉施設 理事長 ・取得動機 (1)視力低下に伴う歩行困難 (2)盲ろう者の可能性を広げたい 【方法】 訓練期間26日間。訓練回数47回 【結果】 貸与。 ・盲ろう者で変わったこと(1)触覚的サインの共有(2)通訳者利用(3)犬への関わりのタイミングのズレ ・盲ろう者で変わらなかったこと(1)本人の歩きたいという強い動機(2)自尊心の回復(3)歩行指導原則の重要性 【考察】 盲ろう者の歩行手段として、盲導犬歩行も有効な選択肢の1つと思えた。また盲ろう者も含め、視覚障害以外に障害を持つ方への盲導犬貸与も工夫と努力次第で可能性があるように思えた。今後も今までの概念に捉われずに様々な可能性に挑戦していきたい。 研-30.駅構内における歩行訓練のための一提案     ─世田谷区の取り組みを通じて─  ○木村 仁美 世田谷区立総合福祉センター 【目的】 ホーム転落事故が相次ぎ、視覚障害者(以下、当事者)が死亡に至った例もあり、社会問題として関心が高まっている。区内にある駅構内の確認に同行する機会を得たので、歩行訓練士(以下、訓練士)の立場から実現可能な対策の検討を試みた。 【方法】 区内を走行している電鉄3社(小田急、京王、東京急行:50音順)と当事者団体、行政が揃い、事前に抽出した各社数か所の駅構内を実地検証した。当事者がホーム上を実際に歩きながら問題点の指摘や要望を電鉄各社の担当者に伝え、各社からの回答を得た。 【結果】 当事者よりホームドアの設置、誘導ブロックや音声案内の充実などの要望が出た。しかし、費用の問題だけでなく、長期的な改修計画の下で進めている、地形的問題があるなど、即座に応えられないという電鉄各社の苦しい事情もわかった。訓練士は「当事者を送迎する者が、乗車する・しないに関わらず構内に入れると障害者は安心・安全である。」との意見を出したが、「改札で該当者を判別しきれない。通常は運用として認めており、その都度、相談して欲しい。」との回答だった。 【考察】 物理的な問題が解決されても駅構内の歩行訓練は必要である。本来は入場券の購入が前提だが、多くの場合、駅員の理解や協力が得られ、構内の歩行訓練を行っている。一方で、当事者の負担や遠慮もあり、十分な訓練回数を確保しているとは言い難い。電鉄各社の理解と周知により、制約なく歩行訓練が行えることが望ましく、そのために訓練士に限定し、改札で容易に判別できるような身分証があると良いと考える。 【結論】 身分証の発行や電鉄各社との交渉、周知の徹底は、団体としての取り組みが必要である。非会員への対応は検討が必要だが、会員増にもつながると考えられ、視覚障害リハビリテーション協会が中心となり実現できると良い。 研-31.歩行訓練士および歩行訓練の実態について  ○堀内 恭子 日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター 【目的】 日本ライトハウスでは、厚生労働省の委託により視覚障害生活訓練等指導者の養成を実施している。2年課程ではあるが所属のある者に限り分割履修が可能である。その内基礎Ⅰ(1年前期)を修了した者がいわゆる歩行訓練士と呼ばれている。歩行訓練士は全都道府県に存在しているのか?養成課程修了者は、すべて歩行訓練を実施しているのか?歩行訓練を実施している機関は全都道府県にあるのか?以上を明らかにし、全国どこの地域にいても視覚障害者が歩行訓練を受けることが可能であるのかを明らかにする。 【方法】 当養成部では、平成7年から、「指導者養成課程修了者の実態」(国立視覚障害者リハビリテーション学院、海外の養成機関の修了生を含む)及び「生活訓練実施機関の実態」について調査を行っている。調査結果について精査した。調査結果以外、一部修了生への聞き取りも実施した。 【結果】 指導者養成課程修了者中、歩行訓練が実施できる修了者は898名。その内何らかの所属がある者(以下現任者)は527名(58.7%)。平成28年10月から熊本県にも1名配属となり、歩行訓練士のいない地域はなくなった。現任者527名中、歩行訓練を実施している機関に所属している歩行訓練士数は242人、内在宅指導を実施している機関に所属しているのは194人であった。現任率は、平成13年から15年の74%をピークに減少している。歩行訓練を実施している機関は70機関で、その内66(85.7%)機関が在宅指導を実施している(平成28年6月)。在宅で、都道府県全域の対象者に歩行訓練が提供できていないのは、長野県、群馬県、大分県であった。 【考察・結論】 現在、全都道府県に歩行訓練士が存在しているにもかかわらず、すべての地域で歩行訓練士による歩行訓練を受けることができない状況である。在宅の歩行訓練に携わっている実数は、194人以下ということになり、修了生総数の21.6%以下ということになる。今後原因の解明と、解決策について検討していきたい。 研-32.中途視覚障害受障初期の白杖歩行におけるベアリングに関する研究    ─白杖の反響音の観点から─  ○門脇 弘樹、菊池 志乃、牟田口 辰己  広島大学大学院教育学研究科 【目的】 歩行中に意図した進行方向から進路がずれることをベアリングという。本研究では,中途視覚障害受障初期の歩行において白杖の反響音がベアリングにもたらす影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】 中途視覚障害シミュレーションとして,晴眼大学生8名(男性3名,女性5名)を対象に,直進歩行実験(16m)を行った。条件は,白杖条件及び防音条件(吸音材としてポリウレタンを白杖のチップ部分につけて振る条件)で,それぞれの条件で直進歩行を6試行ずつ行い、計12試行を無作為に行った。分析はベアリングのデータから各対象者の標準得点(z得点)を条件ごとに算出して行った。なお,z得点は得点が高いほど,ベアリングが小さいこと示す。 【結果】 z得点の結果は,A(白:1.159,防:0.459),B(白:0.112,防:1.096),C(白:0.836,防:-0.488),D(白:-0.789,防:0.155),E(白:0.618,防:0.905),F(白:0.851,防:0.923),G(白:-1.800,防:-1.586),H(白:-0.987,防:-1.463)であった。また,z得点より以下の4グループに分類された。すなわち,Group 1:白杖条件において得点が高いグループ(C),Group 2:両条件とも得点が高いグループ(A・B・E・F),Group 3:両条件とも得点が低いグループ(H・G),Group 4:防音条件において得点が高いグループ(D)であった。 【考察】 z得点の結果より,Group 1は1名のみであり,中途視覚障害受障初期では白杖の反響音は直進歩行を維持するための手がかりとはならないと考えられた。また,Group 2・3より,白杖の反響音に関係なく,ベアリングが小さく生じる者と大きく生じる者がいると示唆された。 【結論】 中途視覚障害受障初期では,白杖の反響音はベアリングに影響しないことが明らかとなった。一方,Group 1のCの結果より,白杖の反響音を有効に活用することでベアリングを抑えられると推察された。 研-33.触地図キットの有用性の評価  ○豊田 航1)、尾形 真樹2)、大内 進3)、清水 美知子4)、大倉 元宏1)  1)成蹊大学理工学部、2)杏林大学医学部付属病院アイセンター、3)国立特別支援教育総合研究所、4)モビリティ研究会 【目的】 歩行訓練の現場で触知性が高い触地図を作製及び修正可能な触地図キットを開発した。本研究はこの有用性を明らかにする。 【方法】 視覚障害者1名(60代、10年前より全盲、盲導犬歩行)と歩行訓練士1名(指導歴14年、地図使用頻度約2回/年)に普段通り歩行訓練を行わせ、歩行訓練士が必要と判断した時に触地図キットを使用させた。歩行訓練は駅から公共施設までの約800mの区間で行い、バスロータリー、階段、信号機付十字交差点3か所などが含まれる。視覚障害者と歩行訓練士に対する行動観察と、訓練後の視覚障害者と歩行訓練士に対する半構造化面接の結果を分析した。 【結果】 歩行訓練士は、訓練前、公共施設到着後、駅帰着後の3回に渡り触地図キットを使用し、それぞれにおいて歩くルート、その周辺情報、環境全体の形状等を説明した。歩行訓練士は視覚障害者の環境理解の程度や訓練の進行状況に応じて、触地図の内容を修正しながら使用した。復路において、視覚障害者は事前に定めたルートを逸脱したが自ら気づき、元のルートには戻らず実際には歩いたことがないルートを通って出発地に帰着した。面接では、視覚障害者から「触地図キットで環境をイメージできた」、「自分が歩いている道が正しいと確信でき、自信を持って歩けた」、歩行訓練士から「簡単に使えた」、「言葉での説明が難しい環境を伝えられた」、「視覚障害者と共通認識が持てた」等の回答を得た。 【考察】 触地図キットの触読により、視覚障害者は単純なルートの記憶だけでなく環境全体の認知地図を構築でき、現在地と目的地の位置関係を理解して歩くことができたと考えられる。触地図キットは、従来の触地図では不可能であった、訓練状況の変化等に応じた適切な情報提示を容易に行えることが実際に確認でき、視覚障害者と歩行訓練士が共に効果を実感していることからも、実用性に富むと考えられる。 【結論】 触地図キットが歩行訓練の新たな補助具として有用であることが示唆された。 研-34.縁端警告ブロック付道路側溝用蓋の提案(はしっこくん)  ○宮部 幸弘1)、棚橋 公郎2)  1)桜コンクリート株式会社、2)岐阜アソシア 【目的】 現在、視覚障害者誘導用ブロックの設置等により、安心・安全な道路環境づくりが進められている。しかし、道路上には危険箇所や支障物があり、視覚障害者誘導用ブロックだけでは不十分である。そこで道路縁端部に敷設する道路側溝の蓋にホーム縁端警告ブロックを組み合わせた製品を提案する。 【方法】 ホーム縁端警告ブロックを組み合わせた道路側溝の蓋を製作。岐阜県立岐阜盲学校の運動場に敷設し、同校の生徒及び教員を対象に歩行実験を実施した。対象者に実験後、ブロックの認識のしやすさや居住地域の道路の危険箇所や支障物についてのアンケートを実施した。 【結果】 今回の歩行実験によりアンケートは66人から回答を得た。歩行時に「製品の形状を認識できる」という回答は87.9%であり、74.1%がこの製品が普及することにより行動範囲が広がるとの回答を得た。また、居住地域の道路については、76.7%が「危険に感じる」と回答し、危険と感じる支障物で最も回答が多かったのが電柱で、次いで路上駐車(自転車)であった。 【考察】 今回の実験により道路側溝の蓋に組み合わせた場合においてもホーム縁端警告ブロックを十分認識できることが分かった。整備が行き届いていない道路の中には、道路と田畑等の境界部に柵等がなく転落の危険があるものや、電柱などの支障物に衝突する危険があるものがある。そのような道路において、本製品を設置することで危険箇所となる道路縁端部を知らせることが出来、安心・安全な道路環境をつくることができる。 【結論】 危険箇所や支障物が散見される道路は多く、それらの道路に設置することで危険箇所の注意・警告の効果を発揮できる。また、工事は蓋の伏せ替えのみであるため、低コストで早急に設置することが可能である。視覚障害者の方だけでなく、車いす使用者や高齢者等にとっても道路縁端部を認識できることで、あらゆる道路利用者にとって安心・安全な道路環境づくりとなる。 研-35.視覚障害者の障害物またぎ動作における足部軌跡の特徴  宇野 直士1)、Ping Yeap Loh2)、村木 里志2) 1)徳山工業高等専門学校、2)九州大学大学院芸術工学府 3)九州大学大学院芸術工学研究院 【目的】 障害物を回避する方略には迂回・踏み越える・またぐがある。障害物の形状や位置にもよるが、視力・視野を保有する視覚障害者にとって障害物をまたぐことは少なくない。本研究はまたぎ動作時の足部軌跡に着目し、視覚障害が障害物またぎ動作に与える影響を検討した。 【方法】 矯正視力1.0以上の男性10名と網膜色素変性症を原因疾患とする視覚障害者10名(障害者手帳2級所持者)を対象とした。被験者は足元に位置する高さ4cmと15cmの障害物をまたぐ動作を各条件5回ずつ行った。その際、被験者に対して障害物の高さは教示せず、障害物を確認する方法は視認のみとした。また、またぎ動作の開始位置は被験者の任意とした。6台の高速度撮影機能付カメラで障害物をまたぐ動作を記録した。そして解析により得られた3次元座標値をもとに、またぎ動作時のステップ幅、踏込足および引込足の位置軌跡、および下肢関節角度を求めた。 【結果】 健常者と比較して視覚障害者は、障害物からより離れた位置で踏切動作を開始した。そのためステップ幅とまたぎ動作に要する時間が増加傾向を示した。また、2種類の高さ条件ともに、踏込足および引込足の障害物上最高点が健常者よりも高く位置した。さらに、踏込足が障害物上を通過する際の股関節角度と足関節角度が健常者と比較して増加傾向を示した。 【考察】 障害物に接触するリスクを回避するために、視覚障害者は障害物に対して時間的・空間的余地を有しながらまたぎ動作を行うことが示唆された。また、またぎ動作に伴う下肢関節角度の結果から、健常者は膝関節や足関節に、視覚障害者は股関節に依存して障害物高の増大に対応していることが示唆された。 【結論】 視覚障害者と健常者では障害物またぎ動作の特徴が異なる。今後、視覚障害者の歩行支援や福祉のまちづくりを検討する上で、視覚障害者特有の動作や感覚への理解を深めることが重要である。 研-36.非視覚的スマートフォン操作における文字入力速度の比較  ○渡辺 哲也、新貝 章太  新潟大学 【目的】 スクリーンリーダを用いてスマートフォンで文字入力を行う際、どのソフトキーボードとキー確定方法の組合せが学習速度が速く、かつ学習後に入力速度が速いかを明らかにすることが本研究の目的である。 【方法】 タッチインタフェースに標準搭載されているスクリーンリーダ機能を使い、文字入力を行う実験を5日間連続で行った。スクリーンリーダによるタッチインタフェース操作経験のない人が操作方法を学習する様子を模擬するため、実験には晴眼者11人に参加してもらった。実験では、キーボード2種類(QWERTYキーボードとテンキー)×入力確定動作3種類(フリック、ダブルタップ、スプリットタップ)を組み合わせたもののうち、4種類の文字入力方法を使い、入力速度、学習速度、入力エラーについて比較検討した。 【結果】 テンキーでは日ごとに入力速度が上がったが、QWERTYキーボードでは初日から5日間、入力速度が上昇しなかった。5日目の入力速度は、テンキーによる入力方法2種類が、QWERTYキーボードによる入力方法2種類よりも有意に速かった。入力エラーについては、実験1日目では、テンキー&スプリットタップのエラー数が最も多かったが、5日目では、どの入力方法も、エラーが1セッションあたり0~1回程度と少なくなった。エラーの種類については、全ての入力方法において、余分な文字を誤って入力するエラーが最も多かった。 【考察】 キーボード、及び入力確定方法間で入力速度に差が出た理由について、キーストロークレベルモデルを用いて検討した。その結果、QWERTYキーボードではテンキーよりもキーボードのポインティングに時間がかかり、かつ日本語1文字を入力するために2回キー操作を行わなければならないことが、QWERTYキーボードによる入力の速度が遅くなった原因であると考えられた。 【結論】 スクリーンリーダを用いたスマートフォン上での文字入力操作において、テンキー&スプリットタップが最も入力速度が速くなることを実験で明らかにした。 活動報告 活-1.機能訓練事業所における気分障害を疑う例のスクリーニングについて  ○中津 大介  東京都視覚障害者生活支援センター 【緒言】  視覚障害を有する方に、しばしば気分障害や抑うつ気分がみられることは報告されている。報告者の勤務する事業所では、利用開始初期に、何らかの心身の不調がある場合のスクリーニングと早期対応を目的とした取り組みを行っている。現在までの状況を報告する。 【方法】  Patient Health Questionnaire-9日本語版こころとからだの質問票(村松公美子,上島国利 2009)を用いた。こころとからだの質問票は、プライマリケア医の使用を想定しており、気分障害の特異性は高くないが、検出率は高い質問紙である。 2014年3月~2017年2月の当センターの機能訓練でこころとからだの質問票を行った結果を抽出し、気分障害が疑われる例の割合について、検討を加えた。当センターで機能訓練を継続中の者の結果は除外した。 【結果】  気分障害などの何らかの心身の不調が疑われる例は、37名中、5名(13.5%)であった。項目ごとに見ると、特に不眠は29.7%、抑うつ感10.8%、倦怠感16.2%であった。先行研究(山田ら,2001)では、本報告で用いている方法と異な るため単純に比較はできないが、うつ病疑いは23.7%、ボーダーラインは24.7%であり、両者を合わせるとおよそ半数がうつ病、うつ状態と報告されている。それらと比較すると低い率であった。  要因は本報告の中でははっきりしないが、機能訓練の利用が始まる前に何らかのケアが行われていることや、相談や自立への意欲が回復しmental stateは改善が見られている状態にあること、量的・質的に豊富なソーシャルサポートがmental healthの促進要因であること、もプラスに働いている可能性がある。機能訓練の初期と後期で施行した点数の比較が可能であった例では、顕著な改善効果は見られなかった。生活上の新たな問題が出現したり、身体状態の悪化がみられた例では、訓練が進んでも不眠や不安の項目に増悪が見られた例があった。  こころとからだの質問票は、診断目的ではなく、疑いのある者を早期に検出し、適切なケアへつなげることを目的とするには、適した方法の一つである。初期に対応の必要性が見られない例でも、継続的なサポートが必要である。 活-2.鹿児島心の健康講座  実践報告Vol. 5-1  ○良久 万里子1)、田中 桂子2)、氏間 和仁3)、池畑 友美4)、神田橋 條治5)、森越 まや6) 1)鹿児島県視聴覚障害者情報センター 2)先端医療センター病院 3)広島大学大学院教育学研究科 4)広島大学教育学部 5)伊敷病院 6)株式会社ラグーナ出版ラグーナ診療所 【はじめに】  「鹿児島心の健康講座」は、視覚リハ担当者と心理カウンセラー(研修のため定期的に来鹿)により、平成24年度から実施している。  この講座は、両者が協働し、視覚障害者およびその家族、支援者を対象として、彼らのメンタルヘルス維持を目的としている。  ここではVol.4以降の実施分を報告する。 【内容】 1.本人・家族を含む総合的支援(平成27年度より継続)。 *Xさん(別ポスター「弱視者を対象とした電子通信を用いた鹿児島・広島間の遠隔指導へのプロセスと現状」にて詳細報告) 多分野の支援者の協力体制を作り支援を発展的に継続した。 2.盲ろう者通訳介助員養成講習会(出張講座・鹿屋市)。 「視覚障害者の心理」「活動する前に知っておいて欲しいこと」の単元を心理カウンセラーが担当。 3.心の健康講座「豊かな人生をめざして」の実施。  「ストレスとの付き合い方」および「和菓子とお抹茶の頂き方」の講義を通して、日常生活の中に潤いを見いだし、自分自身で心のケアができるようになることを目指した。 【今後の展望】  多分野の支援者との協力体制をより充実させ、当事者の社会参加を促進する。 活-3.弱視者を対象とした電子通信を用いた鹿児島・広島間の遠隔指導へのプロセスと現状 (鹿児島心の健康講座 実践報告Vol.5-2)  ○田中 桂子1)、良久 万里子2)、氏間 和仁3)、池畑 友美4)、神田橋 條治5)、森越 まや6)  1)先端医療センター病院、2)鹿児島県視聴覚障害者情報センター、3)広島大学大学院教育学研究科、4)広島大学教育学部、5)伊敷病院、6)株式会社ラグーナ出版ラグーナ診療所 【はじめに】 視覚リハ担当者が幼少時より関わっていた弱視生徒に対し、視覚リハ担当者、心理カウンセラー、視覚障害教育専門の大学教員および指導学生、就労継続支援A型事業所(代表者は精神科医)の協働により継続している支援について報告する。 【内容】 本人・家族を含む総合的支援 (平成27年度より継続) 【Xさん 17歳 女性 高校生 先天性角膜混濁、小眼球 視力 右 0.012 左 0】 第1期 平成27年7月~12月 視覚リハ担当者の訪問歩行訓練から始まり、心理カウンセリングや医療機関受診同伴などの支援。 本人および家族と共に今後の方針の作戦会議実施。 第2期 平成28年1月~10月 本人が心身共に安定し始める。 視覚障害教育専門の大学教員および指導学生と連携。 本人の現状をアセスメント後、IT機器を駆使した遠隔授業の実施を決定。 遠隔授業を学校の数学の単位として認めてもらっていることを本人が報告。 出版社(就労継続支援A型事業所の関連企業)での職業体験。 第3期 平成28年11月~ 視覚リハ担当者の職場での職業体験。 学校からの提案で他教科の遠隔授業を試行。 単独歩行での通学方法について検討を始める。 【まとめ】 本事例では、視覚リハ担当者・心理カウンセラーのペアおよび視覚リハ協会の人的ネットワーク、鹿児島での各種資源を駆使し、それぞれの専門性を遺憾なく発揮することができた。それによって、本人がエンパワーされ、心身ともに消耗して使いきれていなかった生来の資質を取り戻しつつある。 他ケースにおいても、このような重層的な支援を組み立て、マネージメントすることによって、視覚に障害を持つ者のQOLをより高めることができるものと考える。(広島大学大学院教育学研究科倫理審査及び本人・両親の承諾済み) 活-4.音声ガイド機能搭載の家電及び拡大読書器に関する動画コンテンツの紹介  ○奈良 里紗、村上 卓也、岩池 優希、竹内 涼、増田 雄亮  視覚障がい者ライフサポート機構“viwa” 【目的】 拡大読書器等の補助具や音声ガイド機能を搭載した家電等、視覚障がい者のQOL向上に役立つ製品がある。これらの製品の存在を知るためには、展示会や取扱い店舗へ赴く必要がある。しかし、全国どこでもこれらの製品を見ることができなかったり、市販されている製品に音声ガイド機能が搭載されていることを販売員が知らないことがあり、情報を必要としている人へ必要な情報が円滑に届く環境整備が十分とはいえない。そこで、当団体では最も容易に情報を入手することができる動画閲覧サイトを用いて、製品の基本操作方法、活用方法を紹介する動画コンテンツを制作している。本報告では、当団体が制作した動画コンテンツの内容について紹介することを目的とする。 福祉機器を紹介するviwa tube viwa tubeでは、拡大読書器等の福祉機器を取り上げている。遠近両用の拡大読書器の紹介では、就労場面を想定した遠用カメラの活用方法や筆記する際の活用方法について、弱視当事者が実際に拡大読書器を使いながら紹介している。 福祉機器以外を紹介するviwa shop viwa shopでは、市販されている製品の中から視覚障がい者においても便利な製品を取り上げている。例えば、音声ガイド機能搭載のテレビやレコーダー、炊飯器等である。テレビや炊飯器等は、技術的な進歩が著しいため、よりよくなった最新の機能をメーカーの担当者に直接紹介してもらうような動画となっている。 まとめ 福祉機器は販売店の数が都道府県により異なり、直接、触れる機会が少ない地域もある。このような地域間格差を是正する一つの方法として動画コンテンツは重要であると考えられる。また、市販されている製品については、「知られざる機能やサービス」があることをコンテンツ制作の中で感じたため、このような情報については当事者だけではなく支援者や家族等多くの方々に知ってもらえる機会を増やしていく必要があるだろう。 活-5.「スマホ・タブレット 最初の1歩をどう後押しするか   ──日本点字図書館IT教室の取り組みから」  ○清水 重人、小暮 淳、長岡 英司、松谷 詩子、三浦 みどり  日本点字図書館 【目的】 当館IT教室におけるiPhoneやiPad等(以下スマホ等)の操作指導が、受講者のスマホ等の購入意欲に及ぼした影響を明らかにする。 【方法】 受講者40人の内34人(平均年齢53歳、拡大機能での画面確認:可能9人・困難25人、VoiceOver利用33人)にアンケートを実施。質問は「結果」に示す通り。 【結果】(質問2~5はスマホ等所有者対象) 1.スマホ等所有者:24人(受講後購入済み6人を含む)非所有者:10人(購入予定者4人)購入しない理由:操作やサポートが不安、高額、今の携帯電話で不便しない。 2.役立っている講習内容:VoiceOver基本操作12人、文字入力3人、アプリ使い方6人、Siri 2人など 3.役立っているアプリ:カメラ識別アプリ、活字スキャンアプリ、ラジオ・ニュース等情報入手アプリ、スケジュール管理アプリなど 4.今後学びたい事 Facebook等コミュニケーションツール、金融・買い物アプリ、読書支援アプリなど 5.サポート依頼先の有無: 有り 11人 無 13人 【考察】 結果2、3より身につけたジェスチャーやSiri等の基本操作を元に体験した便利なアプリや機能を実際に使うことでスマホ等を生活に役立てていることがわかる。結果4から、基本操作よりもFacebookや買い物アプリ等の利用など実践的な講習を希望する人の割合が多かった。結果1より講習がスマホ等購入の後押しをしている一方、非所有者の多くが操作やサポートの不安により購入していない。また結果5からもサポート環境の充実が購入促進に必要だと考えられる。 【結論】  安心して最初の一歩を踏み出せるよう後押しするためには基本操作だけでなく、ニーズに合ったサポート情報と自ら解決する方法を丁寧に説明することで、安心して自分のやりたいことに使える環境を外部資源と協力して整えていく必要がある。「ガイドに頼らず一人旅をするのに使えるようになりたい」という受講生の希望もあった。希望を少しでも後押しできるよう取り組みたい。 活-6.東京視覚障害者生活支援センターにおける就労移行支援事業の実践報告  ○石川 充英、山崎 智章、小原 美沙子、宮之原 滋、稲垣 吉彦、河原 佐和子 長岡 雄一  東京都視覚障害者生活支援センター 【はじめに】 東京都視覚障害者生活支援センターは、平成29年4月から東京視覚障害者生活支援センター(以下、センター)と改称し、社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会が運営する民間の多機能事業所(機能訓練・就労移行支援事業)となった。そこで、より質の高いサービス向上に向けた取り組みを行うため、就労移行支援事業(以下、就労移行)の実績を報告する。 【方法】 対象者はセンターの就労移行を利用した視覚障害者で、調査時期を2つ分け前期は平成22年4月から平成24年3月まで、後期は平成25年4月から平成28年12月までとした。また、調査項目は利用状況、就労状況、定着状況等である。 【結果と考察】 利用状況は、定員15名に対し前期の月平均登録者数(以下、登録者数)は13.3名、一日平均利用者数(以下、利用者数)5.1名、後期の登録者数は33.1名、利用者数は10.1名、このうち平成27年4月から28年12月までの利用者数は11.2人であった。就労状況は59名が就職した。内訳は前期13名、後期46名、職種はマッサージ業務28名、事務的職種等31名であった。定着状況は、1年未満の離職者4名、1年以上2年未満6名、定着率は83.1%であった。利用状況について開設当初は存在感と実績が乏しかったため登録者数、利用者数とも低かったが、近年ではいずれも向上している。しかし、利用者数は定員に達していないため、積極的な情報発信・広報活動が必要である。就労状況でマッサージ業務の比率が高いのは、施術技術維持向上のための臨床を実施しているため、マッサージ業務の就労希望者の利用が多いことが要因であると考える。 【まとめ】 今後は、視覚障害者の個別の強みを生かした就労支援を継続して取り組むとともに、さらにセンターの特色を活かした就労支援を実施し、他の事業所と連携をとりながら、より一層視覚障害者の就労に貢献したいと考える。 活-7.盲ろう者の理療就労に関する実態調査ー盲ろう者10名の面接結果からー  ○高橋 忠庸、浮田 正貴、伊藤 和之  国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局理療教育・就労支援部理療教育課 【目的】 盲ろう者は、移動、コミュニケーション、情報の入手などに大きな困難を抱えており、就労するには極めて難しいことが指摘されている。前報において、盲ろう者1名、支援者1名の面接結果では、就労の条件として、パソコンなどコミュニケーション手段が確立していること、通勤など移動における手段を持っていることが挙げられ、施術面では、患者とのコミュニケーションにおいて非言語的な合図を決めること、突発的な問題に対応するための支援者が近くにいることが見出された。本報では、理療で就労している盲ろう者10名の面接調査から理療就労の実態を明らかにし、今後の支援の在り方を検討したので、その内容を報告する。 【方法】 対象者は、機縁法による全国の30代から60代の理療就労している盲ろう者10名とした。調査内容は、就労時の困難や希望したい支援などのインタビューガイドに沿って対面による半構造化面接を行い、逐語録を作成し、その内容を質的に分類したうえで分析を行った。 【結果】 性別は、男性5名女性5名、平均年齢は50.2歳であった。10名全員が携帯やパソコンなど何らかのICT機器を活用していた。職種は、治療院、訪問マッサージ、開業の順に多かった。就労先では、同僚や患者との問診時で意志疎通に困難が生じやすいが、施術中においては、大きなトラブルはみられなかった。また、通勤では、単独は3名だけであり介助者に依頼するケースが多かった。 【考察】 理療就労において、通勤時の安全な移動の確保や職場における業務に必要な同僚との情報交換、患者との問診場面など、要所で人的支援を望む声が多かった。一方、施術場面では、人的支援を望む声が少ないことから患者と良好な関係が築けることが推察された。 【結論】 理療就労は、施術中は患者との良好な関係が築けることから、主に通勤時や患者との問診時などに人的支援体制を構築することが就労する要件と考えられた。 活-8.理療教育を学ぶ盲ろう者が実技を習得するための支援─第3報─  ○浮田 正貴、高橋 忠庸、伊藤 和之  国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局理療教育・就労支援部理療  教育課 【目的】 盲ろう者に対する効果的な理療の学習支援方法の構築を目指し、教育を実践している。本報では、あん摩マッサージ指圧の臨床実習において、就労を目前に控えた盲ろう者に対し支援を行った結果、就労した際の一事例と課題が見出されたのでその内容を報告する。 【方法】  対象者:A氏、50代、女性。  支援期間:1年 支援の実際:臨床実習では、A氏に患者情報や実習の流れの説明、医療面接、身体診察、施術を行う中で、これまで支援した結果、効果的であった非言語的手段を取り入れ、臨床実習終了後、課題などを毎回整理した。また、A氏および患者から、実習についての意見を聴取し課題解決のために内容をまとめた。 【結果】 臨床実習は全37回実施し、外来患者27名に対し施術を行った。A氏の臨床実習開始前の聴取では、「患者とのコミュニケーションに一番不安がある」とあった。そのため、医療面接で補聴器で聴き取れない場面においては、手書き文字を活用したこと、身体診察においては、A氏の手を取り身体部位を確認することなど非言語的手段により、少し理解することが可能となった。さらに、施術中は、患者との間で力の強弱を手で叩くなどの合図を決めることで、力度を調節することができるようになり、患者からは「気持ちよかった」などの高い評価が得られた。しかし、施術以外の場面ではA氏の体調や周囲の環境が一定でないため、毎回安定した状況には至らなかった。 【考察】 これまでの実践から、A氏の施術力は就労に値するまでに安定した。一方、医療面接や身体診察では、非言語的手段を多く取り入れることで理解が深まるものの、安定した状況を目指すには、患者の協力や周囲の環境も重要であると感じた。今回の臨床実習では患者とのコミュニケーションは教官のサポートで実現したが、より安定した就労を目指すには、要所で何らかの人的サポート体制が重要不可欠ではないかと考える。 活-9.愛媛県スマートサイト「みきゃん愛ネット」の作成  ○中川 幸士1)、宇田 高広2)、和田 浩一3)、岡部 志穂4)、神野 恵吉5)、山田 敬宏6)  1)愛媛県視聴覚福祉センター、2)市立宇和島病院、3)愛媛県立松山盲学校、4)愛媛県立中央病院、5)愛媛大学医学部附属病院、6)有限会社リプル・エフェクト 【目的】 医療、教育、福祉機関の連携と見え方に不安のある方に対し適切な機関のスムースな紹介を図ることを目的とした、愛媛県版のスマートサイトである「みきゃん愛ネット」が平成29年度より運用が開始されたので報告する。 【方法】 医療機関の協力が不可欠なことから、スマートサイトの紹介・説明を愛媛県眼科医会にて行い、眼科医師会が発行するリーフレット作成の承認を得た。医療・教育・福祉機関に携わる様々な職種で構成された、「愛媛県視覚障がいを考える会」のスタッフを中心に、平成28年1月より6回に渡ってリーフレット制作のための協議を重ねた。協議は、紹介施設の選定、リーフレット対象者や掲載内容の検討、活用方法、デザイン等について行った。 【結果】 デザインは、愛媛県のイメージアップキャラクター「みきゃん」を用いて親しみやすさを図り、紹介施設は、ロービジョンケアを行っている眼科医療機関、盲学校、福祉・訓練施設の計7ヶ所とし、リーフレットは眼科医から直接患者に手渡す形式で、対象は矯正視力が両眼とも0.5以下の患者とした。平成29年3月、愛媛県眼科医会にて「みきゃん愛ネット」運用開始の承認を得た。 【考察】 障がい者の計画的早期自立を目指し、毎年、行政、医療機関等にセンターリーフレットを送付しているが、一部の機関からの紹介にとどまっているのが現状であった。医師会主導のスマートサイトの完成により、愛媛県内でもロービジョンケアへの関心が高まることで、医療側から対象患者への働きがけが期待でき、対象者と関係機関が早期に繋がると考える。今後は、愛媛県視覚障がいを考える会において、定期的に運用状況の確認を行い、利用者の声を反映させながらより洗練されたスマートサイトにして行くことが必要であろう。 活-10.「徳島ロービジョンネットワーク」活動報告と設立までの経緯報告  ○阪井 紀夫1)、四宮 加容2)、村尾 史子3)、西野 真紀4)、森下 恵美子5)、直江 幸美5)、長尾 公美子6)、湯浅 愛子1)  1)徳島県立障がい者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター  2)徳島大学大学院医歯薬研究部眼科学分野、3)徳島県立中央病院眼科  4)阿南共栄病院、5)徳島大学診療支援部  6)徳島県立徳島視覚支援学校 【はじめに】  徳島県におけるロービジョンケアの向上を目指し、医療・福祉・教育の関係者が連携協力して、共に学ぶことを目的とする情報交換や研鑽することを目的として、「徳島ロービジョンネットワーク」(以後本会とする)が設立された。 本報告では、本会が設立に至るまでの経緯と活動の報告を行うことで他の都道府県での今後の活動の参考や同じような活動をすでに行っている団体との情報共有が図られることを目的とする。 【経緯】 1.メーリングリスト「徳島ロービジョンケアネットワーク」を立ち上げる。 2.名称を「徳島ロービジョンネットワーク」に変更し、定期的な勉強会を開始。 3.2016年11月1日に会則施行により本会設立。 【活動内容】 1.会員相互の知識・技術の向上を目的とした年4回の定例会の開催。 2.ロービジョンケアに対する理解を一般に広めるための講習会等の開催。 3.リーフレット配布形式の徳島県版スマートサイト「とくしまビジョンねっと」の発行。 【まとめ】  徳島ロービジョンネットワークはメーリングリストという小さな取り組みから出発したが必要性に応じて少しずつ発展していき、昨年度ようやく会則をもった任意団体として設立するに至った。現在は助成金の申請も検討し、県外の講師を招いたロービジョン等に関わる講演会の開催も予定している。  課題としては徳島県版スマートサイト(リーフレット)の今後の効果的な運用についてや関心の薄い眼科医等への啓発方法などまだまだ多く、医療・福祉・教育等各分野の組織間の連携においては十分といえるものではないと考えている。今後は本会を通してさらに積極的に各分野における組織同士の連携に寄与していくことにより、一人でも多くの見えない・見えにくいことで困っている方が必要な支援を受けることができる環境を整えていきたいと考える。 活-11.ロービジョンリハビリテーション外来開設における聞き取り調査報告  ○松田 安世1)、渋谷 文枝2)、田中 雅之2)、吉田 宗徳1) 1)名古屋市立大学病院、2)名古屋市総合リハビリテーションセンター 【目的】 ロービジョンケアでは、時に歩行訓練や日常生活訓練などの視覚リハビリテーション(以下、視覚リハ)も大きな比重を占める。しかし、一般に眼科から視覚リハへのアクセスは良好とは言い難い。 当院ロービジョン外来では月に1回、名古屋市総合リハビリテーションセンター(以下、リハセン)の歩行訓練士が来院し、ロービジョンリハ外来(以下、リハ外来)を行っている。リハ外来は視覚リハを身近なところで患者に紹介し、場合によっては継続的なリハに繋げることを目的としている。 今回、開設後1年半におけるリハ外来の実態と患者満足度を調査するため、聞き取り調査を行ったので報告する。 【方法】 2015年11月~2017年2月にリハ外来を受診した患者12名中7名を対象とし、外来受診後の生活変化の確認期間として、1か月以上経過ののち口頭により聞き取り調査を行った。年齢は38歳から90歳であった。リハ外来について、満足度の段階的調査と良かった点を調査した。 【結果】 1.歩行訓練士に相談ができてよかったかとの質問には「とてもよかった」3名、「よかった」4名で全員がよかったと評価。 2.相談を眼科で受ける事ができた点は「とてもよかった」4名、「よかった」3名と評価。 3.直接リハセンを受診しなければならないとしたらどうするかについては「多分行かなかったと思う」2名、「行かなかった」3名であった。理由として、見えないし1人で行けない、不安である、きっかけがないを挙げた。「行ったと思う」「多分行ったと思う」が各1名で、理由は勉強になるなら行ったとした。またリハ外来受診後、12名中3名が継続的な視覚リハを行うために、リハセンに通所することになった。 【考察】 当院リハ外来に関しては、多くの患者から高い満足度が得られた。眼科という身近な場所が、視覚リハの導入口として機能し、福祉機関に繋ぐことでスムーズに連携できたと考え、リハ外来は有用であったと考えられる。 活-12.ロービジョン外来実施施設での日本盲導犬協会の役割  ○笹山 夕美絵1)、菅原 美保1)、村井 孝典1)、山口 史明1)、小泉 大介2)  1)日本盲導犬協会、2)株式会社 トラストメディカル 【はじめに】 当協会では、ロービジョン(以下LV)外来実施4施設を定期的に訪問し、必要に応じて視覚障がいリハビリテーション(以下視覚リハ)を行っている。ある施設では2011年6月~2016年11月で81回訪問。内当協会での対応回数は55回(実人数44名)であった。これらの事例から、当協会の役割と今後の展望について報告する。 【事例1】 50代男性。糖尿病性網膜症、緑内障。2012年にLV外来で初めて会う。羞明や新聞が読めないなどを相談。今後の不安の訴えより、視覚障がい短期リハビリテーション(以下短期リハ)へ誘致。同年参加され、在宅訓練を経て2013年盲導犬ユーザーへとつながった。 【事例2】 50代女性。糖尿病性網膜症。2013年にLV外来で初めて会う。東日本大震災から仮設住宅で、見えないから怖くて出られないとのことで、視覚リハの紹介、歩行について説明。白杖を申請購入されたが、訓練は必要ないとのことで一度連絡は途絶える。2016年同LV外来にて再会。仮設住宅から復興住宅に引っ越しし、新しい環境で動けないとのことで、当協会の短期リハへ誘致、同年参加。現在在宅での訓練へ移行中。 【考察】 事例1、2を通し、LV外来に当協会が同席することで当事者に視覚リハの情報が受け入れやすかったと思われる。それは、医師が外来で患者の話を聞き、不安を解消させた流れでのつなぎということが大きな要因だと考える。また、同席することで当事者に早いタイミングで視覚リハにつながることが可能となると考えられる。 【今後について】 当事者が早い段階で視覚リハにつながるためにも、LV外来訪問数の増加、訪問施設の増加が必要である。スマートサイトの利用も積極的に行っていく。また事例2より、被災地域での視覚リハの充実を目的に地域病院での講習会の実施など、周知活動は必要と考えられる。最後に支援が必要な当事者の発掘をするためにも、LV外来との連携を継続していくことが重要であると考える。 活-13.自立訓練施設のない地域の眼科で社会福祉士が実践した視覚障害リハビリテーション  ○三浦 久美、木下 雄貴、出田 隆一、三浦 久美  出田眼科病院 【はじめに】 視覚障害者の自立訓練施設がない地域の当事者は視覚障害リハビリテーション(以下視覚リハ)に結びつきにくく、見えにくさの為に活動性の低い生活を余儀なくされている場合が多い。眼科は視覚リハへの身近な入口であり、そこで対象者を発見し医療から福祉へ繋げられればこのような不利益は生じないと考えられる。演者はこの度訓練施設がない地域の眼科(以下当院)で職を得た事から、眼科における福祉的な視覚リハの実施状況について報告する。 【経緯】 当院は在籍する視能訓練士のうち4名が中心となり医師の指示の下、視覚補助具の選定を主とする視覚リハに取り組んでいたが、福祉的支援の充実の為、平成28年度から社会福祉士かつ歩行訓練士であり訓練施設での勤務経験がある演者を常勤で雇用した。 【活動報告】 (1)60代男性(視神経炎) 県内の山間部で妻と二人暮らし。発症後は気持ちが沈み家族以外との接点は殆どなかったが、来院時の歩行訓練や夫妻それぞれの話を傾聴する事でストレスが軽減し日常生活を前向きに捉えられるようになった。他機関の訪問型歩行訓練士と連携し自宅周辺での訓練実施に繋げたり、DAISY再生機器等の日常生活用具を紹介した事で生活の幅が 広がった。 (2)80代女性(緑内障) 県外の単身者。急激に視力低下し日常生活に支障が出ていた。姪とフェリー等を乗り継ぎ来院しており、長距離の移動で身体的負担が大きかったが本人は当院の受診を強く希望した為、姪が対応に苦慮。姪と複数回面接をして課題の整理や情報提供をした事で姪自身が啓発され、本人も納得した上で地元での受診や福祉サービスの利用に繋がった。 【結果】 社会福祉士が眼科に常駐する事で福祉的な視点から視覚リハを実施でき、患者や家族のQOL向上の一助となった。また、従来医師や看護師が行っていた福祉事業者との連携を社会福祉士が専門的に行う事で成果も上がりやすく、更には院内の業務効率改善にも有効であった。 活-14.情報提供施設における相談・訓練事業の取り組み   ~堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センターの場合~  ○畑野 容子、原田 敦史、安山 周平  堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター 【目的】  視覚・聴覚障害者センターは視覚障害者情報提供施設ではあるが、5年前から相談・訓練事業を開始した。今回、当センターで実施してきた相談・訓練の件数や内容等を報告し、今後の情報提供施設が担う役割について考えたい。 【経過】  昭和42年に堺盲人協会と堺市福祉事務所により市が独自に点字図書室を開設。昭和47年に堺市立点字図書館として開館し、以後40年間、堺市が直接運営を行ってきた。それが平成24年の堺市立健康福祉プラザ開設と同時に「堺市立点字図書館」から、指定管理者制度により「視覚・聴覚障害者センター」となった。図書館事業に加えて、相談・訓練事業を主要な事業と位置づけ、社会福祉士、歩行訓練士を配置した。さらに平成26年度からは来館だけでなく訪問での相談・訓練事業も開始した。 【事業結果と効果】  平成24年度~平成28年度の数値 ・相談・訓練件数:372件→601件→1173件→1484件→1355件 ・図書館利用登録者数:268名→291名→318名→368名→411名  訪問訓練を開始した平成26年度から対応件数が大きく伸びている。また、その翌年からは図書館の利用登録者数の増加人数が27名から50名と約2倍になっており、相談・訓練事業が要因の一つと考えられる。 【考察】  視覚障害者の高齢化により、遠方にある施設への通所・入所訓練を利用できないケースの増加が予想される。そのため、居住地域にある情報提供施設は、視覚障害者の基本的な相談・訓練に対応するのに適しており、より身近なところでニーズに応えられる施設になると考える。 活-15.見えない・見えにくい人の暮らしの中のあれこれを、見える人はどう見ているのか ~メルマガ「色鉛筆」へ 見える私からのメッセージ~  ○石川 佳子、小寺洋一  京都府視覚障害者協会 メルマガ色鉛筆編集チーム 【目的】  京都府視覚障害者協会では、見えない・見えにくい状況にありながら、人や情報とつながりがない「まだ見ぬ仲間」へ、「あなたは一人ぼっちじゃない」と声をかけるために、メールマガジン「色鉛筆」を創刊した。七転八倒の今を生きるライターが語るレポートは、見えない・見えにくいならではのリアルな日常であり、当事者の読者へQOL向上のヒントを提供し、地域や立場を越えて視覚障害の理解につながる啓発を担うものである。  平成25年11月創刊、月2回程度配信、29年2月現在20~70代のライター50名により102のレポートを届けた。当事者からは共感、晴眼者からは心のバリアフリーにつながる読者コメントが全国から寄せられた。読者による口コミは、人と情報をつなぐかけはしとなり、29年2月現在の読者登録数は1,222件、メーリングリスト転載協力6グループ450件、合計1,672件となった。また、外出時や福祉授業などでマイクロ色鉛筆カードを活用することで、「読者以外にも情報を届ける」啓発としての役割も担っている。これまでにも読者と共有するというテーマでのシリーズ配信を複数実施した。  今回は見える人は「色鉛筆」から何を感じているのか、晴眼者のあるがままの声を受け取ることを目的にレポートへの感想文をまとめることにした。 【方法】  「『色鉛筆』と私」というテーマで、「色鉛筆」のレポートにあるがままの感想コメントを書いてもらう。対象者は全て晴眼者、行政、教育、医療、福祉、メディア、研究者、ボランティア、家族、子ども、他の障害を持つ人などを対象とする。 【結果と考察】  感想文をレポートとして配信し読者と共有する。当事者どうしの分かち合いだけでなく、「見えない・見えにくい人の暮らしの中のあれこれを、見える人はどう見ているのか」を知ることで、読者と編集部と晴眼者にて「共有することから始まる共生への一歩へ」というテーマについて考えることができる。 活-16.本協議会における「日常生活訓練事業」の変遷について  ○坂部 司、高柳 泰世、山本 潔、古澤 葉子、桑野 真木子、天野 満紀恵、渡辺 和子、小谷 充子  愛知視覚障害者援護促進協議会  愛知県には視覚障害者(特に中途視覚障害者)の生活訓練の場や支援者を育成する体制が構築されていなかった。  本協議会は昭和56(1981)年6月に眼科医が発起人となり中途視覚障害者の家庭復帰・社会復帰を目的に発足し、同時に日常生活訓練室と集いの場として名古屋市昭和区に「マリアルーム」を開設した。  「マリアルーム」の昭和56(1981)年の視覚障害者(以下、利用者)延べ393人、実人数24人、ボランティア延べ367人、実人数10人であった。平成元(1989)年は利用者延べ872人、実人数59人、ボランティア延べ525人、実人数24人と増え続けた。  平成2(1990)年には地域の方のご支援で「TDL本郷」(Techniques of daily livingの略)を開設し、「マリアルーム」は基礎的活動の場所、「TDL本郷」を応用的活動の場所とした。利用者延べ1,440人、実人数77人、ボランティア延べ1,369人、実人数16人であった。  平成12(2000)年には利用者数がピークを迎え延べ1,848人、実人数166人、ボランティア延べ1,050人、実人数15人であった。平成21(2009)年9月に「TDL本郷」が閉所、翌年3月に「マリアルーム」が閉所となり、一時期中部盲導犬協会内の「日常生活訓練室」を借用した。  平成24(2012)年4月に現在の「TDLミズホ」に移転した。平成27(2015)年度は利用者延べ333人、実人数19人、ボランティア延べは175人、実人数10人であった。  障害者自立支援法などの法改正によりデイサービス、就労継続支援施設などが増加して、利用者の数は減少してきた。各地域で視覚障害者が自主的に活動できる場が増えてきたことは、大変良いことだと考えている。ただ、それら施設が視覚障害者の自立や支援方法を、適切に行っているかは定かではない。  今後は、視覚障害者のニーズにあった場の提供と支援者への情報提供をしていきたい。 活-17.「笙(しょう)の会」(旧視覚障害日常生活訓練研究会)活動報告  ○内記 郁  笙の会 【はじめに】 視覚障害日常生活訓練の内容は多岐にわたるが、指導方法については支援者の生活経験や技量に任されている状況にあった。そこで、首都圏の視覚障害者自立支援施設等における日常生活訓練支援者有志が情報交換・スキルアップを目的とした勉強会(笙の会)を立ち上げて活動を行ってきた。本報告では「笙の会」の活動内容を紹介し、訓練に携わる支援者の情報共有を広げる契機としたい。 【活動内容】 1. 指導技術、用具等の検証のための実習(調理他、年2回)。調理実習では、視覚障害者にとって難易度の高い作業等を解決すると思われる電子レンジや炊飯器の活用、便利グッズや話題の調味料を使ったレシピ、科学的調理などに代表される従来の常識とは異なる調理法などを検証した。結果、熱したフライパンなどに食材を入れる時の課題が科学的調理のコールドスタートにより解決された。用具では、レンジでパスタをゆでる容器は安全と思われたが、ゆで湯の処理に視覚的確認が欠かせないなど、一般に便利グッズといわれるもの中には視覚障害者にとって扱いにくいものも見られた。 2. 支援者間の情報交換を目的とした調査(年1回)。2012年に、実施した「視覚障害日常生活訓練の実態調査」で情報交換を希望された13施設の支援者に対して項目別状況調査を4回実施し、結果を共有した。内容は、日常生活等に関する情報収集法、用具・機器の指導、メイク指導、調理指導である。他施設機関の支援者の声や情報に接することで自身の指導法を振り返る機会になったとの意見があった。 【まとめ】 「笙の会」の活動は、支援者にとって情報収集の場として有効であり、活動を通して訓練の基本や支援姿勢などを再確認できる場となっている。今後も日常生活訓練のノウハウを蓄積していくとともに、情報発信の方法についても検討して行きたい。 活-18.第25回静岡大会の大会企画に関するアンケート結果からの考察  ○堀江 智子  静岡大会実行委員会・静岡視覚障害者福祉推進協議会 【目的】 第25回視覚障害障害リハビリテーション研究発表大会in静岡では、9項目の企画を検討し静岡発信した。大会終了後の参加者アンケート結果をもとに各企画の実績と反省点をまとめ、今後各地で行われる大会運営の参考資料とすることを目的とする。 【方法】 実施期間:大会終了2日後から10日間アンケート方法:ネットアンケートQuestant、メール 【結果】  アンケート数:アクセス数243名中86名の回答。演題発表全体に関係する企画『ポスター発表を「活動報告」と「研究発表」の2種に分ける企画』は、危惧された研究発表数の減少は実際には生じず、新たに萌芽的な活動を広く紹介できる機能を追加できたことがわかった。しかし展示方法やナンバリングには更に工夫が必要であった。  会場に特設した静岡企画4ブース『地元大学生による自助具開発』『iPadアプリ紹介』『抄録集用iPad操作説明』『ロービジョン生活の工夫データベース紹介』は、それぞれ訪問者からは好評価を得たが宣伝不足が致命的な反省点であった。  『ロービジョンシミュレーションをしながら機器展示に参加』する企画は、専門職にも当事者家族にも好評であったが担当者教育に反省点があった。  『事前に宿泊施設等に配慮方法の説明をした(おもてなし講習会)』は、しなかった宿泊施設との満足度の差が歴然で明らかな効果を認めた。  『ロービジョンへの配慮を促すサイン(ボイスサインカード)』は、利用者から自然な配慮が得られたなど白杖以外の非言語サインの役割を果たせたと解釈でき、静岡視覚障害者福祉推進協議会のHPに、ダウンロードページ開設に繋がった。  『デジタル抄録集』は45%の参加者の利用が確認できた。事前に提供する効果、視認性向上の効果が好評価につながったが、アプリ専用形式への加工など準備にかかる作業は少なくなかった。 【考察】 全体的に静岡企画の存在を知らず、ブースを見なかったとの回答が多く、事前の告知方法の工夫が必要だった。 活-19.視覚障がい女性の化粧やファッションに対する工夫に関する情報発信の取組  ○山本 紗未  視覚障がい者ライフサポート機構“viwa” 【目的】  本報告では、化粧やファッションに対して視覚障がい女性がどのような事に困り、それを改善するためにどのように工夫をしているのか、そのほか具体的な工夫について報告することを目的とする。 【方法】  2015年に実施した視覚障がい女性3名へのヒアリング内容の中から、化粧やファッションを楽しむ上での工夫について取り上げた。 【結果】  まずベースメイクでは、ファンデーションがムラになりにくい化粧品を選ぶと回答していた。次に、ポイントメイクに対する工夫として、マスカラではダマになってしまったまつ毛に歯間ブラシを使用し整える、マスカラブラシを容器に収納するときの工夫等があげられていた。  また、視覚障がい女性が最も難しいと感じている眉毛のお手入れでは、毛並の長さを均等に調節できるシェーバーの利用や、美容室で2週間に1度眉カットをしてもらうなど、それぞれの工夫が紹介された。  ファッションについては、探したいものを触覚的に探しやすくするためのバッグ選びや中身が落ちないような形状のものを選ぶ、お気に入りのショップのホームページから商品情報を得たり、アプリを活用したりとさまざまな方法で楽しんでいることが明らかとなった。 【考察】 化粧やファッションに対して、それぞれが自分に合った工夫を模索していることが明らかとなった。今後はより多くの視覚障がい女性へのヒアリングを行い、具体的な工夫の仕方について情報共有の取組を実施していく予定である。 活-20.日本盲導犬協会神奈川訓練センターにおける新規盲導犬希望者開発の取り組み  ○根本 学  日本盲導犬協会 2000年の「盲導犬に関する調査」(日本財団)では、「盲導犬を今すぐ希望する」と答える可能性がある人は約4700人と推計されている中で、日本の盲導犬数は2010年以降減少傾向にある。潜在的には盲導犬希望者はいるが盲導犬取得には至らないのが現状である。 盲導犬取得を決意するには、盲導犬に興味があっても、必要性を感じているだけではなく、環境面、飼育面、経済面等の課題を解決し、生き物を飼育するという覚悟が出来ないとなかなかその決意には至らない。盲導犬取得に向けた課題は、人によって生活している環境が異なるため、様々である。 ・共同訓練期間中に会社の休みが取れるか? ・住宅や会社の受け入れは大丈夫か? ・自分に犬の世話が出来るのか? 課題を解決してから共同訓練に入るため、盲導犬取得のタイミングも人によって異なる。そのタイミングは本人にとって良い結果をもたらすためには見誤ってはいけない。 日本盲導犬協会では盲導犬希望者を4つのステータスに分け、状況に応じた対応を段階的に行っている。初期には、歩行や飼育の体験、盲導犬に関する情報提供を行い、自身の人生における盲導犬の有効性を感じてもらう。次の段階では、個々の課題に応じて対応する。職場や住宅での受け入れ理解を求めていく等、盲導犬取得にステップアップしていく。中には、すぐに課題が解決出来ず、ステップアップ出来ない人もいる。その時は、数回にわたり体験歩行や面談を行う等、きめ細やかな対応を行っている。 これらの取り組みにより、日本盲導犬協会では2013年以降40頭以上の安定供給を続けている。神奈川訓練センターでは2017年度~2019年度で約70名の共同訓練計画に対し、すでに55名ほどの予定者が決まっているため、待機期間は約2年となっている。今後は、これまでのように盲導犬の申請を待つのではなく、本人に寄り添い、気持ちを育て、ステップアップしながら盲導犬との社会参加に繋がるよう継続的にサポートしていく。 活-21.鶴見大学「情報バリアフリー推進会」における視覚障害関連の情報保障活動について  ○元木 章博、星野 ゆう子、平山 真衣、樋口 茉里、岡村 江里奈、坂東 菜月、渡辺 あすか、安野 沙央里、阿部 ひかる、太田 茉奈  鶴見大学情報バリアフリー推進会 情報バリアフリー推進会は、障害の有無に関わらず、誰もが情報にアクセスできるような環境を作り、鶴見大学内外の情報バリアフリー化を進めることを目的とする組織として発足した。今回は、これまで情報バリアフリー推進会が取り組んできた活動のうち、視覚障害関連の情報保障活動について報告する。 (1) 弱視者向け書架表示の作成・変更。2016年6月から同年9月にかけて、鶴見大学図書館の書架(本棚)の表示を白黒反転にする作業を実施した。鶴見大学図書館では、本棚の側面に分類記号と大まかな分類の内容が書かれたものが掲示されている。情報バリアフリー推進会は、この掲示を黒背景に白文字、いわゆる白黒反転とする作業を実施した。今後、図書は移動する可能性があるため、それに合わせた継続的な管理を行う予定である。 (2) 点字付き白黒反転名刺作成ワークショップの開催。2016年10月22,23日に行われた第52回紫雲祭において、点字付き白黒反転名刺作成ワークショップを開催した。本ワークショップでは、白黒反転した名刺に、自分の名前を打点した点字シールを貼り付け、点字付き白黒反転名刺の作成を行った。小学生を含む方々が本ワークショップに参加した。情報バリアフリー推進会のメンバーが、参加者への説明やサポートを行い、参加者全員が名刺を作成することができた。 (3) ことばの道案内作成。認定NPO法人ことばの道案内と共に、現在、鶴見駅から鶴見大学までのことばの道案内を作成している。2017年2月20日現在、完成には至っていないが、第26回視覚障害リハビリテーション研究発表大会の際には、公開するべく鋭意活動中である。 今回は、情報バリアフリー推進会が視覚障害関連の情報保障活動について実施したことを3点報告した。これからも、情報バリアフリー推進会は情報のバリアフリー化に向けて活動を続けていく。 活-22.視覚障害学生を初めて受け入れる大学の合理的配慮に関する事例報告  ○細川 陽一  愛知県立名古屋盲学校 【目的】 平成28年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行された。これにより、国公立の大学等では障害者への差別的取扱いの禁止と合理的配慮の不提供の禁止が法的義務となった。初めて視覚障害学生を受け入れる大学の事例を通し、合意形成と支援についての実践をまとめ、障害学生を受け入れる際の問題点とその解決方法の一部を明らかにする。 【事例】 対象者は視覚障害1級の全盲40代男性、正規雇用社会人。通勤・外出のための単独白杖歩行、音声によるパソコンの操作は可能。大学院社会人コースに平成28年4月入学。対象大学は国公立工業系大学。車椅子使用学生の受け入れ実績はあるが、その他の障害種の受け入れ実績はない。点字ブロックは校内に30m程度敷設。 【経過】 従来から大学に設置されている学生支援部門が対象者の窓口となり、対象者からの相談、内部調整を実施した。数度の話し合いを経て、合意形成ができ、合理的配慮通知書が5月末に学長名で通知された。合意形成において、教室の点字表示、点字ブロックの敷設など、施設改修についての支援案は早期に合意形成できた。点字表記は早期に行われたが、点字ブロックの敷設は予算執行の課題があり、実際に行われたのは7月末であった。またエレベータの音声化は大学にとって財政的過度な負担となるため、配慮項目から外した。一方、講義内での代読・代筆、資料の作成補助など、人的支援についての実施は可能であるが、大学も対象者もどの場面でどの程度支援が必要かという情報がなく、具体的時間数などを決めることができず、随時対象者が申し出て支援を実施することとなった。 【考察】 大学は入学前に支援体制を構築し、早期の合意形成と具体的な支援を行い、定期的な相談、その評価を継続することが必要だと考える。情報提供を通じて教員や周囲の学生の意識形成を行うことが重要である。 活-23.視覚障害学生の受け入れの前例がなかったA大学における学生支援事例と今後の課題  ○久保田 絢女1)、藤田 さより2)  1)武蔵野市地域療育相談室ハビット  2)聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部作業療法学科 【はじめに】 A大学では視覚障害学生の受け入れの前例はなかったが、先天性視覚障害を有する筆頭筆者に対して、教員や同級生から多岐に渡るサポートが行われた。一概に視覚障害と言っても、ハンデとなることや必要なサポートはわかりにくく、社会的にも参考情報が少ない中、手探りでのサポートであった。教員や同級生と相互にやりとりする中で、理解や適切なサポートを得ることに結びついたと考える。 【目的】 A大学の視覚障害学生支援事例から、視覚障害者の支援に際して課題となることを明らかにし、今後の学生支援の一助となる。 【方法】 当該学生が在学中に関わりがあった教員・同級生であり、目的・方法に同意の得られた者を対象とし、「当該の視覚障害学生への支援」に関する半構成的インタビューを実施した。インタビュー内容は、「当該学生の視覚障害に関しての印象」「支援を行ったこと」「支援に際して課題となったこと」「支援を通じて感じたこと」等を尋ねた。 【結果・考察】 今回、3人の教員、10人の同級生に協力を得た。得られた結果より、視覚障害学生への支援に際して、状態像のわかりにくさが課題となったが、相互のやりとりにより適切な支援に結びついたことが明らかになった。A大学の授業スタイルの小グループ学習は、学生の相互交流を促進し、自然なサポートにも結びつきやすかったと考える。また、授業スタイルにより、ハンデとなることが変化した。また、当初は当該学生に対して取り組んだ対応が、他学生にとっても学びやすい環境となり他学生へのメリットともなった。今後、障害学生への支援を行う上で、学校として求められることを明示すること、当該学生は自己の状態像を理解し具体的に援助を求め、相互にやりとりしていくことが適切な支援につながると考える。そのためには、本人が自己の状態像を理解するための機会として、医療・福祉や教育現場などにおける援助の機会も必要であると考える。 活-24.身体障害者手帳を持たない方に対する歩行訓練の実践報告  ○髙橋 芳枝  東京ヘレン・ケラー協会点字図書館 【はじめに】 東京ヘレン・ケラー協会点字図書館では、平成24年度より利用者サービスの一環として相談・訓練事業を行っている。独自事業であり限られた訓練提供であるが、利用に際して身体障害者手帳を必須としないため、諸々の事情から手帳が無い方の利用が少なくない。平成24~28年度の受付人数は74名、うち手帳の無い方は18名(24%)。見えにくさから生活上の不安・困難があっても、多くの場合、手帳を取得していなければ障害者支援施設等の利用が難しい。しかし、手帳を取得していない・取得対象でない方の中にも支援ニーズがあるのは事実である。「手帳は無いが白杖歩行訓練を受けられないか」との要望から、当点字図書館で対応した事例について報告する。 【事例】 1)男性 40代 網膜色素変性 統合失調症(精神障害者保健福祉手帳2級)身障手帳のメリットが分からず取得を迷っていた。後に手帳を申請、取得(2級)。 2)男性 20代 網膜色素変性 知的障害(療育手帳2度)てんかん視機能検査が負担であり、療育手帳で公的サービスを利用できるため身障手帳を取得していない。 3)女性 40代 眼瞼痙攣 眩しさが強く目を開けていられないため生活への影響が大きいが障害認定は受けられず、障害者総合支援法対象疾患でないために公的サービスを受けられない。 【考察・まとめ】 どの事例でも、大きな不安・困難となっていた外出時の安全性向上が図られQOL向上に繋がった。その後、可能な範囲で視覚障害者向けサービスを活用している。また、事例1では訓練を通じて手帳取得のメリットを知ってもらうことができた。見えにくさから生活上の困難があるにも関わらず手帳取得をしていない、あるいは取得対象になっていない方は少なくない。このような、リハの“入口・隙間”で制度上のサービスを利用できない方を掬い出し、サービスに繋げる・何らかの形で提供することが必要であると考える。 活-25.用具事業課における歩行訓練士の役割と、用具販売と視覚リハの親和性の考察   ○関谷 香織  日本点字図書館用具事業課 【はじめに】 報告者(歩行訓練士)は、平成27年4月から日本点字図書館の用具事業課に所属している。用具事業課にて、2年間歩行訓練士が実践した内容を報告する。 【実践内容】 電話や店頭で用具を購入される視覚障害者や家族、支援者、企業等に対して以下を行っている。 1.個別相談 2.限定的個別訓練 3.用具事業課主催の相談会実施 4.視覚障害者向けイベントのガイドボランティア養成 5.企業などへの助言 6.館内職員への研修 7.眼科での用具等の紹介 【結果】 島田(2016)によれば、「用具販売と視覚障害リハビリテーション(以下、視覚リハ)の親和性は非常に高く、用具購入を窓口にして視覚リハへと進んでいける人は多い」と述べているが、当館でも用具購入をきっかけに、ニーズの把握、情報提供、視覚リハの紹介ができた。報告者対応の、他機関へつなぐ・記録を残した方がよいと思われるケースは122件。そのうち、個別相談や訓練の予約をとって対応したケースは50件。また、職員への研修やガイドボランティア養成は、利用者サービスの向上につながった。 【考察】 用具事業課の特徴としては、(1)病院から白杖等の購入のために当館を紹介されるケースが多い、(2)「買い物」目的で利用でき、相談や訓練よりもハードルが低い、(3)利用者が全国規模、(4)障害者手帳の有無に関わらず、相談や限定的な訓練を行える等がある。用具販売と視覚リハの親和性と当館の特徴を活かすことで、医療と福祉の連携を推進する「中間型アウトリーチ支援」を実践できる可能性がある。歩行訓練士は、各職種との連携の要として業務に当たる必要性が求められるだろう。また、生活者である視覚障害者の暮らしをよりよくするための援助者として、訓練及びソーシャルケースワークで培った知識や技術を活かし、当事者のみならず、当事者を取り巻く環境へ貢献できる可能性があるだろう。 活-26.ホーム縁端の誤認を防ぐためのホーム端内方線活用徹底の有効性  ○加藤 俊和  全国視覚障害者情報提供施設協会 【目的】 列車駅ホームでの視覚障害者の転落事故が相次ぎ、その対策が急務になっている。最も完全な対策としては可動式ホーム柵でありその設置が急がれているが、2020年度目標数である800駅でも全国の約9500駅の8.4%に過ぎない。また、普段よく利用して慣れているホームでの、「ホーム縁端の方向や距離の誤認」が主原因で転落の大部分が発生していることは、これまでの調査から明らかになっている。 その「誤認」を防ぐために有効な手段として、内方線付視覚障害者誘導用ブロックが2002年12月にガイドラインに掲載されて普及が進み、2016年3月末現在、1日三千人以上利用駅2360駅中1749駅と67%に設置されている。 いま、この内方線を有効に活用している視覚障害者は増えているが、その活用ができていない単独歩行者も多数存在しており、「ホーム端に近づけば必ず徐行すること、そして内方線によるホーム縁端の方向と距離の把握」を徹底させることができれば、視覚障害者のホーム転落事故は確実に減少することが期待される。 【方法】 内方線付点字ブロックの活用の不十分な白杖使用・盲導犬使用者を対象者として、「ホーム端では内方線によるホーム縁端の方向と距離の確認を必ず行うこと」の実施を進め、その前後でのヒヤリハットの変化について、聞き取り調査を行う。 実施の意義 相次ぐホーム転落による犠牲者を出さないためには、効果の出ている方法を順次取り入れながら実証していくことが強く望まれている。既に活用している視覚障害者からは有効性が確認されている内方線付ブロックの利用の徹底は最重要の対策であるので、早急にその実施を図りながら検証を深めていくことの意義は大きい。 活-27.神奈川県ライトセンター指導訓練事業における講座・講習会 活動報告  ○内田 まり子、村松 里恵、高橋 昌希、青山 しのぶ  神奈川県ライトセンター 【はじめに】  神奈川県ライトセンターでは、情報提供事業、スポーツ振興事業、ボランティア養成事業、指導訓練事業を行なっている。そのうち指導訓練事業では、相談対応、主に訪問による歩行や日常生活訓練のほか、各種講習会、サロンなど人が集まる場の提供や、視覚障害児と保護者を対象としたイベントなどを開催している。  今回は各種講座・講習会について、活動の概要と、その中から1つをピックアップして実施状況を報告する。 【活動報告】  講座・講習会は、地域で生活する視覚障害者のQOL向上や社会参加支援の取り組みの一環として、さまざまな体験を通して教養を広めることを目的とした「教養講座」、日常生活における諸技術習得のための「技術講習会」の2つの分野に分けて実施している。  平成28年度の活動内容は以下の通り。  教養講座:音楽鑑賞(音楽パフォーマンス、和太鼓)、ヨット乗船体験、フラダンス体験、ウクレレ体験。  技術講習会:調理、メイク、点字ディスプレイ使用方法(基礎・応用)、会食(食べ方)。  講師は会食以外は外部講師を依頼した。料金は無料、あるいは実費負担とした。定員は各回で異なる人数設定だったが、全体としてはおおむね定員どおりの参加人数となった。  技術講習会で行なった「会食」では、会食が苦手だと感じている視覚障害者を対象とし、意見交換をしながら食べ方を練習した。異なるテーマで3回実施し、ライトセンターの訓練担当職員3名がマンツーマンで現状のフィードバックや方法技術の提案をし、参加者同士でどのような工夫をしたかなどを話し合った。 【終わりに】  参加者からは楽しかった・参考になったなどの感想があった。一方、新規参加者の開拓やフォローなどに課題が残っている。その時々の社会状況にも合わせながら、幅広い分野でバラエティに富んだ内容を企画していきたい。 活-28.盲ろう者(視覚聴覚二重障害者)を対象とした「日中活動プログラム」の開発  ○小平 純子1)、前田 晃秀1)、大河内 直之2)、木本 多美子3)、橋間 信市4)、福島 智5)  1)東京都盲ろう者支援センター、2)バリアフリー映画研究会、3)モンキーマジック、4)全国盲ろう者協会、5)東京大学先端科学技術研究センター 【目的】  盲ろう者は平日日中に家庭内で過ごしている者が多く(全国盲ろう者協会、2012)、この背景には、盲ろう者は就労の機会が限られるうえに、地域の障害者通所サービスにおいても、視聴覚の活用を前提とする中で参加が制約されていることが推察される。 そのような実情を踏まえ、視聴覚障害への配慮を取り入れた盲ろう者を対象とした日中活動の手法を開発することを目的に、「盲ろう者向け日中活動プログラム開発事業」(独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業)を実施した。 【方法】  盲ろう者を対象に、創作活動8種類、生産活動8種類、レクリエーション4種類、計20種類(1種類につき各3回、計60回)のプログラムを実施した。実施にあたっては、視覚障害生活訓練専門職や手話通訳士、盲ろう者向け通訳・介助者を背景とするスタッフで運営方法や配慮点などを検討した。各プログラム終了後、利用盲ろう者から、難易度、満足度、継続希望度(5段階評価)と全般的な感想についてヒアリングを実施した。 【結果】  プログラム20種類の参加者は、延べ390人、平均6.5人だった。難易度については、「点字名刺」(3.3)、「バランスボール」(3.2)が高く、「もこもこハンガー」(1.3)が最も低かった。満足度については、「石けん」、及び「包装」(各4.6)、「カラダほぐし体操」、及び「バランスボール」(各4.5)が高く、「箱折り」(3.3)が最も低かった。  具体的な感想としては、「すべての作業を一人でできて嬉しかった」、「途中の見本があったので、工程がわかりやすかった」等の意見があった。 【考察・結論】  20種類のプログラムの中で、難易度には開きがあったが、満足度は全体的に高かった。プログラムを進行する際、「完成品や作業途中の見本により見通しを示す」、「各工程で触って確認する時間をとる」、「机上の本人スペースを明確にする」といった配慮をしたことで、活動に参加しやすくなり、満足度が高くなったと考えられる。 活-29.チャレンジド・ヨガ~視覚障がいの方のヨガ~   ―過去、現在、そして…未来―  ○高平 千世1)、大坂 和則1)、加藤 亜樹1)、澤崎 弘美2)、村上 智彦3)、長岡 正芳3)  1)日本カルチャーヨガ協会、2)いけがみ眼科整形外科、  3)株式会社オッシュマンズ・ジャパン 【はじめに】 2013年に埼玉県所沢市で活動開始。地域で継続的に身体を動かす機会、人と社会とが繋がるコミュニティの創出を目指して活動中。今大会のテーマに沿って4年間の活動を振り返る。 【方法】 ・定期ヨガクラス及びイベントに関する調査(実績や内容の変化) ・参加者や関係者に対する意識調査(学んだことや日常における変化) 【結果】 ・地域の定期クラスは年々増加(2015年2か所、2016年3か所、2017年2か所(川崎、神戸))し、現在全国8か所で開催中。イベントも年々増加(2015年10回、2016年20回)すると共に、内容や対象者も多種多様なものへと変化(心のバリアフリーセミナー、ヨガの歴史講座、地域スポーツ推進員対象セミナー、視覚障がい留学生対象ヨガ、海外企業からのアイマスクヨガなど) ・意識調査の結果からは、街で視覚障がい者に声をかけるようになった、日常の言葉が変わった、障がいという枠組みに対する抵抗感が薄らいだ、障がい者に自然に接することができるようになったなどの変化が見てとれた 【まとめ】 定期クラスやイベントの増加は、チャレンジド・ヨガが目指すものと地域のニーズとが合致している結果と考える。意識調査の結果からは、誰もが競うことなく気軽に取り組むことができるヨガを通じて、障がい者と健常者とが相互理解を深め、経験を積み重ねることで、助け合うことが当たり前の日常的な「共に生きる社会」へと自然に変化する様子が見てとれた。ヨガの語源はYuj(ユジュ=繋がる)であり、精神の成長や社会との適合のために構築された技法であるが、その根底には、人は皆価値ある存在であり「しあわせ(ウェルビーイング)」のために繋がるという考えがある。これは社会福祉活動の目的となる概念、ソーシャルワークの定義とも一致しており、今後もこれらの考えに基づいた新たなコミュニティを自然な変化に委ね、楽しみながら創出していきたい。 機器展参加企業 展-1(株)アーチャレジー  黒い紙に白い罫線が印刷された手帳やノートなど、弱視の方にお使いいただける、ユニバーサルデザインな文房具を取り扱っております。 展-2アイスマップ有限会社  視覚障害者向け携帯時計として、アイスマップ(有)が企画、開発、製造をしている触感時計”タック・タッチ”です。特長は、1.触感(振動)で”時”、”10分”、”分”の時刻を肌に伝えます。2.腕時計型とストラップ型の2種類。3.カラーはオシャレな7色。4.重さは腕時計型26g、ストラップ型14gと超軽量。5.電池はコンビニ等で購入可、自分で交換も可。 価格は腕時計型13,824円、ストラップ型12,960円日常生活用具給付対象です。 展-3アイネットワーク有限会社  活字文書読上げ装置アイビジョンスピーチオ99,800円(非課税)新聞、雑誌、本などの、活字印刷物を音声で読み上げします。SPコードも解読して読み上げします。拡大読書器とは別の給付項目ですから、拡大読書器の給付を受けている人も、これは給付を受けられます。但し、手帳1級と2級の人です。所得の有る人は1割負担で9,980円の負担です。非課税の人は無料です。拡大読書器で給付申請できるアイビジョンデジタルのモデルも複数モデル出展します。画面を見て使えるだけでなく、活字印刷物を音声で読み上げもできるモデルや、画面にしゃべるテレビを使用のモデルなど。4月からの新モデルは、まだ原稿に入れられませんが、当日ご確認下さい。 展-4アイネット株式会社  よみあげ拡大読書器「よみあげ名人」 198,000円(税込)  簡単操作で文書の音声読み上げと拡大表示ができる装置です。よみとり器に原稿をセットし、本体のキーを押します。本体の画面に拡大表示し、文書を音声で読み上げます。表示倍率は12段階、読み上げ速度は10段階、簡単なキー操作で変更できます。本体は画面15.6インチのワイド液晶モニタ、よみとり器は最大A4サイズの用紙をセットできます。日常生活用具として給付実績があります。 展-5(株)アイプラスプラス  指先で点字を読み取るようにオーデコは額(おでこ)の触覚を使い、目の前のモノの形や動きを感じ取ることができる装置です。点字ブロックにはみ出た自転車などの障害物を避けたり、道路の白線や横断歩道の縞模様を捉えたり、更には手や白杖では届かない距離にあるものを捉えたりすることができます。視覚障碍者は白杖と共にオーデコを併用することにより、安全安心感の増した生活を手に入れられます。 展-6株式会社アイフレンズ  「とうくんライト」は、視覚に障害のある方が「活字文書」や「手書き文書」「点字文書」の読書「紙幣判別」を一人で簡単に行えるように工夫した音声拡大読書器です。「テラタイプ」は小さな音で、小型軽量、持ち運びに便利な6点用の点字タイプライターです。「振動式光チェッカー」は光の明暗を振動の早さでお知らせします。 展-7株式会社アサクラメガネ  エイドだけではなく、色々な情報も皆様にお伝えしたいと考えております。ぜひお越しください!! 展-8株式会社アステム  テレビ音声(ワンセグ)の主音声・副音声が聞けるほか、AM・FMラジオ(ステレオ)、緊急地震速報が自動受信できます。緊急地震速報は電源OFFの時に受信すれば自動的に電源が入りNHKの速報ニュースにつながります。音声ガイドは機械音ではなく、録音した人の声での読上げは、聞き取りやすいと大好評です。2つのスピーカーによりステレオで大音量・高音質で楽しめます。サイズは縦11cm、横17cm、奥行4.5cm。重さ約480g(電池含まず)。電源はACアダプタか単三電池4本(別売)。ワイドFMにも対応し「AMラジオがキレイに受信できるようになった」と大きな反響があります。全国の約1/4の自治体で日常生活用具として給付が受けられるようになりました。 展-9株式会社インサイト ・トパーズPHD (248,400円 税込) トパーズPHDは、折りたたみ式でコンパクトな、持ち運びが可能な拡大読書器です。HD対応のカメラを搭載しているため、くっきり鮮やかな画像や文字の表示を実現した多機能型拡大読書器です。 ・オニキスデスクセットHD(213,000円 非課税) 20インチのモニタで、1.4倍から106倍の拡大。モニタの上にカメラを設置し、省スペース使用可能な一体型を実現。 ・ルビーHD5インチ(197,400円 非課税) HDカメラ搭載でより高画質。低倍率でもクッキリ。大きすぎず小さすぎない5インチ液晶画面。より書きやすいカメラ位置。 ・ルビーHD7インチ(198,000円 税込) 簡単な操作でくっきり鮮やかな画像や文字を表示できます。カメラの角度を調節して鏡に映すように自分を拡大したり、前方を拡大することも可能。 展-10有限会社エクストラ  新製品のOCR機能付き携帯型DAISYプレーヤーBlaze ETとEZをご紹介します。DAISY図書や音楽データの再生はもちろん、OCRやカラーリーダー機能を備えたマルチプレーヤーです。サピエオンラインにも対応しています。また、点字情報端末のブレイルセンスシリーズや点字ディスプレイのスマートビートル、新型のINDEX社製点字プリンターも展示します。 展-11株式会社エッシェンバッハ光学ジャパン  携帯型拡大読書器、各種手持ちルーペ、携帯用ルーペなど視覚障害者の方のお役立ち用具のご紹介。新製品「ヴィゾルクスデジタルHD」、人間工学に基づいた読者に快適な読書用デジタルルーペを是非ご覧ください。 展-12桜雲会  当会では点字・活字・音声など多彩なメディアでの図書を発行しています。新刊図書では、音の出るペン“音筆”を使って楽しく学べる漢字学習教材「おとのでるえほん かいてみようきいてみようかんじ1・2・3」を販売致します。音筆を紙面にタッチすると、漢字の読みや書き順などを示す音声が流れ、楽しみながら高い学習効果が得られます。ぜひ体験してみてください。また、当会の大人気シリーズ「てんじ手作り絵本」から最新刊「つたえちゃ王」の販売も行います。その他、点字キューブやマスコットブレイル、持ち運びに便利な携帯用の各種マッサージ器など、視覚障害者の生活に便利な用具の販売に加え、一人でも多くの方に点字ブロックの存在と意味を理解して頂くことを目的とした点字ブロックおせんべいやハートサブレなどをご用意しております。さらに今年は1,000円以上お買い上げのお客様にデイジー図書をプレゼント!!多彩な品揃えで皆様のお越しをお待ちしております。 展-13株式会社オグラ  各倍率ルーペ(各種)、携帯型読書器、遮光眼鏡 展-14株式会社QDレーザ  「網膜走査型レーザアイウェア」は、主として前眼部に起因するロービジョンの人の視覚の支援を目的に開発しています。フレーム内側の超小型レーザプロジェクタから網膜に画像を直接投影するため、フリーフォーカスとなり、ピント調節機能の影響を受けにくいのが特長です。光学系をフレームの内側に配置したことにより突起物がなく、通常の眼鏡同様に違和感無く装用できるユニバーサルデザインの実現を目指しています。レーザアイウェア内蔵のカメラ機能を利用することにより、新聞、雑誌などの閲覧や、外部入力によるPC、スマートフォン、タブレットなどからのデジタル情報の取得ができます。 *薬機法未承認のため、販売・頒布できません。アイウェアを使用した効果は個人差があります。 展-15錦城護謨株式会社  視覚障がい者歩道誘導ソフトマット「HODOUKUN Guideway(ホドウクンガイドウェイ)」 ホドウクンガイドウェイは、白杖等で柔らかいマットを確認して目的地にたどり着ける屋内専用の歩道誘導マットです。弱視の方にも認識しやすいカラー展開で環境とのコントラストを強調していただけます。凹凸がなく、車椅子やベビーカーのタイヤが取られることもありません。すり足の高齢者や幼児等、つまずきやすい方にも安心して歩行して頂くことができます。本製品はユニバーサルデザインの視点からバリアフリーを見直し、視覚障害を持つ人、歩行障害を持つ人の意見を取り入れて開発しました。視覚障害者の誘導路の機能を持ちながら、車いすや高齢者もスムーズに通行できる製品のため、従来誘導路の設置が困難だった場所への設置が可能となり、視覚障害者の方々の単独移動可能範囲が広がる製品です。 展-16ケージーエス株式会社  1.点字ディスプレイ ブレイルメモスマート16 「点字ディスプレイ ブレイルメモシリーズ」の持ち運びに適した16マスタイプです。外出先での読書や、メモ書きに適しています。  2.点字ディスプレイ ブレイルメモスマート40 「点字ディスプレイ ブレイルメモシリーズ」のロングな40マスタイプです。点字校正作業など、レイアウトのチェックなどに威力を発揮します。  3.点字ラベラー BL-1000  点字のラベルシールを簡単作成します。「障害者差別解消法」に対する合理的配慮の点字対応に是非ご利用ください。 展-17(株)高知システム開発  PC-Talker 10は、タッチ画面を簡単操作できるキーアシスト機能搭載しています。タッチ点字キー入力も可能です。Internet Explorerの他、Mozilla Firefox、Google Chrome、に対応し、ダイレクトコマンド利用で、ページ内の目的の場所に素早く移動できます。Microsoft Word 2016、Excel 2016に、対応。点字入力機能(六点漢字入力、漢点字入力)を装備。 展-18株式会社KOSUGE  軽量で耐衝撃性のあるアラミド繊維を使用した白杖MyCaneⅡ、新製品の携帯用白杖MyCaneSLIM,超音波により前方頭部の障害物を検知する電子白杖MyCaneSMARTの展示。また、白杖付属部品として、視認性を向上させ、ロービジョンの方には前方の段差を認識し易くさせる新製品レーザーライトの展示。位置精度を画期的に向上させる歩行支援「Myみちびき」の開発品を紹介。 展-19有限会社サイパック  デイジー録音図書の再生アプリ「ボイス オブ デイジー」のAndroid版およびiOS版をご案内させて頂きます。デイジー録音図書には、すべてのテキストが入っているものと目次や見出しのみテキストとして入っているものがあります。ボイス オブ デイジーは読み上げ箇所を違う色で強調しながら音声を再生しますので、目が不自由な方や文字を認識しづらい方も本を読み進められます。ボイス オブ デイジーのすべての機能はTalkBack(トークバック、Android版スクリーンリーダー)およびVoiceOver(ボイスオーバー、iOS版スクリーンリーダー)を通じて操作できます。また、文字の大きさや色、読み上げの速度やピッチなども自由に変更でき、日本語の縦書き表示およびルビ表示にも対応しています。ボイスオブ デイジー Android版はGooglePlay(グーグルプレイ)より、ボイス オブ デイジー iOS版はAppStore(アップストア)よりご購入頂けます。 展-20株式会社サン工芸  触読しやすいプレス式の点字案内板や点字標示板、点字だけでなく丸や三角などの形でもわかるように考案されたと入れよう点字標示板、点字と図形を合わせ、点字利用者以外もわかるような乗車位置点字標示板などを展示いたします。 展-21株式会社 ジェイ・ティー・アール  世界初の点字プロッタ機構を搭載したESA721を小型化し安価に提供出来るようESAsoloとしてデビュー。パーソナルユースを想定し、重量も軽く点字の質はESA721と同程度を実現。さらに打出しの際の音も非常に小さいので自宅で使っても全く問題になりません。小型ながら点図機能も持つ(大・中・小の打ち分けは無。中点のみ) 展-22シナノケンシ株式会社  シナノケンシのプレクストークでは、見えない方・見えにくい方向けに貸し出されるデイジー形式の音訳小説や音声解説付きの映画(シネマデイジー)を楽しむことができ、音声ガイドを搭載しているので操作も安心です。大きな操作キーで初心者でも使いやすい卓上型製品、小型でポケットにも入る携帯型製品までお客様のライフスタイルにあわせた製品ラインナップを取り揃えております。 展-23篠原電機株式会社  歩行者信号機の補助装置として開発されました。歩行者信号機は渡った側の高い位置にあり、弱視者の方は探し難く見つけ難い。「高齢者・視覚障害者用LED付音響装置」は円柱ポールの赤・青の信号灯が両面に音声スピーカも地上から1mの高さにある。渡る側の手前に設置することで信号灯が確認し易く、耳元に近い位置の音声は聞き取り易い。周辺への騒音が減少される。全長1.2mの高さは高齢者や子どもにも見やすい。 展-24株式会社タイムズコーポレション  新製品の「メゾHD」、フルハイビジョンで持ち運び可能な「トラベラーHD」をはじめ、最新の拡大読書器、電子ルーペを展示します。さらにルーペの新製品でLEDの調節可能な「エルゴラックスMP」、ドームルーペ「みてみ」も出展します。音声関連商品は音声ICタグレコーダーの「タッチボイス」、音声紙幣判別機「QN-20」、音声コンパスの「C2コンパス」、音声色彩判別機「カラリーノ」を出展いたします。 展-25東海光学株式会社 眩しさを感じるすべての方にお薦めする遮光レンズCCP,CCP400や掛け外しする事無く室内と屋外を1本ですむCCP ATや路面からの反射を抑える偏光レンズCCP ACT そして、眼鏡の上から掛ける事が出来るビューナルや専用フレームヴェルジネも展示します。また、無色なのに紫外線を100%カットする眼鏡レンズルティーナも体験して頂きたいと思います。是非、ブースにお立ち寄りください。 展-26読書工房  読書工房は、2004年創業以来、さまざまな立場の人にとっての「アクセシビリティ」をテーマに、出版活動を行ってきました。当日は、各種書籍を展示・販売をします。 1)視覚障害者をサポートするための書籍(『見えにくい子どもへのサポートQ&A』、『まねて覚える点図入門』ほか) 2)さまざまなコミュニケーションを学ぶための書籍(『盲ろう者への通訳・介助』、『指点字ガイドブック』ほか) 3)大きな文字の書籍(講談社オンデマンドブックス「大きな文字の青い鳥文庫シリーズ」ほか) 4)点訳・音訳・ガイドヘルプなどに関する書籍(『G-10とマナブくんの点字教室』『音訳テキスト・音訳入門編』『初めてのガイド』DVD版ほか) 5)マルチメディアDAISY図書(わいわい文庫)のデモンストレーション※公益財団法人伊藤忠記念財団協力 6)点字器(予定) 展-27株式会社 ナイツ ・拡大読書器NVS-X1  日本人のための拡大読書器。横書き縦書きに対応した可動式テーブル。カメラを手前に取り付け、書きやすい読書器です。 ・単眼鏡 PKシリーズ  手元から遠方までピントを合わせることができます。 ・直像検眼鏡 BXα Plus  保有視機能の活用指導をする器械です。  固視検査にも使用できます。 展-28株式会社日本テレソフト  点字プリンター:点字と墨字両方が同時に印刷することができる「DOG-MultiSuper V2」 拡大読書器:読書器にOCRを組み込んだ「DavinciPro」、遠近両用タイプの「AcrobatHD」、XYテーブル付きの据置型「MerlinHD」、携帯型で画面が大きいタイプの「Amigo HD」等を展示致します。 展-29日本点字図書館  ロービジョンのかた向けにオリジナル作成しました「マグカップ」と「パン皿」をお手に取ってご覧ください。カップの内側と底にマークをつけて、どのぐらい飲み物が入っているかをわかりやすくしました。パン皿もお揃いのデザインです、毎日の朝食が明るく楽しくなると思います。シンプルなものから可愛いものまで3つのデザインからお選びいただけます。  音声認識人形「みーちゃん」はプレゼントにも最適な癒し系のお人形。その他、LEDセーフティバンドやフラッシュハーフボールなど安全のためのライトをはじめ定番の音声時計や調理用品、つめやすりなどの便利グッズをご紹介します。どうぞお立ち寄りください。 展-30公益財団法人 日本盲導犬協会  私たち日本盲導犬協会は、盲導犬を育成し、視覚に障害をお持ちの方に盲導犬を無償で貸与することで、自立と社会参加を促進することを目的とした公益財団法人です。盲導犬は「全盲でないとダメ」「働いていないとダメ」「すごくお金がかかる」「犬や猫を飼っていたらダメ」など、盲導犬について多くの誤解があります。私たちは、盲導犬のことを正しく知っていただき、視覚に障害のある方の移動をより安全で快適なものにする選択肢として紹介したいと考えています。お気軽に、盲導犬についてご不安なこと、疑問などもお聞きください。是非、盲導犬との歩行もご体験ください。 展-31パナソニック株式会社  テレビ、ブルーレイディスクレコーダーは、テレビ番組表を読上げたり、録画予約や再生の仕方を音声で案内します。宅外視聴アプリは、スマホで番組視聴や録画予約、録画番組の視聴ができます。ICレコーダーは、胸ポケットに挿したまま録音できるペン型や、FMラジオが聴けるタイプなど4機種をご紹介。ファクシミリは不審電話の着信拒否など、安心機能が充実。 展-32株式会社ファンケル  メイクサービスと化粧品の販売を予定しています。メイクサービスは、アイメイクとリップメイクの色選びをスタッフがお手伝いします。講師がマンツーマンで1名につき20分間で対応します。化粧品販売内容はメイク商品の一部を販売予定です。  ※ 出展は11日(日曜)のみです。 展-33三笠産業株式会社  今までデジタル端末を使用するしかなかった白文字表示がトナープリンターで可能になりました。通常のトナープリンターと同じ方法で印刷が可能となっているおり教材等の印刷に最適です。白黒反転コピー機として使えるモデルもあります。カートリッジを入れ替えることで通常カラー印刷も出来ます。 展-34三菱電機株式会社  三菱電機ではユニバーサルデザインの視点から「子どもから高齢者,身体の不自由な人まで」できるだけ多くの人が「あん心して,らくに,楽しく使える」デザインを通じて「暮らしのクオリティ」向上を目指す「らく楽アシスト」を推進しています。  今回は,音声ガイダンス付のらく楽アシスト製品から液晶TV「REAL」,IHクッキングヒーター「らく楽IH」,ジャー炊飯器「本炭釜」,レンジ▶グリルの自動リレー調理のレンジグリル「ZITANG」,再生可能な空気の熱を利用してお湯を沸か すエコキュートに加え,様々なユニバーサルデザインの視点を盛込んだクリーナー,エアコン,冷蔵庫など,多数の出展を検討しています。実際に開発に携わった営業,設計,デザイナー,本社スタッフが説明しますので,製品概要だけでなく開発秘話もあわせてお聞き下さい。 展-35株式会社ラビット 【1】携帯型拡大読書器5機種:比較的安価でかつボタンが大きく操作性に優れたモデル、タッチスクリーン機能付きの高機能モデルなど。【2】生活便利グッズ:デザイン・機能性に優れたオーストリアから輸入している便利な日常生活用具各種。【3】国内で開発・製造されている振動式時計、音声点字タイプライター(メモ機)など、珍しい商品を各種取り揃えております。 展-36レハ・ヴィジョン株式会社 多言語対応「ポッチ UD-W」 → 外国語対応型音声情報案内装置 サポートケーン → 身体支持併用白杖、身体を支える丈夫な白杖 しゃべる地球儀 → 13,000以上様々な情報を触って学べます。 「視覚リハビリテーション研究」論文募集要綱  視覚障害リハビリテーション協会では、2010年度の第1回理事会で議題3として研究紀要の復刊が承認されたことを受け、編集委員会を設置しました。編集委員会では、研究紀要の復刊に伴い、これまで通り大会発表論文とともに新たに原著論文を募集すること、そして年2回発行することなど、これまでの大会論文集を一新し、新たに「視覚リハビリテーション研究」を発行することとしました。それに伴い、新しく募集する原著論文に関する執筆の手引きの案を作り、その執筆の手引きは同12月21日の第9回理事会で認められました。  原著論文とは、英語ではオリジナル・ペーパーとかオリジナル・アーティクルとか呼ばれます。内容は研究について記載した論文ですが、研究内容が他の雑誌などに出版されていないオリジナルなものとして認められるものです。また、通常、仮説に基づいて実証的な研究を行い、結果として得られた根拠に基づいて考察している形式であることも求められます。オリジナル・ペーパーとして掲載するのに妥当かどうかは、通常、専門を同じくする複数の人が匿名で査読(ピアレビュー)ということをして決めます。  査読は掲載の可否を決めるプロセスですが、同時に、投稿されてきた原著論文に注文をつけて、より良い論文として掲載できるよう修正を手伝うという側面を持っています。論文の著者と意見が一致しないとか気に入らないというのは査読者にとっては掲載を拒否する理由になりません。専門を同じくする人が、掲載に値するものかどうか、値するようにするにはどういう修正をすべきか意見を述べることで、交換されようとしている専門知識の内容(原著論文の中身)をより高めていくプロセスが査読です。この専門家の査読のプロセスを得て刊行される原著論文だからこそ、一定の信頼と価値が生まれるとも言えます。  研究発表大会で発表した内容についても、これまで通りの査読のない発表論文としてか、あるいは査読のある原著論文としてか、どちらか選んで投稿いただくことができます。査読が終わって採択されたものから、もっとも刊行の近い号に順次掲載していきます。(以前の大会論文集に既に掲載されたり、「視覚リハビリテーション研究」に発表論文として刊行されたりしたものは、同じ内容の再掲になるためいずれの論文としても掲載できません)。  2012年度の第6回理事会では、発表論文と原著論文の他に掲載するカテゴリとして、特定のテーマについて解説・レビューする「総説」と、原著ではないが掲載にふさわしい有用な内容をまとめた「報告」というカテゴリの2つを新設することが認められました。この2つのカテゴリについては上述したような厳密な意味での査読は行われませんが、掲載にふさわしいかどうかについては編集委員会で評価をし、修正をお願いすることがあります。また、原著論文の査読結果、不採択となった場合、「報告」に切り替えて掲載できる可能性もあります。  2015年の編集委員会にて、これらの4つのカテゴリについては一部不文律であったページ数の制約を明記することが決まりました。また、これまで書式の統一性が低かった発表論文や報告について対策を講じる検討がなされ、刊行から5年を経過していることに鑑み、「視覚リハビリテーション研究」における形式を原著論文の形式をベースに一本化することが決まりました。総説・発表論文・報告の執筆についても、一本化された和文論文の書式に従ってください。 2016年3月 「視覚リハビリテーション研究」編集委員会 和文論文執筆要綱 (2010年12月21日第9回理事会承認、2016年2月1日編集委員会にて微修正) 1. 原稿の仕様 1.1. 原稿は電子データを以下の1.2に述べる書類と共に提出する。要約や図表を本文に配置した完成形(以下、レイアウト原稿とする)での提出を原則とする。 1.2. 原稿の構成は原則として次の通りとする。 1) 連絡票(電子ファイルで提出ください。以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いて下さい。http://www.odalab.org/JJVR/FaceSheet_v160611.doc) 2) レイアウト原稿(視覚リハビリテーション研究のレイアウトに従ってレイアウトをしたもの。Wordファイルのテンプレートについては以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いて下さい。 http://www.odalab.org/JJVR/JJVR_template_v160611.doc) 3) 写真・図表説明原稿(通常の図表の説明以外に、視覚的な表現では分からない読者のためにテキストだけで説明した内容を別途用意してください。別ファイルでなくても、本文の最後に追加した形で構いません。) 4) レイアウト原稿の印刷物(印刷確認用ですので、紙に印刷したものを1部提出ください。) 5) 著作権譲渡同意書(著者全員が押印したもの、紙に印刷したものを提出ください。以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いて下さい。http://www.odalab.org/JJVR/ CTransfer130327.doc) 2. 原稿の提出 2.1. 連絡票、レイアウト原稿、写真・図表説明原稿を電子メールで編集委員会へ投稿する。編集委員会のメールアドレスはjarvi-proceedings@googlegroups.comである。 2.2. レイアウト原稿の印刷物1部(印刷所校正用)、著作権譲渡同意書1部を郵送で編集委員会へ送付する。編集委員会の住所は以下である。 〒167-8585 杉並区善福寺2-6-1 東京女子大学現代教養学部人間科学科 小田研究室気付「視覚障害リハビリテーション協会論文編集委員会」 2.3. 電子媒体やレイアウト原稿の提出が難しい場合は、編集委員会まで電子メールあるいは郵便にてあらかじめ相談し、提出方法について検討する。 2.4. 提出期限  すべての原稿は、査読や編集委員会での判断・修正作業が終わり次第、近い号に掲載するため、とくに期限を定めない。発表論文については、1号については9月末ごろ、2号については12月末頃におおまかな締め切りを設けているが、掲載論文の数などによって変動する。 3. 著者校正  査読終了後、印刷前に1回著者校正を行う。査読終了後の大幅な内容の訂正は認めない。 4. レイアウト原稿  レイアウト原稿には、タイトル(和文論文題名)、英文論文題名、著者名、著者所属、著者名英語表記、所属英語表記、和文要約、キーワード、英文要約、英語キーワード、本文、文献、図表及び写真が含まれる。ただし、原著論文以外のカテゴリについては、英文論文題名、著者名英語表記、所属英語表記、英文要約と英語キーワードがなくても良い。  レイアウト原稿のテンプレートをJJVRウェブサイト(http://www.odalab.org/JJVR/JJVR_template_v160611.doc)からダウンロードして使用してください。掲載する論文カテゴリごとの長さは、レイアウト後の枚数で以下の通りとする。  ・原著論文・総説 最小6ページ~最大10ページ  ・発表論文・報告 最小2ページ~最大6ページ 4.1. 連絡票 連絡票には、下記の1)から8)までの事項を記載する。 1) 論文の種類:原著論文と明記する。 2) 表題:論文内容に即したものとし、一連の研究の場合は類似した表題は避ける。 例:「△△△△におよぼす××××の効果」 3) 著者名:著者が複数の場合は[・]で区切る。 例:視覚太郎・山田里葉子 4) 所属機関名:大学の場合は、学部名等も記す。 例:点字大学教育学部 、白杖リハビリテーション医院 5) 表題の英訳: 例:The effects of ×××× for △△△△ 6) 著者名のローマ字表記:原則としてヘボン式を用いる。 例:Taro SHIKAKU and Rihako YAMADA 7) 所属機関名の英訳: 例:Faculty of Education, University of Tenji, Hakujyo Rehabilitation Hospital 8) 所属機関所在地のローマ字表記:市名、郵便番号(7桁)のみとする 例:Yamahana-shi, 000-0000 4.2. 要約とキーワード  和文については300字以上400字以内の要約と3~5項目のキーワードをつける。それぞれのキーワードの間は半角スペースで区切る。  英文要約をつける場合(原著論文では必須)、ネイティブチェックを受けた200語以上300語以内の英文要約、3~5項目の英語のKeywordsをつける。  和文と英文の要約は内容的に一致している必要がある。ただし一語一句一致している必要はない。 4.3. 本文  本文は、「目的」「方法」「結果」「考察」の4章、あるいは事例・症例について報告する論文の場合には「目的」「症例」「結果」「考察」の4章に分け、章ごとに内容を分けて記載する。ただし、総説については、これに従う必要はなく、記載する内容に合わせて適切に章立てを行うこと。 4.3.1. 論文構成に用いる記号  論文構成に用いる記号は半角数字を半角ピリオドでつないだものを用い(例:1. はじめに、2.1. 実験参加者、3.2. 主観的評価の結果)、見出しの数字で階層が分かるようにする。階層が深くなりすぎないよう、論文構成に配慮する。 1) 大見出し:算用数字1字を用い、上に1行をあける。数字の後ろにピリオドをつけ、全角1マス空けて見出しを書く(例:1. はじめに)。本文は改行して始める。 2) 中見出し:算用数字2字をピリオドでつないだものを用い、上に行をあけない。左端から1字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く(例:2.3. 手続き)。本文は改行して始める。 3) 小見出し:算用数字3字をピリオドでつないだものを用い、上に行をあけない。左端から2字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く(例:4.1.2. 先行刺激の効果が無かった原因の検討)、コロン(:)で区切って本文を書き始める。 4) これ以下の小見出しについては、必要な数の算用数字をピリオドでつないで用いる。表記法は小見出しに準じる。 5) リストの表記:算用数字に閉じ括弧 )をつけたものを用いる。 4.3.2. 表記について 1) 文体:原則として「である」調とする。 2) 句読点:「、」「。」とする。 3) 年号:原則として西暦使用とする。(例:「2004年」) 4) 記号:以下の記号をその使用例のように用いることができる。 ・中点(・)並列する同種の語を列挙する場合。 ・ハイフン(-)外国語の対語・対句の連結の場合。 ・引用符(" "または「 」)引用文に用いる。 ・括弧( )または[ ]を用いる。 ・コロン(:)例、説明などを導く場合などに用いる。 ・セミコロン(;)引用文献を列挙する場合、あるいは検定結果を列挙する場合に用いる。 ・省略符(…)引用文の一部あるいは前後を省略する場合に用いる。 5) カタカナ:本文中の外国語の使用はできるだけ避け、原則として日本語化した外国語を記述する時にのみ用いる。 6) 英数記号:原則として半角英数記号を用いる。 7) 略語:一般に用いられているものに限る。ただし、必要な場合には、初出の時にその旨を明記する。 8) 検定結果の表記:各種統計的検定の結果を示すときには、以下のように検定統計量、自由度ならびに有意水準等を明記する。 (F(1, 50) = 7.05,p< .05)、(χ2(5) = 1.54,p< .05)など F, t, pなどは斜体(イタリック)とすること 4.4. 文献 4.4.1. 引用文献:本文において引用されたすべての文献を、著者名のアルファベット順に論文の後に「文献」として一括リストして記載する。同一著者の複数の文献は発行年順とする。同一著者による同一年の文献が含まれる場合は、発行年の後に小文字のアルファベットを付けて区別する。また、引用文献においては、題目・雑誌名・巻号の区切り文字の「.」「,」 は半角に統一する。 4.4.2. 文献リストの書式 1) 雑誌:著者名(西暦年)題目.雑誌名,巻数(必要な場合は号数),開始頁-終了頁. 2) 著書:著者名(西暦年)書名.出版社,出版地,開始頁-終了頁(必要な場合). 3) 分担執筆:著者名(西暦年)章題.編者名(編),書名.出版社,出版地,開始頁-終了頁. 4) 訳書:原著者名(西暦年)原書名.出版社,出版地,訳者名(西暦年)書名.出版社,開始頁-終了頁(必要な場合).欧文の書名(原書名)および雑誌名は斜体(イタリック)とする。和文著書の場合、出版地は省略する。 5) Webページ:著者名(西暦年)題目.Webサイト名, URL, (アクセス年月日). 例: 1) 雑誌(和)同一著者・年はa、bで区別。 鈴木太郎・田中花子(2010a)視覚障害幼児への早期リハビリテーションに関する調査研究.早期研究, 2, 12‐17.鈴木太郎・田中花子(2010b)視覚障害幼児への早期リハビリテーションの一事例.実践早期研究, 3, 47-51. 2) 雑誌(欧): 著者3名以上では&の前に(,)を必ず入 れる。雑誌名は斜体。 Leg, E. G., Bail, A., & Pel, E.(2007)Effects of early intervention for blind children.International Journal of Videology, 48, 611-618. 3) 著書(和): 田中花子(1995)視覚障害の基礎.拡大社. 4) 著書(欧): 書名は斜体。Kooman, A. (1997)Visual field. The Sample Press, Amsterdam. 5) 分担執筆(和) 田中花子(1988)視覚障害者のリハビリテーション.鈴木太郎(編),障害者リハビリテーション.山花出版,9‐41. 6) 分担執筆(欧):編者1名:(Ed.)、編者複数:(Eds.)、編者3名以上は& の前に(,)を挿入。 書名は斜体。 Keller, A., Miller, B., Dodd, C., & Brian, A. (2001) Vision care. In W. M. Taylor & D. Reynolds (Eds.),The world of vision rehabilitation. Tsunami Press, London, 35‐72. 7) 訳書:原書名は斜体。 Barry, F. & Allen, G. (1999)Rehabilitation and education for low vision. Long Cane Press, New York.鈴木太郎・山田次郎監訳(2009)ロービジョンのリハビリテーションと教育.白杖学術出版社,39‐74. 8) Webページ 田中花子(2015)視覚障害幼児への早期リハビリテーションの新しい提案.幼児教育フォーラム, http://www.earlyintervention.org/tanaka/2015/article.html, (2015/12/29). 4.4.3. 本文中の引用の仕方  著者名の省略は避け、全員の名前を明記する。ただし,著者が3名以上である場合は「(筆頭著者名)ら」(欧文の場合は「(筆頭著者名)et al.」)と記す。著者名の連記は以下の例に従うこととする。 1) 文中の場合 例:鈴木・田中(1995)および山田(1987)は…。佐藤ら(1990)が…。 Ryan and Nelson(1984)は…。(&記号は用いない)…Cameron et al. (1991)によると…。 2) 文末などの( )内の場合 例:…と指摘されている(鈴木・田中,1981;山田, 1980)。…と指摘されている(Ryan and Nelson, 1984;…)。 引用文献が複数の場合はセミコロン(;)で連ねる。カッコ内の引用順は、論文末にあげる文献リストの順に準ずる。 4.5. 図表及び写真 4.5.1. 図表は本文中の適切な位置に割り付け、引用順に図1、 表1のようにする。 写真も図に含める。それぞれに簡潔で適切な見出しをつける(例:図1 訓練前後での歩行速度の比較)。掲載する図や表について、必ず本文中でその内容についての触れ、十分な説明をすること。 4.5.2. 写真を掲載する場合には、内容が理解できる程度の解像度を確保するとともに、過度に高い解像度のためにファイル容量が増大することの無いよう留意すること。また個人情報保護に特に注意をはらうこと。 4.5.3. 図表、写真にカラーの原稿を用いても構わないが、仕上がりはモノクロとなるので、モノクロでも鮮明な画像となるよう留意すること。 5. 註釈  注釈が必要である場合は、本文中にその箇所を明示したうえで、1), 2)のように上付きで通し番号をつけて註を付す。また、本文、あるいは謝辞がある場合には謝辞と引用文献リストの間に、すべての註を1)、2)のように番号順に記載する。 本文例:  (前略)ABC共和国における眼鏡の価格はおよそ500円で平均年収のおよそ10%に相当する1)。(後略) 注欄例: 註 1) 2005年当時の為替レートで計算した。なお、本稿掲載時には調査時、執筆時とは状況が大きく異なっている可能性がある。 2) (後略) 6. 写真・図表説明原稿  本誌を点字版やデータ版で読んでいる会員が、図や写真を理解しやすいよう、説明原稿を用意する。図と写真は文章化し、表はテキストデータを提出する。図表の作成に使用した基本ソフトとアプリケーションソフトを明記する。 7. 研究倫理の遵守  投稿者は所属機関等の倫理規定に従い、投稿する論文の内容について充分に人権及び研究倫理上の配慮をしなければならない。また、研究実施の際に配慮した研究倫理に係る事項があれば、論文中に記載すること。 なお、二重投稿や著作権・肖像権の侵害などの倫理的問題を避けること。倫理上の問題のある論文は掲載できない。 8. 著作権譲渡同意書  論文を投稿する場合には、著者全員が押印した著作権譲渡同意書を1部提出すること。JJVRウェブサイト(http://www.odalab.org/JJVR/CTransfer130327.doc)からダウンロードした著作権譲渡の書式を用いること。  この譲渡によって、視覚障害リハビリテーション協会は、視覚リハビリテーション研究に刊行された原著論文やその電子的形態による利用を含めた包括的な著作権を有する。しかし、これは著者自身が自著の原著論文を複製,翻訳,翻案等の形で利用することを禁止するものではない。ただし、その全部あるいは大部分を他の著作物に利用する場合には,その旨を協会(事務局)に申し出るとともに,出典を明記すること。また一部分を利用する場合にも,文献あるいは図説の下に出典を明記すること。このことは、原著論文にのみ適用される。 9. 投稿の資格  投稿時に筆頭著者が視覚障害リハビリテーション協会の会員であり、年度会費を納入済みであること。 事務局からのおしらせ 1.受付 ・事前登録  当日の受付は必要ありません。名札を忘れて方は総合受付へお申し出下さい。 ・当日登録  9日(金)13:00~13:30 日本点字図書館3F会議室  10日(土)09:30~ 鶴見大学記念館ロビー  11日(日)08:30~ 鶴見大学記念館ロビー ・会場内では必ず名札をご着用ください 2.大会参加費 ・事前登録  会員5,000円 非会員7,000円 学生1,000円 ・当日登録  会員6,000円 非会員8,000円 学生1,000円 ・学生の方は当日受付に学生証をご提示ください ・視覚障害者の付き添い者は無料ですが、受付で名札を受け取りご着用ください。 ・機器展示、市民公開講座のみの参加は無料です。 3.プログラム及び抄録集 ・事前登録の方には大会プログラムを予め郵送します。 ・抄録集は事前に大会HPにて公開します。各自必要な抄録をPCなどにダウンロードをお願いします。 ・大会当日はWi-Fiが利用可能です。アクセスキーは大会当日に受付などに張り出しますのでご覧下さい。 ・視覚障害の方でCDによる抄録集を希望される方は、事前登録時にお申し出下さい。 4.協会企画 *事前申し込みが必要です ・日時:6月9日(金)13:30~17:00 ・場所:日本点字図書館 3F会議室  *大会参加者であれば会員、非会員を問わず参加できます。 5.視覚障害リハビリテーション協会定期総会(会員のみ) ・日時:6月10日(土)11:50~13:00 ・場所:鶴見大学記念館ホール 6.地域ブロック会 ・日時:6月10日(土)17:00~18:00 ・場所:鶴見大学記念館ホール、他  全国6ブロックに分かれての交流の場です。協会員の資格は問いません。  北海道・東北ブロック(北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟)  関東・甲信ブロック(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野)  東海ブロック(静岡、岐阜、愛知、三重)  近畿ブロック(石川、富山、福井)  北陸ブロック(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)  中国・四国ブロック(鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知)  九州ブロック(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄) 7.機器展示会場 ・日時:6月10日 12:00~17:00     6月11日 09:00~15:30 ・場所 鶴見大学記念館2F、3F 8.交流会(懇親会) ・場所:鶴見大学記念館ラウンジ ・参加費 無料 9.視覚障害者の誘導・口頭説明サービス ・JR鶴見駅、京急鶴見駅から会場までは誘導員を配置します。 ・ポスター発表、機器展の口頭説明を希望される方は「ボイスサインカード」を見えるように掲示してください。 (当日登録の方は、受付にお申し出下さい) 10.その他 ・各会場へのアクセスについては大会HPに記載してありますので、参考にしてください。 ・日本点字図書館のツアーに参加する方は10:30に3F会議室に集合してください。 ・今大会にはクロークはありません。荷物などは各自で管理してください。 ・今会場には駐車場はありません。公共交通機関を利用してください。 ・今大会では託児スペースはありません。ただし、乳幼児をお連れの参加者の方は、遠慮なくバギーを伴い参加してください。授乳スペースなどは設けますので受付で場所をお確かめください。 第26回視覚リハ大会 スタッフ 大会長 田中徹二(日本点字図書館理事長) 副大会長 金子敏夫(川崎市眼科医会 会長)、 杉山雅章(川崎市視覚障害者情報文化センター センター長) <実行委員会メンバー> ○外部委員 ・中野泰志(慶応義塾大学経済学部) ・元木章博(鶴見大学文学部) ・舩橋光俊(特定非営利活動法人 川崎市視覚障害者福祉協会 副会長) ・鈴木孝幸 特定非営利活動法人 神奈川県視覚障害者福祉協会 理事長 ・吉野由美子(視覚障害リハビリテーション協会 会長) ・仲泊聡 (理化学研究所) ・田中桂子(神戸先端医療センター) ・加美山慎一(フリー) ・道面由利香(横浜訓盲院) ○内部委員 ・川崎市視覚障害者情報文化センター 中村透、島田延明、他 ・日本点字図書館 渡辺明、他 後援 川崎市、特定非営利活動法人 川崎市視覚障害者福祉協会、特定非営利活動法人 神奈川県視覚障害者福祉協会、日本ロービジョン学会、神奈川県眼科医会