2023年7月25日 発行
発行責任者 杉山雅章
目次ここまで
図書整理日等に伴ない、8月11日(金曜日)から15日(火曜日)までを休館といたします。16日(水曜日)から平常通り開館です。利用者の皆様にはご迷惑をお掛けしますが、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
8月は、日本のアニメーション映画「虹色ほたる」を上映いたします。
上映会の年間パンフレット点字版・デイジー版が完成しました。ご希望の方はセンターまでお申し込みください。
皆様お待ちかね、8月のカルッツかわさき大体育室で開催されると言えば、プロレスリング・ノアのイベント。「ABEMA presents N-1 VICTORY 2023」です。
リング上の動きと技を、映画音声ガイドの名ナレーター・壇鼓太郎、鈴木橙輔 両氏が熱狂中継する音声解説付きのライブイベントとなっております。熱気溢れる会場で、レスラーのぶつかり合う音、叫び声と共に、FMラジオを通して実況を聞いていただきます。
今回も菊地眼科クリニック、株式会社中原屋、ひまわり交通など、川崎市内の企業によるご厚意でご招待いたします。川崎市出身のプロレスラー・大原はじめ選手からも「プロレスを楽しむ事はもちろん、皆様のお出かけの機会、仲間との交流の場になり、夏の楽しい一日になったらいいなと思っています!」とメッセージをいただいています。
ここ数年封印されていた声援も、今年は解禁!ということですので、大盛り上がり間違いなし!どうぞ、奮ってご参加ください。
ご希望の方は電話またはメールで、8月9日(水曜日)17時までにセンターにお申し込みください。応募者多数の場合は抽選。結果は当落に関わらずご連絡します。
なお、音声解説を聴くにはFMラジオが必要です。ご自身でお持ちの方は、ラジオとイヤホンをご持参ください。
今年の世界網膜の日は横浜で開催します。第27回JRPS研究助成授与式にて網膜色素変性症研究者への助成金贈呈と研究発表を行います。最新の治療法研究への取り組みを聞くことができます。また、午前中は情報を得ることができず孤立してしまう患者さんが後を絶たない現状について、患者、眼科医、行政、支援者によるパネルディスカッションを行います。
患者、ご家族、医療・福祉関係者、支援者の皆様のご来場をお待ちしています。
https://www.youtube.com/watch?v=RcFPwi5gY6s
原田正純『水俣病』(岩波新書、1972年)は、治すことができない水俣病患者の傍に寄り添い続け、医学とは人間とは何か、向き合い続けた医師が50年前に書いた本である。私、澤村は、知っておかねばならない水俣病の入門書と思って、大学時代に一度読んでいる。当時の私は正義感メラメラだったため、水俣病加害企業に対する怒りが脊髄反射的に沸き上がった。許しがたい強者と水俣病患者の弱さ、不条理なこの社会に対する強い憤りがただただ残ったことを覚えている。
生前の原田先生に私は何度かお目にかかることができたが、本から伝わる熱量はどこへやら、常に穏やかな笑顔を浮かべておられた印象が強い。先生の周囲にいた方からエピソードを伺うこともあった。身体の苦しみだけでなく、貧困の極み、差別の只中にあった患者やその家族が大変な思いをしながら集団の検診場所まで来ていることを原田先生が聞くと、じゃあ自分が患者宅に足を運べばいいんだと言ってそうし始めたとか、(水俣病に関わっているから熊本大学の教授になれなかったと言われていたが)先生は「助教授の方が忙しくないからいいんだよ」と笑っていたとか。患者さんたちは「水俣病になってしまったことは本当に不運で辛く悲しいけれど、水俣病になってよかったことは原田先生と出会えたことだ」と。原田先生は、私のいる世界からはるか彼方の雲の上におられる神様のような存在であった。
最近、20数年ぶりにこの本を読み直してみようと思い立った。読んで驚いたのは、大変畏れ多くおこがましいことではあるが、先生の眼差しが自分とそう遠くないところにあると感じたことである。50年前に先生が書かれた文章は、時計の針を合わせるようにピタッと重なった感覚を幾度か私にもたらした。原田先生は決して神様ではなく、1人の生身の人間として目の前の患者さんお一人お一人と真剣に向き合ってこられたということ。そして、先生自身が手探りで患者さんを取り巻く厳しい現実と闘ってこられたこと、そこに私が目を向けられたのだろうか。
もちろん、今も怒りが消えたわけではない。同じことを繰り返さないための不断の営みを微力ながら受け継ぐことが、自分なりの怒りとの折り合いのつけ方だと思っている。
今後の楽しみは、私が定年を迎える頃にまたこの本を読むことである。楽しみだと思えるような20年後の私自身と、この社会であったらいいな。
点訳担当の浦野です。当センターで製作した点字・録音図書は「サピエ図書館」にデータをアップロードしますが、1つの本を製作するのは全国で1施設のみというルールがあります。これは、全国の施設・団体が分担して、なるべく多くの図書を製作しようという趣旨から生まれたものですが、人気作家の新刊は先に手を挙げた施設が製作できるということになります。しかし、人気作家の新刊情報をいち早く入手して手を挙げるのはなかなか大変です。
今回は当センターが点字図書を製作できた人気作家の図書を取り上げます。
内容:2022年、北方領土の日本・中国・ロシア合弁会社で日本人が殺された。捜査権がなく、武器も持てない土地で、ロシア系クォーターの警視庁潜入捜査官が、単身事件を追うハードボイルドミステリー。
コメント:皆様ご存じのハードボイルドの名手ですね。
内容:毎晩8時に家具や電灯が揺れる家。そこに暮らす怪しい人々が隠しているものとは。深夜に火の玉を見た少女の悪い予感が当たってしまい…。不可思議な事件を天才科学者が解き明かす、4つの短編を収録。
コメント:本書はジュニア版なので、競争が激しくなかったのかもしれません。続編も製作中です。
内容:出会うはずのなかった4つの日常が、ある夏の日、突然踏み込んできた暴漢と、森の中を逃げ惑う姉妹によって、繋げられていく。それは最悪の事態を引き起こす引き金だった…。
コメント:姫川玲子シリーズでおなじみの作家さんです。続編の『アクトレス』もありますよ。
今年もプロレスの季節が近づいてきました。観客の声援はスポーツ観戦の大きな要素ですね。きっとここ数年とは違った雰囲気を楽しめることでしょう。
メールマガジン『アイeye』 編集委員 浦野盛光
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