川崎アイeyeセンター
メールマガジン『アイeye』

第220号

2024年9月25日 発行
発行責任者 杉山雅章


目次

目次ここまで


1 ニュース&トピックス

(1) 「音声解説付きDVD映画の体験上映会」のご案内

 10月は、アメリカ映画「メリー・ポピンズ」を上映いたします。

日時
10月26日(土曜日) 13時30分から(2時間19分)
定員
46名・予約制(定員を超えた場合、市外の方は抽選となります。)
締め切り
10月11日(金曜日)17時
作品情報
ロンドンに住むバンクス氏は、子どもたちのために“厳しい乳母”を捜していたが、“優しくて若くて美人で親切”な乳母を求める子どもたちの願いが届き、ある朝、パラソルを開いた女性が風に乗って現れる。彼女の名はメリー・ポピンズ。しかし、いつも気難しいバンクス氏はメリー・ポピンズをよく思っていない。メリー・ポピンズは、バンクス氏の心を見事にほぐすことができるのか?
監督
ロバート・スティーブンソン
出演
ハーミオン・バドレー、ジュリー・アンドリュース ほか

(2) 第2回 新川橋視機能支援セミナー「視る見るサポート」のご案内

 総合新川橋病院と当センターは「ビジョンサポート川崎」の活動を通じて、見えづらくなった患者様がセンターの支援につながるよう連携しています。本セミナーでは、ロービジョンケアを必要とする患者様やご家族様を対象に、生活に必要な支援情報をお伝えし、機器の体験会をおこないます。予約不要・無料で、どなたでもご参加いただけます。

日時
10月26日(土曜日)13時30分から15時まで
場所
総合新川橋病院(正面玄関入って奥のオープンスペース)
電話
044-222-2111
プログラム
13時30分 「ロービジョンケアってなあに?ビジョンサポート川崎の活動」視覚障害をもつ患者様に関わる多職種の座談会です。
14時30分 最新の支援機器やゲーム、便利グッズの紹介・体験会
協力
「レティッサオンハンド」のQDレーザ、バリアフリーeスポーツのePARA、「音戦宅球」のタニーズ

2 スタッフルームから/「あれからもう3年」

 訓練担当の石川です。

 フランスのパリでつい先日まで開催されたオリンピックとパラリンピックは、日本選手の活躍も毎日話題になりましたね。この機会に、スポーツが大好きなわたしのオリンピック秘話を書いてみようと思います。

 ちょうど3年前の夏、東京オリンピックが開かれていたことは、皆様の記憶にも新しいのではないでしょうか。実は、その東京オリンピックで、わたしは、組織委員会が募集した大会ボランティアに応募し、実際に選ばれて活動をしました。とはいっても、当時の東京は、コロナの流行による緊急事態宣言中。しかも、わたしは、京都市内の高齢者デイサービスで働く身でした。

 「職場としては、許してくれるはずがない」という正論が頭にありながら、心の中では、「自分がチャレンジしてみたいと希望し、選ばれたチャンスを捨てたくない」という強い思いがありました。結局、わたしが出した結論は、職場には一言も言わずに、勤務シフトをやりくりして京都から東京を、10往復するという、精神的にも、体力的にもハードな道でした。友だちにも、離れて暮らす家族にも、一切伝えずに行った大冒険になりました。

 わたしが携わったのは、都内にある事務局本部で、審判やボランティアなどに、スタッフ専用のユニフォームや備品を配布する仕事です。全盲のわたしは、サイズを見分けたり、受け取りにくる人がもっている申し込み用紙の記載を見て案内することはできません。見える方とペアになり、サイズごとに分けられている箱の場所を覚えて、言われたサイズのものを取り出して手渡す作業をひたすら行いました。活動地までの道のりも、宿泊する場所も、すべて自分で調べました。活動中、道中も含め、ボランティアのシャツを着ることで、道を尋ねた人も、介助してくれた駅員さんやホテルのスタッフも、そして、一緒に活動していた仲間も、わたしのチャレンジを支えてくれました。

 10日間活動し、手渡されたのは、10日以上活動した人がもらえる金色のバッジでした。それが本当に嬉しくて、自分にとっての金メダルだと感じました。

 幼い頃から、なぜだか主役である選手より、裏方の仕事にあこがれ、選手を支える立場になりたいという夢を持ち続けているわたしにとって、この経験は、一生の宝物です。今の仕事と両立しながら、今後さらにスポーツ現場での活動を広げていきたいと考えています。


3 本棚を探して/「リドルストーリー」

 貸し出しの庄司です。今回は私が苦手とする小説「リドルストーリー」についてお話しします。これは、物語中に謎が提示され解決は読者に委ねるというものです。例えばストックトン著『女か虎か?』。ある国の身分の低い若者が王女と恋をした。それを怒った国王はその国独自の処刑方法「二者択一」で若者を罰することにした。ひとつの扉の向こうには餓えた虎がおり、それを選べば若者は食い殺される。もうひとつの扉の向こうには美女がいて、若者はその美女と結婚することが出来る。扉を選ぶのは、禁断の恋をした王女。若者が殺されるのも嫌だが別な美女と結婚されるのも嫌。悩んだ王女が最終的に選んだ扉は果たしてどちらか?というところで物語は終わります。

 日本にもこの手の小説はたくさんあります。芥川龍之介の著作『藪の中』も、このジャンルです。あさのあつこ著『バッテリー』は野球をテーマにした青春小説ですが、ライバルとの試合の場面、最後の一球を投げたところで物語は終了。この結末が知りたければ番外編の『ラスト・イニング』もお読みください。

 私が苦手なものをお勧めするのもどうかと思いましたが、読んでみたいという方のために、2作をご紹介します。

■『特別料理 異色作家短篇集 11』 スタンリイ・エリン 著
 点字5巻 デイジー9時間53分

内容
そのレストランで供される料理の秘密とは…。表題作ほか、あなたの身辺に思わぬ形で潜む、恐怖の影を描き出す全10編。リドルストーリー『決断の時』を収録。

■『完全なる首長竜の日』 乾 緑郎 著
 点字4巻 デイジー8時間10分

内容
自殺未遂により昏睡状態となった弟と、最新医療機器により交信する、人気少女漫画家の姉。彼女は現実と仮想の世界を行き来し、いつしか記憶の迷宮に入りこむ。

4 交流ひろば/「スポーツの秋は新たな体験で!」

 読者の皆様からの情報を紹介するこのコーナー。今回は高津区のMさんからの投稿です。

 5月に横浜ラポールでGoogleが主催するプロジェクトガイドライン走行会を体験してきました。

 これは視覚障がいのある人が、Google AIの力で一人で自由に走ることを可能にすることを目指すGoogleの研究開発プロジェクトです。腰にベルトで固定したスマホのカメラで地面についた紫色の線をAIが認識。自分の位置よりも左か右か中央かを瞬時に判断し、身体が線の中央に位置するように骨伝導ヘッドフォンから聞こえる左右の木魚に似た音を中央に感じるように調整しながら進みます。左カーブに差し掛かると左から異なる面白いシュンシュン音が聞こえ、その音が止まるまで左カーブで進みます。また、コースを外れた場合は警告音が徐々に大きくなり、危険になるとSTOPで知らせてくれます。

 まずは音の違いを確認しながらゆっくり進み、慣れたら好きな速度で一人でトラックを走行です!走ることが苦手な私でも、まるで体感ゲームのようで左右の腕も自由に振って進める開放感が気持ちよく、楽しく面白い体験でした。もちろんGoogleの担当者がマンツーマンで斜め後ろからフォローしてくれるので安心です。

 このシステムを利用するには紫色の線が必要なのですが、現時点ではどこにでもあるというわけにはいきません。空間に浮かぶ仮想キーボードなど、少し前まで想像もしなかった世界がすぐそこという今日この頃、最先端技術で見えなくても両手を振って一人で歩ける未来への一歩を体験してみてはいかがでしょうか?

■編集部より

 横浜ラポールでの体験会については、ラポール For Simileをご覧ください。
 また、YouTubeにて説明動画をご視聴いただけます。


5 編集後記

 情報をお寄せいただいたMさん、ありがとうございました。本誌では、皆様からの投稿をお待ちしております。

メールマガジン『アイeye』 編集委員 浦野盛光


発行:川崎市視覚障害者情報文化センター(川崎アイeyeセンター)
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