2015年9月25日(木曜日)発行
発行責任者 小野俊己
目次ここまで
本間一夫は日本で最初に点字図書館を作った人です。5歳のころ病気で失明しますが、さまざまな困難を乗り越えて点字図書館を作り、全国の視覚障害の人々に読書の喜びを与え続けました。
本間一夫の生誕から、今年でちょうど100年。これを記念して、センター内に本間一夫に関するさまざまな図書・資料をご紹介するコーナーを設けました。
本間一夫の著書や関連図書のほか、子どもの頃の写真や生家である丸一本間家の模型(ペーパークラフト)などが展示されています。また日本盲人図書館開館時の図書館ニュース創刊号(昭和15年発行)の復刻版、マンガ「本間一夫の生涯」などのリーフレットをお持ち帰りいただけます。
12月末まで、当センターの相談室に展示してあります。イベントやお買い物の帰りに、ぜひお立ち寄りください。
今年も11月1日から3日にかけて、サイトワールドが開催されます。「サイトワールド」とは、年に1回の視覚障害者向けの総合イベント、東京・錦糸町のすみだ産業会館サンライズホール(丸井錦糸町店8・9階)で開かれます。「ふれてみよう!!日常サポートから最先端テクノロジーまで」をスローガンに、講演会、シンポジウム、ワークショップなどの他、日本点字図書館、日本盲人会連合などの団体、シナノケンシ、アメディアなどの企業がそれぞれブースを出し、日常生活用具から最新の福祉機器までを展示、紹介、販売いたします。
詳しくはホームページをご覧ください。
http://www.sight-world.com/index.htm
こんにちは。点字図書の製作を担当している佐藤です。センターには目が見えない職員が二人いるのですが、私はそのうちの一人です。
点字図書の製作と言っても、私が点訳をしているわけではありません。センターではほとんどの工程を大勢のボランティアのかたが支えてくださっているので、私の仕事の中心は、みなさんに気持ちよく、スムーズに、安心して作業していただけるように段取りをすること。相談を受けたり、確認をしたり、勉強会を開いたりするのが中心です。
もうひとつ、点字のプライベートサービスも担当しています。お気に入りのCDの歌詞カード、家電製品の説明書など、個人的な資料の点訳。常に手元においておきたい点字図書の印刷。こんなご希望にお答えしています。皆さんのご利用をお待ちしています。
たまに、視覚障害者の話を聞きたいといってセンターにいらっしゃるかたとお話しする機会もあります。点字のことを勉強しにきてくれた小学生の女の子、見よう見まねで作った「点字指輪」が触って読めるかを聞きにきてくれたジュエリー専門学校の男子学生など、関心を持っていろんな質問をしてくれる方とお話ししていると、とてもうれしい気持ちになります。
そんな中で最近、俳優の中江翼さんとの出会いがありました。「全盲の少年の役を舞台で演じることになったので、いろいろ教えてください」という依頼があって中江さんに会ったのは今年の4月。2時間くらいのお話の中で、相手の声からどんなことを感じるか、家の中ではどうやって動いているか、見えなくてもタバコに火をつけられるかなど、本当にいろんな質問を受けました。
それから4ヵ月後。中江さんが主演の舞台「バタフライは自由」に招待していただいて、もう一人のセンタースタッフと一緒に劇場に行ってきました。一人暮らしを始めた主人公・ドンの部屋の中がメインの舞台で、そこに、隣の部屋の女の子やドンのことを心配してきたお母さんが出たり入ったり。声の動き、足音、ドアの開け閉めなど、本物の舞台ならではの3Dサウンドで、全盲の私でも臨場感たっぷりに楽しめました。4月にお話しした内容もせりふや動作のあちこちに盛り込まれていました。晴眼者から見ても、視覚障害者としてとても自然な演技だったそうです。
点字とはちょっとちがうこんなうれしいお手伝いも、機会があればこれからもしていけたらいいなと思っています。
毎日使う白杖、壊れたり痛んだりするのは当たり前ですね。石突が磨り減って使いづらい、折りたたみ式杖のゴムが伸びた切れた、杖が折れたり曲がってしまった、傷だらけになっている…。
アイeyeセンターでは、用具の販売だけではなく白杖の修理も承っています。お気軽にお持込ください。
今回の「用具の窓」は白杖に便利なグッズのご紹介です。
折りたたみ白杖が折れたときの緊急用補修用キットです。折れた部分を、パイプを縦半分に切った形の金属板2枚ではさみ、補修用の反射テープで巻きつけて固定して使います。
いざというときにかばんの中に入れておかれてはいかがでしょうか?
515円。
※「やつはしくん」は杖が折れたときに一時的な処置に使うものです。折れた杖は、安全のため早めに修理をしてください。
お店での買い物や食事のとき、杖の置き場に困ることがありますね。「ころばぬ杖」は杖に装着し、カウンターやテーブルにちょっと杖を引っ掛けておくことができるようにするものです。装着は簡単、普段は折りたたんで杖に密着していますからじゃまにはなりません。磁石もついているので、鉄の扉や柱に貼り付けて立てかけることもできます。
1030円。
※IDケーンなど細い杖には使用できません。
利用者支援グループ 中村透
メルマガ編集長の映画博士の鳥居氏から“「お役立ちメモ」に寄稿せよ!”と命令された。“いつまでですか?”と尋ねたら、“明日まで”だと。渋い顔をしたら、“チョコレートあげる”と言うので、渋々引き受けた。
さて、お役立ちである。
何か皆さんに役に立つような情報を提供せねばならない。熟考を重ねた結果、今回は“おいしいパスタの作り方”をお伝えすることにした。実は料理好きなんです…。
パスタと言ってもいろいろありますが今回は、「和風ぺペロンチーノ・スパゲティー」しましょう。私の印象ではイタリア人はラテン系なので、結構ザッパだと思うんですね。従ってイタリア料理は日本料理のような“繊細さ”はあまり必要ないはず(プロのシェフの方ごめんなさい)要するに適当に作っても結構旨いものが作れます。
スパゲティーは1人前、100gから150gです。(ちなみに私は180gを目安にします)
フライパンにオリーブオイルを約大さじ1を入れます。次に鷹の爪(手でつぶしながら)を入れます。にんにくを一塊入れます。にんにくは包丁の脇でつぶし、みじん切りにします(にんにくはつぶしたときに香りが出ます)。
次にウインナー(私はシャウエッセンを使います)を4等分ぐらいに切ったものを3本~4本分入れます。次にキャベツを3枚程度、手でちぎり入れます。これだけのものを入れた後、弱火で炒めます。炒める時は蓋をして、何分か放って置きます(10分もあれば適度にキャベツがしなります)。
スパゲティーは比較的たっぷりめのお湯で適時間ゆでます。1.5リットルぐらいのお湯の量で大さじ一杯程度の塩を入れます。茹で上がったら、ザルにとり、湯ぎりをせず、フライパンの中に入れます(少しゆで汁が残っていたほうがいいので湯切りしない)。
仕上げに醤油を5ccから10cc程入れ、粉チーズを適量ふります。あらびき黒胡椒を適量いれ、ざっくり混ぜ合わせ、火を止めます。
スパを投入し火を止めるまでは、2分以内でささっと仕上げるのがコツですかね。皿に盛ってキザミのりをかけると、いっそう和風っぽくなります。同時並行でやれば、10分程度で調理は完了。お試しあれ!
どうですかぁ?役に立ちますかねぇ?
メールマガジン第3号でもご紹介した講談の会が10月3日にせまりました。演目は「点字図書館の父 本間一夫伝」、語るのは田辺一鶴(たなべいっかく)門下の田辺鶴遊(かくゆう)さんです。
鶴遊さんは1978年生まれ、7歳で日本司会者協会(現・日本司会芸能協会)に所属、9歳で講談の世界に入り田辺一鶴師匠の下で田辺チビ鶴としてデビューしました。以来、一鶴師匠が亡くなられた後は宝井駿之介として二つ目、2015年3月に真打に昇進し田辺鶴遊と改名されました。
本間先生は1915年、北海道の日本海に面した港町、増毛(ましけ)の商家、丸一本間家に生まれました。6才のとき髄膜炎により失明、函館盲唖院に入学して点字と出会い、やがて日本初の点字図書館の創設に取り組みました。
鶴遊さんは、この講談を創作するにあたり、実際に本間先生の足跡を尋ね、北海道に残る生家を訪問、本間先生の原風景に触れてこられました。また、増毛町教育委員会の後援でこの「本間一夫伝」を演じられました。
真打昇進の際にインタビューで
「『遊』という字には津々浦々を飛び回るという意味がある。僕も全国いろんなところを飛び回って講談の面白さを伝えたい」
と、語っていらっしゃる鶴遊さんの講談を、ぜひアイeyeセンターでお聞きください。
シネマデイジーやDVD体験上映会などで映画を楽しまれている方も大勢いらっしゃいます。そんな「映画を楽しむ」ために欠かせないのが、画面を言葉で説明する「音声ガイド」です。
アイeyeセンターではこの音声ガイドの作り方を学ぶ講習会を開講します。
期間は10月14日から12月16日まで、水曜日の午後1時から4時の3時間、計8回の講座です。
講師は映画鑑賞団体シティライツの代表で、音声ガイド作りのベテラン、平塚千穂子さん。豊富な経験をもとに、音声ガイドの基本から、ガイド作りの実際をわかりやすく教えていただきます。受講料は無料、終了後は実際にシネマデイジーを制作していただきます。
映画が好きな方、音声ガイドに興味のある方、ぜひご応募ください。
お申し込み・お問い合わせは 職員 島田・鳥居まで
今回の「生活お役立ちメモ」担当の中村は、センターでは調理訓練も担当。訓練のある日はセンターの廊下においしそうな匂いが漂ってきます。来館された方も思わず笑顔に。
残暑を通り越して一気に涼しくなってきました。ご自愛ください。
メールマガジン「アイeye」編集長 鳥居秀和
発行:川崎市視覚障害者情報文化センター(アイeyeセンター)
住所:郵便番号 210‐0026 川崎市川崎区堤根34番地15
電話:044-222-1611
ファクス :044-222-8105
メールアドレス:kawasaki-icc@kawasaki-icc.jp
公式ウェブサイト:http://www.kawasaki-icc.jp/
メールマガジンは ここまでで終わりです。