川崎アイeyeセンター
メールマガジン『アイeye』

第194号

2023年8月25日 発行
発行責任者 杉山雅章


目次

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1 ニュース&トピックス

(1) 「音声解説付きDVD映画の体験上映会」のご案内

 8月は、日本映画「オリヲン座からの招待状」を上映いたします。

日時
9月29日(金曜日)・30日(土曜日) 13時30分から(1時間56分)
定員
30名・予約制
作品情報
昭和30年代の京都・西陣。映画館「オリヲン座」の館主である松蔵は病に倒れ、やがてこの世を去る。松蔵の妻・トヨは、彼の弟子であった留吉とともに映画館を引き継ぐことを決意するが、やがて映画産業自体が傾きはじめる…。寂れていく映画館を舞台に、貧困にあえぎながらも健気に支え合ってフィルムをかけ続ける2人と、常連の少年少女とのささやかな交流が、ジャズアーティスト・上原ひろみの優しい旋律にのって描かれる。
監督
三枝 健起
出演
宮沢 りえ、加瀬 亮、宇崎 竜童 ほか

(2) 南武支線に新しい車両が導入

 9月13日(水曜日)より、尻手駅から浜川崎駅間の南武支線に新しい車両(E127系)が導入されます。新しい車両は省電力で運行できるそうで、現在の車両(205系)としばらく混在します。どちらも2両編成で運行しますが、利用の際に異なるのはドアの数です。現行の205系は1両あたり4ドアですが、新しいE127系は3ドアです。車両前後のドア位置は変更ありませんが、中ほどの2つが1つになります。どちらの車両が運行されるかは、あらかじめ決まっていないとのこと。乗降位置がこれまでと変更になる場合がありますので、ご注意ください。


2 スタッフルームから/「巨人・大鵬・卵焼き」

センター長 杉山雅章

 私の小・中学生の時代は、プロ野球は巨人軍が9連覇へ向かう巨人全盛の時代。子供たちの多くは、漫画では「巨人の星」を読み、王、長嶋のいる巨人ファンで、私も同様でした。特に阪神との首位攻防線は楽しみで、その日も父とラジオを聞いていました。阪神のピッチャーは江夏。8回まで0点に抑えられ、2対0で負けています。そして9回。2アウトでランナーが2人。そして王が打席に。それまで3打席3三振。2ストライクまで追い込まれ、このままシャットアウト負けと思っていた時、次の一球をライトスタンドへ。劇的な逆転ホームランです。ラジオから聞こえてくる大歓声。父の喜ぶ顔。私も「やった~」と喜びながら、何か、心の中に感じるものがありました…。「でも、これじゃ、江夏があまりに可哀そう。」よく考えてみると阪神は、ここぞという所で負けていて2位ばかり…。それから阪神を応援することにしました。

 また、相撲も大鵬が全盛時代。ライバル柏戸との千秋楽の優勝決定戦という大一番で、よく大鵬が優勝する場面をみたことから、柏戸のファンになりました。このように、1番ではなく2番を応援するという思考が小・中学校の時に出来上がりました。ここから、その後のスポーツ応援苦難の道がはじまります。中学の時から応援していた阪神は、中々優勝できません。高校、大学を卒業し、就職した年の1985年。あのバース・掛布・岡田の時に21年振りの優勝をしました。私が応援して14年目でした。また、Jリーグでは川崎フロンターレが、よく優勝を逃していました。2009年までに、Jリーグ準優勝3回、Jリーグカップ準優勝2回と、一度も優勝していません。これも私好みのチームです。応援することにしました。応援を始めてから8年目の2017年、最終戦で首位鹿島に得失点差で逆転優勝するという劇的な初優勝を成し遂げました。クラブ創設21年目とのこと。これも嬉しかったです。優勝パレードにも行きました。

 考えてみれば、もっと素直に強いチームを応援すれば、もっと楽しい時が多かったはず。一ポイント差、一勝の差で優勝できない。そんな苦しい、つらい思いをしなくて済んだはず…。

 でも、一方で優勝できた時の嬉しさ。積年の思いが晴れた喜びは格別です。阪神の優勝目前の時、インタビューに答えていたおじいさんが「本当に阪神は優勝するんだよね、ほんとだよね?」とインタビュアーに逆に聞いていました。後一歩の悔しさを味わってきた人ならではの言葉に、とても共感したのを覚えています。

 フロンターレ優勝の時のパレードで、中村憲剛を見守るサポータの大きな歓声の中で、暖かい涙を共感できたことも何よりの喜びでした。この喜びを味わうために応援しているのです。安易に強いチームを応援しない。これは、私の生きる道であります。


3 本棚を探して/「卵を立てる」

 音訳担当の橋口です。あまりにネタがないので困って、我が部屋の小さな本棚の前に座り込んでいます。置き場に困るので、本を買っても捨てることが多い私ですが、気に入った本についてはこっそりと保管し、主と一緒に歳をとってもらうようにしています。
 さて悩んだ末ではありますが、今回は加納朋子さんの『掌の中の小鳥』をご紹介します。

『掌(て)の中の小鳥』 加納 朋子 著
点字5巻 デイジー8時間10分

 もともと推理小説が好きで、綾辻行人さん・法月綸太郎さんなど新本格派と呼ばれた作家にはじまり、変化球でメフィスト賞受賞作を読み漁っていた時期があります。ただ、人が謎解きの材料のために殺されてしまう展開にげんなりしてしまい、癒しを求めて手に取ったのが加納朋子さんでした。人が死なない謎解きをお求めでしたら手に取ってみるのもいいかもしれません。

 この『掌の中の小鳥』はエッグ・スタンドというバーを舞台に、紗英と僕が繰り広げる謎解きに恋模様という、私のような中年オヤジがオススメするには何ともかわいらしく甘酸っぱい小説です。テーマは、叶わなかった夢、かな?初版は1995年ですが、とにかくヒロインの紗英が今時でとてもいきいきしていて楽しい!さすが著者の加納さん曰く、「自分が男だったら絶対に惚れる女の子」です。子どもの頃は少年のような見てくれで将来は相撲取りになりたくて、でも成長するにつれて自分が女だから無理だと悟り、それで大人になったものの理不尽なことに異を唱えずにはいられないまっすぐさが眩しい子です。

 本作の中ではさまざまな謎が登場しますが、「妊婦さんを部屋ごと消すトリック」は見事でした。今でも衝撃を忘れません。ちなみにエッグ・スタンドはそのまんま「卵立て」のこと。かのコロンブスのエピソードがベースになっていますが、加納エッセンスを盛り込んで別解釈になって登場します。少しだけ引用して、締めの言葉に代えたいと思います。皆様に優しい読書のひと時が訪れますように。

 「何かになりたかった人。何かになれなかった人。どんなに努力しても、どんなに望んでも、卵を立てることができなかった人たち。たとえインチキでも、エッグ・スタンドで卵を立てられるなら、それで幸福が得られるなら、それはそれで正しいのかもしれない。(中略)みんなに行き渡るだけの幸福があるのなら、その方がいいに決まっているのだ」


4 「UDCast体験上映会」好評のうちに終了

 8月19日、UDCast体験上映会が開催されました。近年、日本映画の多くが、音声ガイド付きでどの映画館でも楽しめるようになりました。そのためにはスマホアプリUDCastなどを利用する必要があります。皆様にも街の映画館で新作を楽しめる喜びを知ってほしい、そんな思いで音声ガイド担当の橋口が腕によりをかけて実施した企画です。

 この上映会の特徴は、参加者全員がスマホを持って参加するということ。映画の音声に埋め込まれた信号をスマホのマイクが検知することで、音声ガイドがスマホから流れ始めます。そのため、参加者全員がスマホの操作をし、その信号を拾わないと上映会は成立しません。ですから、上映前にはスマホ操作を練習するリハーサルの時間が設けられました。うまく動作しない方のところにはスタッフが駆け付け、操作のお手伝いをします。そうして実際の上映が始まりました。

 今回の作品は「コーヒーが冷めないうちに」。「4回泣けます」というキャッチコピーのとおり、途中から涙が止まらなくなる、そんな映画でした。皆様にもご好評をいただいたようです。

 今回の体験上映会をきっかけに、皆様にとって映画館が、身近な場所、安心して足を運べる場所になれば幸いです。


5 編集後記

 あまりの暑さに休日は出かける気になれず、自宅で高校野球を聞いています。久しぶりの高校野球観戦ですが、投手の継投が増えましたね。そして、先発投手が降板後守備につき、その後再び登板という場面を何度か見かけました。これも時代の変化でしょうか。

メールマガジン『アイeye』 編集委員 浦野盛光


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