2016年12月25日(日曜日)発行
発行責任者 小野俊己
目次ここまで
12月29日(木曜日)から1月3日(火曜日)は休館となります。
年始は、1月4日(水曜日)朝9時より通常通り開館いたします。今年も、たくさんのご利用をありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
アイeyeセンターでは今年度も「視覚障害者と支援者のための防災イベント」を開催します。いつ起こるかわからない災害に対して、身を守るためにはふだんの備えしかありません。何をしておくべきなのか、いざ災害時には何ができるのかを考えるきっかけとしていただけたらと思います。
昨年実施して好評だった「出前センター」が今年もやってきます。今回うかがうのは麻生市民館です。録音図書のご案内、図書館登録について、用具・便利グッズの紹介、シネマデイジーなど、アイeyeセンターにこられたことのない方や、地域の皆さんにセンターの活動をご紹介します。お楽しみに。
貸し出し担当の岩渕です。皆さんはどんなクリスマスを過ごしていますか?今年は11月に雪が降り、びっくりしましたね。そうかと思えば、なまあたたかい風が吹いたり変な天気が続いています。体調には十分気をつけてくださいね。
さて、ちょっと早いですが、お正月も過ぎ2月になると実家から、「しもつかれを作るから手伝いに来てね」と声が掛かります。北関東にゆかりのある方なら、何のことがすぐわかるかと思いますが、しもつかれとは北関東地方、主に栃木県方面に分布する伝統の郷土料理です。大量の大根やニンジンをおろし、鮭の頭や酒かす、節分の残りの豆とともにやわらかく煮込むいわば保存食です。
鬼おろしという名前で売られている竹製の器具で、根元から先っぽまでまるまる5、6本ずつ、「硬い~」「手が痛くなった~」と文句を言いながら、母とならんですりおろしていきます。さんまの塩焼きや天つゆに添えられている大根おろしの形状とは違い、粗いみぞれのような感じで、しゃくしゃくとして、みじん切とはまた違った舌ざわりになります。フードプロセッサーでもこの形状はだせません。
実家では砂糖や味噌などの調味料は入れず、鮭の塩気と酒かすの甘みを活かし、母と味見を繰り返しながら、醤油をちょっと入れたりして仕上げていきます。たとえて言うなら粕汁のような、べったら漬けのような味でしょうか……。とにかく大なべ一杯に作ります。地域によっては、何軒か食べ歩くといいという風習もあるようです。
しかし、各家庭で、作り方や分量が違うので味も微妙に異なっており、他人の作ったしもつかれは、口に合わず以前センターに勤めていた栃木出身の方が、「自分ち以外のしもつかれは食べられない」と言っていてなるほどと頷いたものです。好き嫌いの無い我が家の住人も、私と結婚してはじめてこの料理を口にしたのですが、「あまり得意じゃない……」と言って、あまり食べてくれません。
昔、宇都宮の祖父母の家では土間に鍋ごと置いておくと、上の部分がしゃりしゃりと凍り、その部分を器に移してそのまま食べるのが好きでした。今では冷蔵庫で保管するので、このしゃりしゃり感は味わえないですが、温め直したりして、毎食食べ続けてひたすら私だけ消費しています。
新年のご用意はお済みでしょうか?毎年恒例の見やすい白黒反転カレンダー、今年も登場です。
ロービジョンの方やお年寄りに見やすい壁掛け式カレンダー。黒地に白い大きな文字でくっきり見えるとご好評です。見開き1ヶ月、鉄腕アトムの楽しいイラストが毎月ついています。予定を書き込むための白いシールが60枚ついています。
1300円。
本年もご利用いただきありがとうございました。年内は28日まで営業しておりますが、年内にご注文いただいた商品は新年1月4日以降順次発送になります。お届けにお時間がかかりますことご了承ください。
乙女文楽のご紹介
先日、当センターへ川崎市中原区の井田で活動している現代人形劇センターの早川京子さんにご来所いただき、乙女文楽のお話を聴く機会がありました。
乙女文楽とは一般には「人形浄瑠璃文楽」から生まれ、より親しみやすく工夫をこらした伝統人形芝居とのことです。各地で公演が行われ、様々な体験会(ワークショップ)も行われています。
その元となる「文楽」は、一体の人形を三人がかりで遣う「三人遣い」というスタイルで、そのために、細かいしぐさや深い感情表現が可能となって、歌舞伎と人気を奪いあうほどに発展してきました。
これに対し「乙女文楽」は、この文楽の豊かな表現力を、たったひとりの遣い手によって可能にした「ひとり遣い」の形式で、人形の外形はそのままに、構造と遣い方が工夫されています。
乙女文楽はその名のとおり女性が演じるもの。当初は少女たちによって演じられましたが、その成長と時代の変化につれ、戦後は上演機会も少なくなっていきました。その中で近年まで芸の正統を伝えてきたのが、創始者桐竹門造氏の直弟子、桐竹智恵子でした(2008年没)。現代人形劇センターがプロデュースする「人形劇団ひとみ座」においては、女性座員が、桐竹智恵子氏に45年以上にわたり指導を受け、公演実績を積んで今日にいたります。
今回、早川さんが当センターにおいでになったのは、目の見えない、見えにくい人にも、乙女文楽を知っていただくために、どのような工夫や企画ができるのかを検討するためでした。目のご不自由なかたが文楽のワークショップに参加したり公演を見にいくというのも、なかなかハードルが高いもの。でも、今回のように主催者側からどのようにしたらわかりやすいか、ステップを踏んで紹介していったらどうか、などと検討させていただくのはとても良い機会でした。そのうち、センターでも視覚障害者を対象にした小さな文楽ワークショップを開催したり、公演の広報に「視覚障害者歓迎」の文字がつくかもしれませんね。文楽の世界にもバリアフリーの波が来ています。これからの更なる活動が楽しみです。
今回は地元川崎から世界に人形劇を通じて日本の伝統を伝えるみなさんのことをご紹介いたしました。
国立国会図書館収蔵のSPレコードの音源をお楽しみいただく特別企画「れきおんクラブ」、新春第1回は昭和26年1月にNHKラジオで放送された第1回紅白歌合戦を再現してみます。今では大晦日の恒例番組となった紅白歌合戦ですが、第1回から3回まではお正月番組として放送されていました。この第1回の放送リストをもとに、歴音のデータからプログラムを再現してみます。また第2回放送、および前身となった昭和20年大晦日の「紅白歌試合」からも懐かしの名曲をお聞きください。お楽しみに。
今年最後のメールマガジンをお届けしました。お楽しみいただけましたでしょうか。最近、「メルマガ読みましたよ」「メルマガで紹介していたあの商品は」などとお声をかけてくださる方が増えてきました。うれしい限りです。来年も、皆様にお役に立つアイeyeセンターならではのニュースをお届けします。よいお年をお迎えください。
メールマガジン「アイeye」編集長 鳥居秀和
発行:川崎市視覚障害者情報文化センター(アイeyeセンター)
住所:郵便番号 210‐0026 川崎市川崎区堤根34番地15
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