川崎アイeyeセンター
メールマガジン『アイeye』

第262号

2026年6月25日 発行
発行責任者 稲垣直子


目次

目次ここまで


1 ニュース&トピックス

(1) 「音声解説付きDVD映画の体験上映会」のご案内

 7月は、日本のアニメ映画「コクリコ坂から」を上映いたします。

日時
7月25日(土曜日) 13時30分から(1時間31分)
定員
46名・予約制(定員を超えた場合、市外の方は抽選となります。)
締め切り
7月10日(金曜日)17時
作品情報
高度経済成長期の1963年、横浜。港を見下ろす家「コクリコ荘」で下宿人たちの世話をしながら学校生活を送っている高校生の松崎海。ある日、新聞部の風間俊と出会い、古い部室棟「カルチェラタン」を取り壊しから守るための活動に関わるようになっていく。青春の揺れる想いと家族の絆を描いた心温まる物語。
監督
宮崎 吾朗
製作
星野 康二
原作
高橋 千鶴、佐山 哲郎
音楽
武部 聡志
声の出演
長澤 まさみ、岡田 准一、竹下 景子、石田 ゆり子 ほか

2 スタッフルームから/「あと少しの距離」

 事務担当の金子です。約6年前のことになりますが、ある朝、実家の庭に小さな猫が3匹、ひょっこりと現れました。どうやら誰かが置いていったらしい。家族はそれを拒むこともなく、エサや水、毛布など、お世話グッズが少しずつ増えていきました。それから時が流れ、3匹のうち2匹はいつの間にか姿を見せなくなりました。残ったのは1匹だけ。今も庭に住み続けています。

 ただ、この1匹との距離が、なかなか縮まりません。気付かれないように忍び足でそっと近づく。あとほんの少しで手が届きそうというところで、驚くほど鋭い勘が働くのか、さささっと素早い動きで物陰に隠れて、こちらをじっと見つめる。その繰り返し。そう、この6年の間に一度も触れたことがないのです。

 それでも、こちらが背を向けて離れると、物陰から出てきて絶妙な距離を保ったまま、あとからついてくる。歩みを止めて振り向くと、立ち止まる。何かの遊びのようなやりとりを、今も続けています。

 この猫は普段、庭の外にはあまり出ないようですが、朝のゴミ出しから戻る途中、一度だけ道路で見かけたことがありました。徐々に近づいて目が合うと、いつものように足早に庭に戻り、こちらを見つめています。さらに近づくと、目を閉じて顔を横に向け、知らん顔。まるで「外になんか出てませんよ」と言っているかのような仕草がとてもおかしくて、思わず笑ってしまいました。しかし、さらに距離を詰めればすぐに隠れてしまいますし、呼びかけに応じる気配も全くありません。

 そんなもどかしささえ感じるこの距離感に、最近少し変化がありました。家の窓を開け放しておくと、中の様子を伺いながら、音もなく室内に忍び込んでくるようになったのです。そして、開いた窓のすぐ近くに座ったり横になったりして、我が家のようにくつろいでいる。しばらくすると静かに庭に戻っていくので、その後ろ姿を見送りながら窓をそっと閉めると、なぜか大きな声で鳴く。「窓閉め反対!」と言わんばかりに。

 人間に触れられるのは断固拒否なのに、どうやら近くにはいたいらしい。外出時に窓の鍵をかけたり、夕方になって雨戸を閉めたりすると、これまた大きな声で鳴く。その一方、すぐそばでこちらが大きな音をたてて作業したり、目の前を行き来したりしていても、まったく動じない。

 手を伸ばせば届きそうで届かない、この「あと少し」の攻防戦は、7年目も続きそうです。


3 本棚を探して/「言葉の架け橋を渡りながら」

 世の中はワールドカップで沸いておりますが、スポーツ観戦はあまりしない貸し出し担当の藤本です。本日は海外著作の図書をご紹介します。どういう選定基準かは最後に説明することにして、4作品をご紹介します。

『あたまをつかった小さなおばあさん』 ホープ・ニューウェル 作/松岡 享子 訳
  点字1巻 デイジー1時間17分

内容
シリーズ化もされている本作は児童文学で短い作品です。あたまをつかって、今日も難題解決?

『人生の段階』 ジュリアン・バーンズ 著/土屋 政雄 訳
  点字2巻 デイジー4時間18分

内容
全3章構成の、最愛の妻を突然喪った作家の痛みに満ちた日々。後半から湿った重さを持つ内容が俗世に浮ついた心を鎮めてくれます。

『サイレンの秘密』(コニー・ライオンハートと神秘の生物 1)
  ジュリア・ゴールディング 作/松岡 佑子、カースティ・祖父江 訳
  点字7巻 デイジー13時間51分

内容
コニー・ライオンハートという名の、動物と意思疎通ができる不思議な力を持つ少女が主人公のファンタジー作品。シリーズ4まで利用できます。

『実は、内向的な人間です』 ナムインスク 著/カンバンファ 訳
  点字2巻 デイジー3時間40分

内容
タイトル通りのエッセイ。人によっては、自分のことをこんなに言い当てるとは、という気持ちになるかも。気に入ったフレーズを見つけるのも、楽しみ方のひとつとなるタイトル。

 今回はすべて「翻訳者」という視点から選んだ4作品です。
 海外作品を読むとき、私たちは翻訳者の言葉を読んでいます。翻訳者が選ぶ作品には確かな傾向があり、それを頼りに本を探すのも面白いものです。本日ご紹介の翻訳者さんは、他にも魅力的なタイトルが揃っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
 さて、あなたの「ブック ワールドカップ」を制する優勝タイトルは、いったいどの作品になるでしょうか。


4 特集「PTR3PLUSがやってきた」

 点訳担当の浦野です。今月からプレクストークの新機種PTR3PLUSが発売になりましたね。センターにもデモ機がやってきましたので、早速レポートします。以下ではPTR3PLUSのことを単にPLUSと呼ぶことにします。
 まず本体を触った感じは、前モデルPTR3と変わりません。それでは区別がつかないので、今回のモデルはプラスのマークが浮き出し文字で付いています。このマークは本体左上、電源ボタンの上側にあります。ちなみに色は、PTR3が青系の側面だったのに対して、PLUSはグレー系になったそうです。
 外面的には大きな変更がないPLUSですが、機能面ではいくつかの追加があります。今回はそのうちの3つを紹介します。

  1. 男性音の追加
     プレクストークの操作ガイドやテキスト・デイジーを読み上げる音声は、これまで女性の声のみでした。PLUSでは男性の声が追加され、好きな方を選ぶことができます。
     試しに男性音を選択してテキスト・デイジーを聞いてみましたが、落ち着いた声で安心して聞けました。これは私の好みの問題かもしれませんが。
  2. ラジコの再生機能
     これまでラジコの再生機能はオプション扱いで、追加料金が必要でした。しかし、PLUSではこの機能が標準搭載になりました。ラジオファンにはうれしい機能ですね。
     タイトルキーを押していくと、サピエ、内蔵メモリ、SDカードなどを切り替えられますが、その選択肢の1つにインターネットラジオがあります。これを選ぶとラジコの番組表になり、左右送り(4、6キー)で放送局と番組名を読み上げます。聞きたい番組で再生・停止キーを押すと、放送を聞くことができます。
     なお、ラジコのエリアフリーには対応していますが、タイムフリーには対応していません。ご注意ください。
  3. iPhoneとの連携機能
     ネット閲覧室の情報を、iPhone用アプリ「プレクストークリーダー」と共有できるようになりました。この機能を利用するためには、iPhoneにプレクストークリーダーをインストールし、PLUSとの連携設定をする必要があります。
     連携設定をしておけば、PLUSで聞いた図書の続きをiPhoneで聞くことができます。
     また、PLUSとiPhoneが自宅内の同一ネットワークにつながっている場合、PLUSの内蔵メモリも共有することができます(CDやSDカードは共有されません)。この機能を使うには、コンテンツ共有モードを実行します。さらにiPhone側で同期操作をすると、PLUSの内蔵メモリ内の図書がiPhoneにもコピーされます。
     なお、プレクストークリーダーはiPhone専用のアプリで、Android版はありません。PLUSユーザーは6年間無料で利用できますが、それ以外の方は月額500円です。

 今回はPTR3PLUSについてレポートしました。スマホとの連携が強化されましたが、これまで通りCDやSDカードに入れた図書を再生するだけという使い方も可能です。買い替えをご検討の方は、当センターまでご相談ください。


5 編集後記

 サッカーのワールドカップが始まりました。ラジオでは文化放送が日本戦を中継していますよ。第3戦は26日(金曜日)午前7時40分からです。もちろんラジコでも聴取可能です。

メールマガジン『アイeye』 編集委員 浦野盛光


発行:川崎市視覚障害者情報文化センター(川崎アイeyeセンター)
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