川崎アイeyeセンター
メールマガジン『アイeye』

第204号

2024年1月25日 発行
発行責任者 杉山雅章


目次

目次ここまで


1 ニュース&トピックス

(1) 「音声解説付きDVD映画の体験上映会」のご案内

 2月は、日本映画「きこえなかったあの日」を上映いたします。

日時
2月16日(金曜日)・17日(土曜日) 13時30分から(1時間56分)
定員
30名・予約制
作品情報
「珈琲とエンピツ」、「友達やめた。」の今村彩子監督によるドキュメンタリー映画。東日本大震災直後に宮城を訪れた今村監督が抱いたのは「耳のきこえない人たちが置かれている状況を知ってほしい」という痛切な思いだった。あれから10年。聴覚障害者への情報保障には、手話言語条例の制定や知事会見の手話通訳など、これまで見られなかった新しい動きが生まれた。今村監督はこれらをカメラに収めつつ、熊本地震や西日本豪雨、新型コロナウイルス蔓延などに直面するろう者の思いに触れ続けた。みんなが安心して暮らせるその日まで…本作は、今村監督がみつめた、聴覚障害者と災害、その10年の記録である。
監督・撮影・編集
今村 彩子
映像提供
目で聴くテレビ

2 スタッフルームから/「口座管理いまむかし」

 点訳担当の浦野です。本紙で読者の声を募集した際、口座管理について取り上げてほしいという声がありましたね。それをきっかけに自分の場合を思い出してみました。今回は私の成長と口座管理の記録です。そして、コーナー枠を拡大してお届けします。

■中学生時代~点字付きキャッシュカード

 私が最初に自分管理の口座を持ったのは、中学生の時です。当時の私は実家を離れ、盲学校の寄宿舎で暮らしていました。お小遣いは郵便貯金への入金で、それを自分で引き出すのです。
 「訓練担当コラム」でも取り上げられていましたが、ゆうちょには点字付きのキャッシュカードがあります。これをATMに差し込むと音声案内付きになり、残高は点字ディスプレイに表示されます。ですから、口座の残高はわかるのですが、履歴をさかのぼって見ることができません。もっとも、当時の私の口座はシンプルです。入金は実家からの仕送りのみ、出金は自分が引き出した分だけ。自動引き落としの設定もありませんので、特に不自由は感じていませんでした。
 このサービス、もちろん今でも健在です。点字が読めない方は、ATM設置の受話器で残高を確認することもできます。音声ガイド付きのATM操作は、大手都市銀行やセブン銀行(後述)のATMでも可能です。

■初めての一人暮らし~テレホンバンキングの利用

 盲学校の寄宿舎を出て一人暮らしを始めると、口座の入出金が増えました。家賃は両親が負担してくれていましたが、光熱費や電話代は自分で払っていました。これらは口座から自動引き落としになっていますので、入出金履歴を確認したくなります。当時の私はさくら銀行(現・三井住友銀行)を利用していましたが、テレホンバンキングのサービスがありました。フリーダイヤルで電話し、支店番号、口座番号、キャッシュカードの暗証番号を入力します。すると、残高照会や入出金の履歴が確認できます。しかし、履歴は3件までしか確認できなかったと記憶しています。ですから、こまめに電話をかける必要がありました。
 調べてみると、このサービスも健在のようです。利用者も減っているだろうと思いますが、今でも使えることを知り懐かしくなりました。

■インターネットバンキング時代

 その後、インターネットバンキングを使うようになりました。その頃には家賃も自分で振り込むようになりましたから、大変便利に使っていました。入出金履歴も前月1日までさかのぼれますし、振り込みもできます。音声ガイド付きATMでは振り込みができませんので、大変有効です。なお、振り込みの際は、あらかじめ決められたパスワードの入力を求められました。
 当然ながら、インターネットバンキングは今でも利用できます。ただし、振り込みの際のパスワードは廃止され、スマホのアプリに表示されるワンタイムパスワードを入力する方式になっています。スマホを持っていない方にはかえって不便になってしまいました。
 とはいえ、通帳の存在をまったく無視しているわけではありません。インターネットで履歴を確認しつつも、通帳の記帳だけは定期的に行います。音声ガイド機能の付いたATMなら、単独で記帳が可能です。ただし、問題が一つあります。どのページを開いてATMに差し込むかということです。用紙の表面を触れば、印字圧からどこまで書かれているか判断することができます。しかし、これはちょっと頼りない。私は毎回しおりをはさむことにしています。

■スマホアプリ時代

 現在はスマホアプリでインターネットバンキングを利用しています。スマホアプリでは、指紋認証などで口座にログインできます。ワンタイムパスワードもアプリ内に表示されるため、入力不要になる場合もあります。気軽にいつでも口座管理ができるのは、大変便利です。スマホを使いこなせるようになったら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
 そして、通帳のないインターネット専用銀行を利用するようにもなりました。期間を指定して、入出金明細をダウンロードすることができます。ネット専用銀行ならではの特典もいろいろあり、段々とこちらがメインになりつつあります。
 その特典の一つに、給与や年金を定期的に受け取ると、他行への振り込みやコンビニATM手数料が無料になるというサービスがあります。皆様はセブンイレブンのATMを利用したことはあるでしょうか。音声ガイド付きで多くの金融機関のキャッシュカードが利用できます。上記の特典を得ると、このATMが無料で使えてとても便利です。もっとも、世はキャッシュレス時代。ATMからお金を引き出す機会も減ってしまいましたが。

■おわりに

 読者の声をきっかけに、昔を懐かしみつつ原稿を書かせていただきました。お楽しみいただけたでしょうか。また、皆様の工夫もお聞かせいただければ幸いです。


3 本棚を探して/「声と糸」

 音訳・音声ガイド担当の橋口です。
 布団から出るのが辛い日々が続きますね。この記事を書いているのは、休み終わりの1月22日のこと。体が休日モードで頭があまり働いていませんが、編集委員の浦野より催促を受けている身ですので、粛々と執筆を進めることにします。
 さて今回の本ですが、能登半島地震が発生したこのタイミングでご紹介していいのか、正直悩みました。ただ音訳者やデイジー編集者が口をそろえて「おもしろかった!」と言うので、皆様にもぜひご紹介しつつ、私も読んでみようと思った次第です。その本がこちら!

■『アリアドネの声』井上 真偽 著
 デイジー7時間16分 点字製作中

 内容をご紹介しますね。兄を事故で亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから災害救助用ドローンを製作するベンチャー企業に就職。業務で障害者支援都市「WANOKUNI」を訪れますが、そこで巨大地震に巻き込まれます。ほとんどの人間が避難したものの、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されたことが判明しました。彼女は「見えない、聞こえない、話せない」という障害を抱えながらも、街のアイドルとして活動する中川博美でした。崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。タイムリミットが迫る中、ハルオは一台のドローンを使って、中川をシェルターへ誘導するというミッションに挑みます。無音の闇を彷徨う要救助者の女性と、過去に囚われた青年。二人の暗闇に光は射すのでしょうかー。「このミステリーがすごい!2024年版」で5位に輝いた話題作です!
 なお『アリアドネの声』というタイトルは、ギリシャ神話の「アリアドネの糸」がベースになっています。ミノタウロスの話ですね。転じて困難な状況を打開する意味で使用されるそうです。糸でも声でも、それがどれだけささやかなものであったとしても、必要としている誰かにつながってほしいなと、いつもそう思いながら仕事をしています。


4 編集後記

 昨年12月の号外をきっかけに、とても長いコラムを書いてしまいました。皆様の参考になれば幸いです。ほかにもご要望をいただいておりますので、少しずつにはなりますが、お応えしていきたいと思います。
 今年も読者のお声に応えられるメールマガジンを目指したい。そう決意を固めつつ、204号をお届けします。

メールマガジン『アイeye』 編集委員 浦野盛光


発行:川崎市視覚障害者情報文化センター(川崎アイeyeセンター)
住所:郵便番号 210‐0026  川崎市川崎区堤根34番地15
電話:044-222-1611
ファクス :044-222-8105
メールアドレス:kawasaki-icc@kawasaki-icc.jp
公式ウェブサイト:http://www.kawasaki-icc.jp/


メールマガジンは ここまでで終わりです。


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