2021年8月25日(水曜日)発行
発行責任者 杉山雅章
目次ここまで
神奈川県に対する緊急事態宣言が、9月12日まで延長されました。当センターでは、引き続き以下の通り対応します。
センターでは対面で行っている用具の購入・修理および訓練などのサービス提供の可否を、ご利用になる方の緊急度や必要度に応じて判断させていただきます。詳しくは各担当にご相談ください。
なお、お電話での問い合わせ、図書の貸し出しについては、平常通り受け付けております。
次に、各イベントについてお知らせします。
9月4日に予定していました「れきおんクラブ」は中止させていただきます。
8月27・28日に予定していました「音声解説付きDVD映画の体験上映会」は中止しております。9月24・25日については開催予定ですが、今後の状況によっては中止させていただくことがあります。
9月18日のヨガ教室は開催予定ですが、状況によりオンラインクラスのみの開催とさせていただくことがあります。
なお、イベントが中止になった場合、ご予約いただいている皆様には、個別に連絡を差し上げます。
皆様、お元気ですか。総務担当の安藤です。
この原稿を書いている3日前に母が亡くなりました。昨今の感染症の騒ぎのせいで、この一年半近く、施設に入っていた母に、自由に会うことも触れることも叶わなくなっていました。時間は残り少ないというのに、いつまでこんな状態が続くのかと苛立つ日々でした。亡くなったことで、ようやく傍らで話しかけることができ、頬や頭をなでてあげられるようになるという皮肉な現実。このどうしようもなく切ない気持ちを、いったいどうしたらいいのかと途方に暮れました。
そんな時、父の時には立ち会えなかった納棺式に、是非立ち会ってくださいと声がかかりました。2人の納棺師が、母の身体を洗い清め、着物を着せ、お化粧を施していくのですが、その都度、私たちが出来ることを少しずつ手伝わせてくれました。顔の水分をタオルで拭ったり、髪を櫛で整えたり。着物を着せ、お化粧を施し口紅をさしてもらうと、最初はクシャクシャだった母の顔が明るくなり、表情も柔らかくなったように見えました。最後に旅の装束を整えていきます。時代劇で見る旅人の装束のそれです。長旅で緩まぬように紐を片結びに結び、草履を入れ、利き腕側に杖を置き、雨や日差しを防ぐための頭にかぶる笠を入れ、三途の川を渡るための六文銭の入った頭陀袋を首にかけました。
すべてが整い、母を棺に納めた時、ちょっとクスッとする出来事がありました。昭和一桁生まれの母は、その歳にしては身長が高い人でした。棺に母を寝かせると、上下に余裕がなくぴったり納まっているのです。それを見て、姉は私に向かって言いました。「もっと身長の高いあなたは入れないわね」と。内心私は思います。「心配いらないわよ、自分が入る頃には、もっと縮んでいるから」と。
ゆっくり時間をかけて、母のために旅支度をしてあげられたことで、何もできなかったと思う気持ちが、少し和らいだように思います。母も、ずっと寂しかったと思うのですが、娘たちに準備を整えてもらって、穏やかに旅立てたらうれしいなと思います。
戦争を経験した、厳しく強い母でした。
訓練の分野で働き始めて今年度は8年目に入る。中でも進学や就職の機会を確実なものにしようと努力しなければならない方、視力低下と共に職を失いかけそうな方などは、自身の収入確保のための手段だと思うほど、切実な訓練と位置付けられる。医師から近い将来視力を頼って生活することが難しくなると宣告された方、もしくは言われる以前に家族や周囲の人達から対策をアドバイスされてセンターを訪れる方も少なくない。
地元の中学校に通っていて、点字を覚え、来たるべく障害受容のために備えようとご相談にこられた親子があった。早速授業の進み方に合わせた訓練スケジュールを組み、週に1、2度点字を覚えるため放課後の時間を惜しんで通所が始まった。更に必ず訓練を継続させるため、どのようなことを実現したいか、本人に聞いてみた。当初、この中学生は受験、進学と点字の結びつきを強く希望されていた。残念ながら点字を用いて特別支援学校以外の一般校に進むということについては、ご本人の創意工夫は元より、その人を支える周囲の方々の結束も大事なこととなり、そのリーダーシップを誰かが取らないと、あなた自身の進学や受験の道は開かれない、そのくらいに考えて積極的に地固めする必要がある、と、自分が学生だった古き時代の様子を極論に置き換え伝えた。本人も、ご家族も、何のことを言われているのかとんちんかんだっただろう。
ともかく、自身が進む方向にひた走る意識を持つべきと、私はプレッシャーをかけながら国語、社会科、数学的知識に関する点字本を読むよう訓練を進め、音読し、単位時間当たり何行何ページの速度で読めているのか、内容を理解しているかを記録し本人にその数値を意識してもらった。更に大変だったのが英語の点字である。教科書に用いる英語点字の表記の改訂が行われ、この方が高校受験をするその年からの採用という最大のハードルとなっていた。
と、ここまで厳しい受験を意識した目標を立ててはみたものの、実際はそうはいかなかった。
点字が読めるようになったが、幸いに活字を読む視力が残った受験生となった。なので、進学コースに近い高校を設定するのかと思ったが、その地域の特別支援学校の高等部へ進むことにしたとのこと。そして、高校の教科書も、活字の物を使うことにしたとのことだった。点字の力量は私も目を見張るほどの上達振りで、本人次第では進学校にだって進めるくらいに達しようとしていたが、本人はその必要性を感じなかったのだろう。まあ、1度は時間との闘いのような経験をしておけば、次回何かにチャレンジする時精神的強みになるのだろうなあと、今後の進路に期待している一例である。
このように、年代やその人の生活背景無くしては訓練の進め方も全くケースバイケースである。ご相談の際、根掘り葉掘りと身の上を探るような質問を、今後もぶつけさせていただくこともあろうかと思う。今後どのような生活や進路を希望されるのか、そのためにどういったスキル獲得が必要なのか一緒に考えていくために、どうぞご協力くださればと願う次第である。
【今野 浩美】
パラリンピックが始まりました。
会期は8月24日(火曜日)から9月5日(日曜日)までの12日間。22競技が行われます。
視覚障害者の競技であるゴールボールやブラインドサッカーはもちろん、陸上、水泳、柔道、自転車などの競技にも視覚障害の選手がたくさん出場します。
また、セーリングのように切断や視覚障害など、違った障害を持つ人がチームを組んで出場するものもあります。
ゴールボールの試合日程は8月25日から9月3日までの10日間。
ブラインドサッカーは8月29日から31日と、9月2日・9月4日の5日間。楽しみですね。
さて、川崎市出身・在住など、川崎市にゆかりのあるアスリートと出場競技をご紹介します。
そのほか、私の注目している選手は、ゴールボールの浦田理恵選手、ブラインドサッカーの黒田智成選手、陸上の道下美里選手、高田千明選手、水泳の木村敬一選手などです。
柔道の廣瀬順子選手・廣瀬悠選手はなんとご夫婦でパラリンピックの出場を果たしています。
熱戦が続く12日間。涼しい部屋で熱く応援しましょう!【庄司】
8月15日、プロレスリング・ノア「KAWASAKI,GO!2021」に行ってきました。音声ガイドを頼りに観戦しながら、投げ技などが決まったときの音も迫力満点。残念ながら、私たちを招待してくださった大原選手は勝てませんでしたが、プロレスの世界を満喫できました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
メールマガジン『アイeye』 編集委員 浦野盛光
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